コラム89:ELCに出会って変わったこと・気が付いたこと

  • 支える人の支え
  • 原点
  • 言葉にする
  • わかってくれる人がいるとうれしい

公益社団法人地域医療振興協会市立大村市民病院 看護師 

河野裕見子さま

( ELC第102回生、認定エンドオブライフ・ケア援助士、認定ELCファシリテーター、折れない心を育てる いのちの授業レベル1認定講師)

 「苦しむ人の支えになりたい」
 看護師を目指したとき、私はこの気持ちをどれくらい強く思っていたのだろう・・・
「白衣の天使」にただ憧れていたのかもしれません。

 自分の原点は何だったのか、なぜ命の現場に立とうと思ったのか・・・答えは出ていませんが、日々の患者さんやご家族とのかかわりの中で、「喜び」や「心地よさ」を感じている自分がいることだけは確信できます。

 

自己紹介:

 北海道根志越町 市立千歳市民病院で生れた私は、初孫の恩恵を存分に受けて、それは、それは大切に甘やかされて過保護で育ちました。母の実家がちょっとだけ裕福だったこともあり、当時の写真には、沢山の人形たちに囲まれ遊んでいる私がいます。父の転勤で長崎県に引っ越してきましたが、過保護具合は変わらぬまま、すくすく育ちました。看護師になって結婚して子供を二人育てて(現在25歳と22歳の男子)・・・

 あと5年もすると定年です。大きな困難もなく幸せにここまで生きてきました。

 

なぜELCに?:

 私のケアの対象者は認知症・高齢者が主体です。「倫理」「尊厳」「安寧」・・自分自身で学び・実践してきました。看護師としても経験に基づいた知識と態度はいろんな場面に対応できると思っていました。また、チームメンバーにも恵まれていて「私の看護師人生」は自分で納得できるものだと思い込んでいました。

 ところが、ここ数年、何だか違和感が出てきました。きっかけは、看護専攻科の非常勤講師をお受けした事でした。同時期、高齢者・認知症者看護専門研修の開催回数も増えました。今まで専門的に学んできたことや資料を準備して講義に臨みます。何も間違っていないのに、何だか伝わっていないのです。これは私が受けた感覚です。

 講義や研修後のアンケートには「よくわかった・知識の整理ができた・これから高齢者に関わるときには自分を振り返ります・・」と前向きなお返事をいただくのですが、講義をしている私自身が「なんだか伝わっていない気がする・なんだかおかしい・・・」と感じていました。

 

 その違和感はだんだん大きくなって、さらには自分の講義や研修に全く自信がなくなっていました。「こんな教科書に載っているくらいのことなら、私でなくていいじゃん」と思い、さらには「なんで看護師しているのかな?患者さんって私に関わって幸せなのかな?」と思うようになっていました。

 

 そんな時、思い出したのが、認知症認定看護師教育機関在学中、小澤先生のお話をお聞きした事でした。そして、先生の書籍を拝読し、先生にFacebook申請をするという行動を起こしました。

   ・・・・そこから・・・・私のELC人生が始まりました。

 「長崎にも仲間がいますよ」小澤先生からのメッセージをいただきました。すぐに長崎県のファシリテータの皆さん(チーム長崎)と繋がることができました。先輩方は私の感じていた違和感やこれから学びを深めていきたいという気持ちを全て受け止めてくださいました。それこそ、ご自分たちのお仕事もお忙しいのに、まさに「無償の愛」でした。

 

 私はこれまで「誰かの苦しみを和らげること」苦痛の緩和こそが使命だと思っていました。しかし、それだけではないこともどこかで感じていました。その「それだけではないこと」がモヤモヤとして解らなかったのです。緩和できない苦痛からは目を逸らしていたのかもしれません。

 

 養成講座を受講し、「支え」「苦しみ」という言葉を深く学びました。またここで出会う皆さんと対話を通しながら、「苦しんでいる人はわかってくれる人がいるとうれしい」この言葉を改めて心で感じています。

 

 医療技術や効果のあるお薬・・それももちろん大切です。それを踏まえたうえで、私がこれまで培ってきた看護師としての知識や経験が「わかってくれる人」になるための準備だったような気がしています。まるで復習しながら進んでいるようです。

 

 そんな私にチーム長崎の先輩ファシリテータが「河野さんは今、Unlearn(学びほぐし)をしているんですね」とおっしゃいました。これまでの私の経験や学びは無駄ではなかったのかな?と思えました。また、日々の患者さんやご家族とのかかわりの中で感じていた「喜び」や「心地よさ」は、きっと私のほうが支えられていたからなのかもしれません。

 

 これからは自分の学びをほぐして、そして伝えて、さらに栄養(学び)を得て、またほぐして・・・それでいいんだと思えるようになっています。

 

 これまで、幸せですくすくと育ってきたと思っていました。しかし、ここで「苦しみ」の考え方を学んだことを通して、これまでは自分で気付かなかった「自分の苦しみ」に出会えました。そして、そこには自分が見過ごしてきたたくさんの「支え」があったことに気が付きました。
 

 スタートしたばかりですが、皆さんよろしくお願いいたします。

 

※写真上から
・新人の頃からお世話になっている先輩看護師さんと
・認知症看護認定看護師過程での実践風景
・病院の窓から見える長崎空港

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