第14回「エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座」(名古屋)

  • 開催レポート

7月2日(土)、名古屋での養成講座がスタートしました。職種連携で援助を言葉にするワークでは活発な議論が行われ、大変積極的に質問の手が挙がりました。

開催にあたり、サポーターの方々に当日の運営から仲間へのお声掛けまで多くのご協力をいただきました。心より御礼申し上げます。

参加者

39名の方にご参加いただきました。

職種の内訳は、看護師57%、介護職10%、リハビリテーション職7%、医師7%、ソーシャルワーカー5%、介護支援専門員5%、相談員5%、歯科衛生士2%、保健師2%でした。

地域別では、地元愛知県のご参加が最も多く22名の方がお越しくださったほか、近隣の岐阜県、三重県からのご参加も目立ちました。また、中部、北陸、東京等の遠方からの受講者も数名いらっしゃいました。

 

講座の様子

協会理事であり、横浜で在宅診療を行うめぐみ在宅クリニック院長の小澤 竹俊が、2日間の講師を務めました。

2日間の講座では、以下の要素を学びます。

  • 課題背景(2025年問題に備えて)
  • 人生の最終段階に共通する自然経過
  • 苦しむ人への援助と5つの課題
  • 意思決定支援
  • 自宅・介護施設で求められる症状緩和
  • 多職種連携で「援助」を言葉にする(マクロ)
  • 1対1で対応する(ミクロ)

 

ただ受け身で聞くのではなく、ロールプレイや事例検討のためのグループワーク、学んだことの振り返りなど、ほとんど休む間もなく、口と手をたくさん動かしていただきました。

懇親会

終了後、半数以上の方が懇親会にご参加くださり、活発に交流されていました。

 

受講者の生の声(当日)

2日間の養成講座も終わりに近づいたころ、会場内で受講者のみなさまから、そのとき感じたことを生のお声として頂戴いたしました。

土屋 邦洋さま、在宅医療 泌尿器科
医療法人かがやき 総合在宅医療クリニック(岐阜県)

訪問診療専用のクリニックで医師として働いています。日頃から在宅で看取りを多く行っていますが、若い患者さん、まだやりたいことが沢山ある患者さんの終末期のケアは非常に難しいので、今回勉強に来ました。患者さん自身の苦しみだけでなく、「支え」をキャッチして強めることで、苦しみが取れなくても穏やかに過ごせるということを初めて知りました。ロールプレイでは患者さんの心の動きや沈黙の意味を知り、患者さんは黙っていても沢山のことを考えているということや、掛けられた一言で表情が変わるということを実感できました。今日学んだことをチーム全員で共有し、チーム医療として一人の患者さんを支えるような取り組みができたらと思っています。

 
 

岡田 正子さま、介護支援専門員
医療法人SIRIUS(三重県)

24時間診療のクリニックに務めています。緩和ケアの患者さんが多く、支援依頼を受けてからその方がお亡くなりになるまでの期間が短い中で、「どのように関わっていけばよいのか」というところを学びたく受講しました。参加するまでは、医療職と福祉職は考え方が全然違いますし、なかなか折り合うことができない部分があったのですが、参加して、医療職も同じように悩んでいることがわかり、話の持っていき方次第かと思いました。講義は一言で言うと疲れましたが、通り一遍のことをしていくのかと思っていたらそうではなく、色々な患者さんがいる中でどのように対応していくか、自分がどのような声掛けをしていけばその方の気持ちがより上向いていくのか、という難しさを思いました。今関わっている患者さんの中には、どうして自分がこんな病気になったのか、という思いを募らせている方もみえますので、この学びを通じて、そういう思いを少しでも、違う方向に向けていけたらなと思っています。

 
 

飯野 麻里子さま(看護師)、井上 喜代子さま(看護師)、森田 美由紀さま(看護師)、服部 元美さま(ケアマネージャ)、長谷川 美千代さま(看護師)
訪問看護ステーションはみんぐ(愛知県)

訪問看護では、利用者様の人生の最終段階に関わらせていただく事が多くあります。スタッフ皆が対応するスキルアップを目指して参加させていただきました。
患者さんのお話を聞くスキルを反復して、キーワードを少しずつ引き出したいと思います(飯野さま)。
現在訪問している患者さんに「死にたい」という言葉を発する方がいらっしゃるのですが、今までと違う視点で捉えて対応できるかと思いますので、早速生かしたいと思います(井上さま)。
言葉の大切さを学んだので、少しずつ実践していきたいと思います(森田さま)。
ケアマネージャとして自分目線で考えていたので、主語は利用者さんだということを教えていただいたので、「反復、沈黙、問いかけ」を実践してけたらと思います(服部さま)。
すぐそこに死が近づいている人を援助する中で、言葉が無くなってしまって、聞く事しかできなかったけれど、それで良かったということを確認できたのと、援助を言葉にして伝えることが大切だと学んだので、実践していきたいと思いました(長谷川さま)。

 
 
 

 

受講者の生の声(後日)

受講後、職場に戻って実践していらっしゃるみなさまの今をお聴きしました。

岩井 浩子さま、歯科医師
大垣アピオ歯科・矯正歯科(岐阜県)

私は老人介護施設で訪問歯科をしています。患者さんとの何気ない会話から苦しみに気づきながらも、十分、受けとめきれないでいました。その一方で僧侶として、緩和ケア病棟でボランティアもしており、そこでは限られた時間で踏み込んだ命の話をする難しさを感じていました。

そんな折に知り合いのフェイスブックからこちらの協会を知りました。何かしらヒントが見つかるかもしれないと受講を決めました。
プログラムは幅広く知識や技術を学べ、ロールプレイングも充実していました。それだけでなく、丸2日、志あるさまざまな立場の方たちと共に学べた事が私には貴重な経験となりました。「同じ事例でも、立場が違うとずいぶん違った見方をしている」のは大きな気づきでした。eラーニングも出来たそうですが、ぜひ一度は会場に足を運ぶことをオススメしたいです。

講座を受けて3週間ほどですが、現在は自然と学んだことが出るとまではいきません。それでも、会話の中で「あ、苦しみを言葉にしている」「これが支えなんだな」「今は待ったほうが良かったのかな」などと分析するようになりました。少し変化も感じていますが、まだこれから。着実に歩んでいきたいと思っています。

 

鈴木 裕美さま、看護師
三重聖十字病院(三重県)

看取りをしたご家族は「何もできなかった」と自責の念を背負いながら生きていくのではなく、「できた」ことを言葉に出し前に進んでもらうにはどうしたらいいか?何かヒントがもらえるのではないか?と思い参加しました。

繰り返しロールプレイを行うことで、「沈黙と反復」の必要性と言語化の難しさを再確認し、自分自身の課題も見つけることができました。
また、「死」を話すことはタブーではない、「死が来るまでの生き方」を考える社会になることを目指したいと改めて思いました。
限られた時間の中ではありますが、「沈黙と反復」を意識してご本人・ご家族とお話しをするようにしています。

医療職以外の人たちに、誰でも最終段階に関わることができる具体的な援助方法を繰り返しのロールプレイで学ぶことができる事を伝えています。

何よりも、この講座に参加して、経験豊富な仲間に出会えたことが一番の収穫です!

 

まとめ

名古屋では2015年12月以降、2回目の開催となりました。受講後、現場で実践しているご様子について、Facebookなどで活発な情報発信が続いています。

協会としては2日間の講座を提供して終わりではなく、受講した方がさらに理解を深め、実践し、振り返り、自らと周囲を進化させていく、そんなお手伝いができたらと願っております。

次回は、7月23日(土)-24日(日)、福岡開催をレポートいたします。

 

 

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