第4回「エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座」(東京)

  • 開催レポート

11月14日(土)、協会設立後、4回目となる養成講座がスタートしました。3度目の東京開催です。

ロールプレイやケーススタディを通じ、これまでの患者さん・利用者さん・ご家族との関わりが思い出され、ともに涙したり、過去の苦しかった経験や現在抱えている課題、これからの決意を共有するなど、今回も暖かい空気に包まれた2日間となりました。

参加者

57名の方にご参加いただきました。

 

職種の内訳
は、看護師51%、介護関連職種32%、医師7%、リハビリテーション職8%、その他5%でした。今回も最も多かったのは看護師の方ですが、介護関連職種の方にも多くご参加いただきました。

地域別にみると、東京都、神奈川県、静岡県、埼玉県、千葉県、群馬県の順に多くご参加いただきました。その他、新潟県、石川県、茨城県、山梨県、愛知県、熊本県、鹿児島県からお越しいただきました。

また、今回も同じ法人から複数名でご参加くださった方が多くいらっしゃいました。中には、地域でエンドオブライフ・ケアについて、事業所をまたいで勉強会を行っていらっしゃる方もいらっしゃり、受講後も継続的なつながりを持たれていくことと思います。

 

講座の様子

協会理事であり、横浜で在宅診療を行うめぐみ在宅クリニック院長の小澤 竹俊が、2日間の講師を務めました。

2日間の講座では、以下の要素を学びます。

  •  課題背景(2025年問題に備えて)
  • 人生の最終段階に共通する自然経過
  • 苦しむ人への援助と5つの課題
  • 意思決定支援
  • 自宅・介護施設で求められる症状緩和
  • 多職種連携で「援助」を言葉にする(マクロ)
  • 1対1で対応する(ミクロ)

ただ受け身で聞くのではなく、ロールプレイや事例検討のためのグループワーク、学んだことの振り返りなど、ほとんど休む間もなく、口と手をたくさん動かしていただきました。

 

懇親会

終了後、6割近くの方が懇親会にご参加くださいました。懇親会では、地域ごとに分かれ、自己紹介をしていただきました。

 

受講者の生の声(当日)

2日間の養成講座も終わりに近づいたころ、会場内で受講者のみなさまから、そのとき感じたことを生のお声として頂戴いたしました。

 

齊藤 都子さま、社会福祉法人ウェルネスケア 居宅介護支援事業所 いづテラス(静岡県)、介護支援専門員
宮 知子さま、社会福祉法人ウェルネスケア 地域密着型特別養護老人ホーム ノアノアテラス(静岡県)、介護職

介護職として一番利用者様のそばでお姿を見て、お話を聴けるという立場ですので、今回の研修を活かして、お話しの聴き方ひとつでも、実践に活かしていけることが多くありました。

エンドオブライフの期間だけではなく、私たちが利用者さんと関わったときから援助方法は活用できること、実践できることを学びました。

 

渡邊 一敏さま、介護センターひより(静岡県)、社長・施設長
青木 勝則さま、介護センターひより(静岡県)、事務長
多田 みゆきさま、介護センターひより(静岡県)、看護師

(これまで)理解する気持ちはあったのですが、改めて、理解者になることによって、寄り添っていければと思っています。3人だけではなくて、職員全体にこういう気持ちを普及させていきたいです。そうすることによって、よい施設になっていくのではないかなと思っています。

 

神尾 千穂さま、ホームケアクリニック田園調布(東京都)、看護師長

人の人生の終末期に関わる一人の人間として、職種に関わらず、その人のことを理解したいと思う気持ち、支えていきたいと思う気持ちを大事にして、どうしたらいいかということを、仕事をしている限りは学び続けていきたいと改めて思いました

 

受講者の生の声(後日)

あれから3週間。職場に戻って実践していらっしゃるみなさまの今をお聴きしました。

 

前川 春美さま
グループホーム 施設長、看護師

自宅で死にたいと希望する方は多い。しかし、現実は希望通りの最期は望めないことが多い。5年前、親友が直腸癌となり、その後転移性癌を発症し、余命3か月余りと告知がなされた。ストーマ装着しながらも、自分らしい生活を見つけた生き方を送った。余命を宣告された時点で、自分の死に方も自己選択・決定した親友の死を機会に援助者として、より良い支援を行うための技法を学びたいと講座に参加。

講座を終えて、「よき理解者となる」ための聞き方や、援助的コミュニケーションの基本を学ぶことが出来ました。また、受講の前日に甥御を肉腫で失いました。若い者の死は、家族のみならず誰もが悲しいものです。私自身、本人や家族の苦しみを理解し支援してきたが、今回の受講で、支援していることで、支援されている自分に気づかされたことも、大きい学びでした。今後、終末期に関わる人すべてにおいて「よき理解者」と思われるように、支えを強めるアプローチを習得して関わって行きたいと思います。

受講検討中の皆さんへ・・・まず、学びに出会うことで、自分自身を見つめる機会でもあり、仲間から学ぶこともたくさんあります。一歩を踏み出し講座を是非受けてみてほしいと思います。

 

霜中 貴美さま
マザー湘南(神奈川県)、看護師

今まで看護師として働く中で、「終末期」にある患者様と関わらせていただく機会が多くありました。「生きる事」と同じく「死を迎える事」とは、患者様だけではなく患者様を取り巻く方々にとって特別な意味を持つと私は考えています。

その特別なひとつひとつの場面をもっと大切にしたい、支えていきたいと感じていた時に、小澤先生による「いのちの授業」を通してこの養成講座を知りました。

受身の学習ではなく、具体的なコミュニケーション方法を能動的に学習する機会は少ないと感じていますが、この講座は非常に実践的な内容でどの職種の方々にも分かりやすい内容だと思います。私の実践フィールドの訪問看護ですが、今までよりも利用者様の「思い」を引き出す事ができるようになったと感じます。

現在がんを患う利用者様と関わらせていただいています。がんが発見され積極的治療が見込めないと分かり、この利用者様に訪問看護師としての介入が始まりました。どう接してよいか悩む時期もありました。現在、徐々にがんによる症状が出現し「なぜ自分がこんな事になったのか」と、苦悩を感じてらっしゃる様子が見られます。時には「この苦しみは誰にも分からないよ」と怒りを表出されたり、ご自身がとても無力であると仰る事もあります。

実は今までの経験の中でも感じていた事でしたが、会話の中で「沈黙」が生まれる事が多くあります。援助者として時にこの「沈黙」を怖いと感じる事がありました。またテクニックとして「反復」という方法がありますが、ともすれば「話を繰り返しているだけではないか」と思われてしまう事で信頼関係に影響を及ぼすのではないかという思いもありました。しかし今回講座を受講する事で、「沈黙」「反復」への抵抗心が軽くなったと感じます。またあくまで「私はあなたの苦悩を分かりたい」という姿勢で、「沈黙」と「反復」をタイミングよく組み合わせる事で、利用者様自身が会話を通して自身の思いを整理していく作業ができたように感じます。

「苦しみを抱える人」を前にすると「無力な自分」に気がつく事も度々です。しかし「無力な自分」に気づく事ははじめの一歩であり、「支える」だけではなく自分にも「支え」が必要であるという事に気づかされる二日間です。

医療に携わる人だけでなく、日々を生きる全ての人々に知ってほしい事がたくさん詰まっています。沢山の人に是非この講座を受けてみて欲しいと思いました。

 

まとめ

受講後、すぐに患者さん、利用者さん、あるいは自らのご家族との会話で実践しているというご報告も聞こえてきています。ぜひ、今後も継続的に、仲間と繋がりながら、援助者として実践を重ねていかれることを願っております。

協会としては2日間の講座を提供して終わりではなく、受講した方がさらに理解を深め、実践し、振り返り、自らと周囲を進化させていく、そんなお手伝いができたらと願っております。

次回開催は、11月27日(土)-28日(日)、福岡開催です。多様な参加者のみなさまとお会いできますことを、スタッフ一同楽しみにしております。

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