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コラム26: 〜「コメ」だの「トラ」だの「アント」だの〜 



コラム26: 〜「コメ」だの「トラ」だの「アント」だの〜

医療法人あおぞら胃腸科 医師 笠原 健太郎さま
(ELC第5回生、認定エンドオブライフ・ケア援助士、認定ELCファシリテーター)

 …恥の多い生涯を送ってきました。

 「人間失格」第一の手記の冒頭の台詞です。

 短めの小説で一気にいけるので、これまで何回か読みましたがその都度、受ける印象が違います。読むごとに面白さを増すのは、色々と私なりに人生経験を積んだということかもしれません、若い頃は戸惑う部分も多く感じていました。みなさんはこの小説についてどのような感想をお持ちでしょうか…

 私は佐賀県北部の唐津市で診療所の医師をしております。自治医科大学を卒業し、高次病院での研修や僻地診療などに携わり、地域の中で育てていただき、故郷の父の診療所に戻り12年になります。

 午前中は外来診療、午後は訪問診療。馴染みの患者さんの診療がほとんどです。自然と弱っていかれる方、紹介されたがん終末期の患者さんなど、年間60名ほどのお看取りをしています。 昼過ぎて外来で「まだまだ後ろにたくさん待っとらすよ〜」と励ましてくださるいつもの患者さん。午後訪問の田舎道を走る時目に入る、散歩をしていたり農作業をしている顔見知りの人たち、峠ですれ違う訪問系の仲間達。道端の草花、いつも同じなようで少しずつ違いを見せる玄界灘、美しく弧を描く虹の松原やふるさとの山々。ひと、風、匂い、景色。「私はこれがあるから頑張れる」そういうものに囲まれて毎日を過ごしています。

 唐津市の中でも当院は最も福岡との県境に近い診療所で、車で数分走ると県境となります。 医療圏の一番端っこ、不便なようですが、逆に県境地帯は足りないものを向こう側から借りてくることが出来るのではないか?2011年に緩和、在宅、救急の県境を超えた連携を目指して糸島地区の訪問診療医、鷺坂英輝先生のよびかけで仲間達が集いました。「糸島唐津県境医療ネットワーク」の発足です。

 これまで18回、のべ900名、講演を開いたり、グループワークをしたり。楽しくそして実際にそのネットワークを様々な場面で利用しながら、地域の為、住民の為、成果を上げてきました。私はここにエンドオブライフ・ケア協会で学んだこと、考え方を、「援助者としての基本姿勢」として取り上げることができないか、そうすることでよりたくさんの仲間が苦しんでいる人の為に自信を持って行動できるのではないかと考えました。

 2016年12月22日、ELCファシリテーターを拝命したことをきっかけに、私を援助者養成基礎講座に誘ってくれた県境ネット仲間の福島優子さんと共に「ELC糸島唐津」を立ち上げました。年が明けて、山口、福岡、熊本のファシリテーター、認定援助士の方々とこれからのことについてお話ししました。各地区での勉強会をしたい、そして、集まりやすい福岡で援助士の集まりが欲しいという想いは私たち共通のものだということを再認識しました。


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