第20回「エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座」(札幌)

  • 開催レポート

11月26日(土)、2回目となる札幌での養成講座がスタートしました。当日は13名の皆さまにご参加いただきました。開催にあたり、当日の運営面で多くのご協力をいただきましたことを心より御礼申し上げます。

参加者

13名の方にご参加いただきました。

職種の内訳は、看護師72%、医師7%、介護職7%、その他14%でした。その他職種には施設長や事務長など、施設管理に携る方々にもご参加いただきました。

地域別では北海道の参加者のみとなりましたが、開催地の札幌以外に帯広や紋別など、遠方からのご参加者もいらっしゃいました。

 

講座の様子

協会理事であり、横浜で在宅診療を行うめぐみ在宅クリニック院長の小澤 竹俊が、2日間の講師を務めました。


2日間の講座では、以下の要素を学びます。

  • 課題背景(2025年問題に備えて)
  • 人生の最終段階に共通する自然経過
  • 苦しむ人への援助と5つの課題
  • 意思決定支援
  • 自宅・介護施設で求められる症状緩和
  • 多職種連携で「援助」を言葉にする(マクロ)
  • 1対1で対応する(ミクロ)

ただ受け身で聞くのではなく、ロールプレイや事例検討のためのグループワーク、学んだことの振り返りなど、ほとんど休む間もなく、口と手をたくさん動かしていただきました。

懇親会

終了後、約半数の方が懇親会にご参加くださいました。取材で訪れてくださったNHK様もご参加くださり、お仕事からプライベートまで、アットホームな会となりました。

受講者の生の声(当日)

2日間の養成講座も終わりに近づいたころ、会場内で受講者のみなさまから、そのとき感じたことを生のお声として頂戴いたしました。

宮下 明子さま、看護師
社会医療法人 札幌南三条病院(北海道)

肺がんの専門病院で、化学療法の方がメインで来られます。看取りの件数が多いなか、患者さん自身やご家族の方へのケアで困る場面も多々あり、少しでもヒントが得られればと参加しました。「苦しみとは何か」というところから、今まで思っていた苦しみよりももっと沢山の苦しみがあり、そこから抜け出すために支えを見つけていくということを学びました。その支えを見つけるための技術をロールプレイで実践したので、これから使っていけたらなと感じました。ヒントを得たような気持ちです。例え話や歌など、笑いもありながらの長時間の講習でしたが、とても楽しくあっという間で非常に濃く、一週間くらい学んだような気がしました。来て良かったと思いました。自分もスタッフなので、患者さんとコミュニケーションを取る時やご家族と話す時に、学んだことを使うほか、他のスタッフにも使いやすいところから伝達して共有していけたらと思っています。

 
 

村上 忍さま、事務長
ホサナファミリークリニック(北海道)

終末期やお看取りに関わるような患者様の訪問が多いので、スピリチュアルペインについて、どういう風に踏み込んで行ったら良いのか、これは言って良いのか良くないのか、答えがあるのか無いのか、というところで迷っていました。今までは「自分がそれを問いかけて良いのか」という疑問がありましたが、受講を通じて、患者さまの苦しみを聴いてあげるという点で「自分でも良いのだ、自分でこの役割をしていけるのだ」ということが一番大きな学びとなりました。明日からの訪問診療では、患者様との会話の中でどのようにして苦しみや痛みをキャッチして、支えを強めていけるかが大きな役割なのかなと思います。素晴らしい学びだったので、ここだけで終わらず、札幌の地で地域医療の形の一部になっていけばと思っております。

 
 

受講者の生の声(後日)

受講後、職場に戻って実践していらっしゃるみなさまの今をお聴きしました。

阿藤 知香子さま、内科医師
JA北海道厚生連丸瀬布厚生病院(北海道)

人口1500人弱の地域で医師をしています。そんな地域に特別養護老人ホームが2件あり、昨年から施設での看取りを始めました。施設職員への勉強会を繰り返してきましたが、入所者さんや職員の苦しみを軽くするには何か足りないと感じていました。そんな時に読んだ本にこの講座のことが書かれており、早速申し込みました。

二日間で得た最大の収穫は、苦しむ人の苦しみと向き合い、苦しみの中にある支えに気付き、穏やかになれるように関わる具体的な方法を学べたことでした。

講座終了から3週間、苦しみと支えをキャッチするアンテナを磨いています。今までと同じ様な会話の中に患者さんの苦しみや支えが転がっていることに気付く日々です。今後は、穏やかになれる援助ができるよう実践を重ねていきたいと考えています。そして、支えを強めていくためにも学んだことをともに働く職員に伝え、仲間を増やしていきたいと思っています。

素敵な仲間に出会えたことも大きな糧となり、想像していた以上に医師として、1人の人間として得ることの多い二日間になりました。

 

阿部 美保子さま、介護支援専門員
帯広市介護老人保健施設 ケアステーションアンダンテ(北海道)

講座に参加したきっかけは、なにかの雑誌で小澤先生が「人生の最終段階」をテーマに書かれていた内容に惹かれ、その後タイミング良く札幌で講座が行われることを知り、受講しました。

2日間の講座内容は、とても、ひと言、ふた言で、言い表すことが出来ない程、充実した内容で死を目の前にした人に対しての支援だけでなく、苦しんでいる全ての人に対しての寄り添い方を学びました。

私の働いている施設では、看取りケアが行われています。講座を受ける前は、どうにもならない、スピリチュアルな苦しみの中にいる人に、どうやって接したらいいのか。ご家族には、どのように声を掛けたらいいのか。分かりませんでした。例えば、死が目の前にある方から「あと何日生きられるの?」と言われた時。なんと答えていいのか、分かりませんでした。今から思えば、当たり障りのないことしか言えていなかったと思います。

講座を受けた後は、その様な時に、どんな対応をしたら良いのかを学ぶことが出来て、自信を持って支援をすることが出来ていると思っています。そして、ここで出会えた参加者の方々は、パワフルな方ばかりで、2日間を一緒に過ごすことで、元気をもらうことが出来ました。

ありがとうございました。
参加して良かったです。
5月に札幌で開催される講座を、また受けたいと思います。

 

訪問看護師(北海道)

病院から末期癌の方々が在宅へ数多く戻ってきます。その方々を前に何を話そうか、何に焦点を合わせようか、会話の内容に困難を覚えました。「辛い」「痛い」「夜寝れない」等の訴えに返答ができなかったです。講習に、参加して何か得られたらいいな、と思い参加させていただきました。

「わかってくれる人」になる為に反復・沈黙を学びました。この話を聞きながら、いかに自分本意に聞きたい事だけに集中していたか、がはっきりさせられました。事例Aさんのケースがまさに私です。

ロールプレイの体験を元に、現場でいかそうとしています。常に頭の片隅に置いて、「そうですか」「・・・だったんですね」と反復を心がけていますが、まだぎこちなく、その方々の真髄に踏み込んで本当の支えになっていないように思います。信頼関係を築きつつ、繰り返し行って行きたいと思います。

頭の中での理想はありますが、実際に行動していくことの大切さを感じます。その為に体験させてくれるのが、この二日間の講習です。支えを自分の周りのご利用者様に運ぶ為にぜひ参加される事をお勧めいたします。

 

まとめ

今回は少人数にてとてもアットホームな雰囲気の中、休憩時間や懇親会を含めて質問や感想が多数飛び交い、また、ワークに取り組む表情は真剣そのものでした。ぜひ、今後も地域で仲間と学びを深めていかれることを願っております。

協会としては2日間の講座を提供して終わりではなく、受講した方がさらに理解を深め、実践し、振り返り、自らと周囲を進化させていく、そんなお手伝いができたらと願っております。

次回は、1月14日(土)-15日(日)、名古屋開催をレポートいたします。

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