コラム Column


column
コラム36:「野うさぎ等増殖計画」についての一考察


医療法人社団聖仁会 我孫子聖仁会病院
外来師長 
松宮 泉さま(ELC第27回生、認定エンドオブライフ・ケア援助士、認定ELCファシリテーター)

 当院は千葉県北西部(千葉県公認キャラクター“ちーばくん”の目の上端あたり)に位置する病床数168床の地域密着型の2次救急病院であり、療養病棟および緩和ケア病棟を有する。また、当院のある我孫子市は人口13万2千人あまり、65歳以上の高齢者が3万8千人あまり、高齢化率25%程度と、正に日本の今から近い未来を見るような地域である。昭和に建てられたエレベーターがなく住民の高齢化が進んだ団地、高齢者家族で構成されるようになった住宅街など、よく介護の困難事例などで挙げられる事が少なくない地域であるが、当院と同規模もしくはそれ以上の高度医療機関も近隣都市に複数あり、介護施設などの所謂「箱もの」と言われる施設も割合潤沢に設置されている。そのためもあるのか、「病院にいけば何とかなる」「介護に困ったら施設に」と言われるなど、入院・入所というものが、あまり障害(物理的にも心理的にも)となりにくい地域である。

  ここで誤解のないように加えたいのだが、「好んで」入院・入所を選んでいるというより、「家や地域にいたいが、今までと同じことができないから、入院・入所しかない」という風に思っている(あるいは違う選択が出来ることを知らない)という事があるのではないかと思われる。

  エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座を経た今、「困っていることはもっと気軽に話してもらえるようになりたい」、「希望や夢を実現できる手段ももっとあることを伝えたい!」という思いに苦悩する日々でもある。(単に私の力不足だとも十二分に理解した上で敢えて言いたい。)

  意思決定支援だとか、アドバンス・ケア・プランニングだとか、今はたくさんの言葉があるが、単にしたい事をして、食べたいものを食べ、会いたい人に会い、住みたいところに住みたい。それを聞きたい。人生の最終段階を穏やかに過ごすための最初の一歩として。

  そのようなことを、私一人でぐずぐず悩んでいるわけではなく、幸い、職場には感性豊かな同僚がたくさんいる。また、知り合いの介護職、援助職の方もいい人が多いし、何かをしたいという地域の方たちがいらっしゃるのもよくよく知っている。

 ただ、その方たちの大半は「どうやって聞いたらいいか、そしてどうやったら実現できるかわからないから行動できない」「自分だけじゃ何もできないから・・・」と、こういう場面でよく言われる意見がある。もっと言えば「どうしたらいいか知らないし、やっても何かになる?」。


会員限定コンテンツ
続きを読むには、会員登録が必要です。会員の方はログインしてお読みください。ログイン方法が不明な方はこちらをご参照ください。
新着通知