第12回「エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座」(大阪)

  • 開催レポート

5月14日(土)、3回目となる大阪での養成講座がスタートしました。2月の大阪開催以降、多くの方にお申込みをいただき、当日は71名もの皆さまにご参加いただきました。多職種連携で援助を言葉にするワークでは活発な議論が行われ、質問も多く飛び交うなど熱のこもった受講姿勢に、運営側としましても身が引き締まる思いでした。

開催にあたり、過去の受講者の方々に、当日の運営から仲間へのお声掛けまで多くのご協力をいただきました。心より御礼申し上げます。

参加者

71名の方にご参加いただきました。

 

職種の内訳は、看護師54%、介護支援専門員10%、リハビリテーション職8%、医師7%、介護職6%、ソーシャルワーカー4%、薬剤師4%、その他7%でした。

地域別にみると、大阪・大阪近郊からのご参加が最も多く49名の方がお越しくださったほか、岐阜県、広島県、香川県等の周辺地域からも複数名でご参加いただきました。また、中部、九州、沖縄等の遠方からの受講者も数名いらっしゃいました。

講座の様子

協会理事であり、横浜で在宅診療を行うめぐみ在宅クリニック院長の小澤 竹俊が、2日間の講師を務めました。

2日間の講座では、以下の要素を学びます。

  • 課題背景(2025年問題に備えて)
  • 人生の最終段階に共通する自然経過
  • 苦しむ人への援助と5つの課題
  • 意思決定支援
  • 自宅・介護施設で求められる症状緩和
  • 多職種連携で「援助」を言葉にする(マクロ)
  • 1対1で対応する(ミクロ)

 

 

ただ受け身で聞くのではなく、ロールプレイや事例検討のためのグループワーク、学んだことの振り返りなど、ほとんど休む間もなく、口と手をたくさん動かしていただきました。

懇親会

終了後、半数以上の方が懇親会にご参加くださいました。ペアで現在の活動内容などお話いただいた後、全体で他己紹介としてお相手についてご紹介いただきました。

 

受講者の生の声(当日)

2日間の養成講座も終わりに近づいたころ、会場内で受講者のみなさまから、そのとき感じたことを生のお声として頂戴いたしました。

山本 円香さま、看護師
日本赤十字社和歌山医療センター(和歌山県)

1回目の受講で、自分が何でも一人で抱え込んでしまっていることに気付きました。自分一人では無力だけれど、無力な自分から少しでも苦しんでいる人の支えを強める援助を深めたいと思い、再度受講しました。2回目受講して、1回目ではつながらなかった「支えをキャッチして支えを強める」具体的プロセスがよく分かりました。今回も多職種とのつながりも出来て、また自らの支えを発見することができました。何回受講しても「顔の見える関係づくり」が繋がっていきやすいと思いました。

 
 

佐々木 慈瞳さま、心理職
奈良県総合医療センター(奈良県)

当日、小澤先生から「さあ、皆さんが今度は伝達して広める番です」と言われて驚きました。もう地域に広めていかなければ絶対に間に合わない、という背景があるのだと受講して初めて感じました。同じ地域ですでに活動をしている仲間がいるので、共に広めていければと思います。また、在宅での看取りが増えれば子供たちがお家での看取りの経験を共有すると思うので、子供同士が支え合う力を強めていく形で関われるよう、小中学校で、わかりやすい言葉でこのプログラムを伝えていく機会を作りたいと思います。

 
 

上村 久美子さま、看護師・介護支援専門員
医療法人橘会 居宅介護支援事業所万年青(大阪府)

 「在宅で看取り、ターミナル」と言うと疎外感を感じていましたが、ケアマネにももっと出来ることがあるはずと思い受講しました。受講を終えて、どんな病気があっても障害があっても、自分で決められること、その意思決定を支えることが使命だと教えていただきました。明日から、まず自分の支え、職場の仲間の支えを見つけます。そして利用者さんの支えを見つけて、エンドオブライフ・ケアを実践していきたいと思います。

 
 

藤川 晃成さま、施設長
淀川キリスト教病院老健(大阪府)

多死時代を迎え多くの人が人生の総決算をする中、平安と尊厳が守られることは非常に大事なので、小澤先生の活動にとても共感し、広がって欲しいと願っています。今後は、老健や施設の看取りを増やしたいです。看取りは本人の平安と尊厳を守れる自宅、あるいは住み慣れた施設が望ましいと思っています。施設の責任者として、自分達の施設だけでなく、日本の施設での看取りが増えたらよいと思っております。

 
 
 

 

受講者の生の声(後日)

受講後、職場に戻って実践していらっしゃるみなさまの今をお聴きしました。

 

高嶋敦子さま、看護師
ベルランド総合病院(大阪府)

私は緩和ケア病棟で、看護師として働いています。人生の最終段階を迎えた患者様に少しでも『楽しい』『気持ちいい』と思ってもらえるように工夫してケアをしているつもりですが、自己満足ではないのかと悩んでいました。今回この講座でヒントが得られれば…と考え、受講を決めました。

講座では、グループで事例検討を行い、『あなたができることは○○だ』と援助を言葉にすることを学びました。今まで自分がなんとなく行ってきたケアも患者様の支えを強める大切なものであるということを理論的に考え、それを言葉にすることで自己満足ではなかったと実感できました。

現場に戻り、受講前と同様にケアを中心に患者様と関わっています。足浴一つにしても、保清という側面だけでなく、入浴が好きという患者様の支えを強めるケアになっているのだと自信が持てました。同じような悩みを持つ他のスタッフにも、自分たちのケアを言語化することの必要性を伝え、実践しています。

また講座に参加することで地域の病院・施設の仲間ができました。(一緒にランニングをしながら、悩みを語り合っています!)たくさんの人を巻き込み、支え合いながら、誠実に患者様と向き合う看護師でいようと思います。

 

上野千沙さま、理学療法士
市立三次中央病院 リハビリテーション科

 ・養成講座参加の動機

がんリハビリに関わる中で、残された時間が短い方とかかわる機会も増えてきました。その方の希望を叶えられるように、支えになりたいと思っているのに上手くいかない・・・悩んでいたとき、知り合いのfacebookで受講されたことが掲載されており、すぐに調べて研修受講を予約している自分がいました。

 ・養成講座で得られたこと

今までは、沈黙=ダメ!と決めつけていた自分がいて、沈黙にならないように必死に喋り、知らず知らず自分の思い描くレールに導いていたことを痛感しました。沈黙と反復がなければ問いかけは活きない・・・。また、熱い気持ちを持ったグループの仲間との繋がり、これが私にとって2日間で得た一番の収穫でした。

 ・現場で実践していること

リハビリは決まった時間で20分以上は患者様と向き合います。その中で、患者様の希望を聞き取れた際に先生のスライドの選ぶことができる自由・支えとなる関係・支えを強めるための方策をあてはめます。実際に研修翌日に患者様と話をして主治医や緩和医療医・病棟看護師と情報を共有し、亡くなる前日に本人様の希望であった家族とのピクニックを実現することができました。短い取り組みでも自分の中では、本当に自信となった出来事です。

 ・受講検討中の方へのおすすめのポイント

悩むより、参加してみる!これが一番です。新たな仲間と出会い、いろんな意見を聞けることで2日間終わった後にはワクワクする自分がいます!

 

まとめ

大阪では初回の2015年10月18-19日開催以降、過去の参加者の間でFacebook等を通じた情報発信や自主的な勉強会(※)が活発に継続しています。ぜひ、今後も地域で継続的に、仲間と振り返りの機会を持っていかれることを願っております。

※8月20日に受講生主催のフォローアップ研修を予定しています。ご関心のある方は、事務局までお問い合わせください。

次回は、6月25日(土)-26日(日)、東京開催をレポートいたします。

 

 

 

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