第40回「エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座」(仙台)

  • 開催レポート

3月3日(土)・4日(日)、仙台でエンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座を開催いたしました。当日は52名の皆さまにご参加いただきました。開催にあたり、当日の運営面で多くのご協力をいただきましたことを心より御礼申し上げます。 

参加者

52名の方にご参加いただきました。

職種の内訳は、看護師58%、医師13%、リハビリテーション職9%、ソーシャルワーカー8%、介護支援専門員8%、介護職2%、管理栄養士2%でした。

地域別では開催地の宮城県及び近隣の青森、秋田、山形のほか、福島からのご参加が目立ちました。また、東京、埼玉、千葉などの関東や遠く福井、長崎からのご参加者もいらっしゃいました。

 

講座の様子

協会理事であり、横浜で在宅診療を行うめぐみ在宅クリニック院長の小澤 竹俊が、2日間の講師を務めました。


2日間の講座では、以下の要素を学びます。

  • 課題背景(2025年問題に備えて)
  • 人生の最終段階に共通する自然経過
  • 苦しむ人への援助と5つの課題
  • 意思決定支援
  • 自宅・介護施設で求められる症状緩和
  • 多職種連携で「援助」を言葉にする(マクロ)
  • 1対1で対応する(ミクロ)

ただ受け身で聞くのではなく、ロールプレイや事例検討のためのグループワーク、学んだことの振り返りなど、ほとんど休む間もなく、口と手をたくさん動かしていただきました。

懇親会

終了後、半数以上の方が懇親会にご参加くださいました。

 

受講者の生の声(後日)

受講後、職場に戻って実践していらっしゃるみなさまの声をお聴きしました。

安藤聡一郎さま、医師
安藤医院(埼玉県)

 父の後を継いで故郷の町医者となり、かかりつけ医の役割を引き受ける中で、人生の最終段階に関わることがあります。ご家族からの相談もあります。その度に自身の関わり方に物足りなさを感じていました。その一方で、医師会の在宅医療担当理事として、人生の最終段階の患者さんへの関わりを多職種の方たちと学ぶ場も作らなければなりません。そんな悩みを抱えてこの養成講座を受講しました。

 ご本人やご家族にどのように接したらよいか悩んでいましたが、「苦しんでいる人は自分の苦しみをわかってくれる人がいるとうれしい」を中心に、支えをキャッチするということを学び、接し方の幅が広がったように思います。

 適切な緩和医療とともにそのような関わりができれば、患者さんやご家族も穏やかに旅立ちを迎えられるのではないかと思いました。町医者の場合、患者さんとは長いつき合いがありますので、元気なうちからその人の支えはキャッチしようと思うようになりました。

 エンドオブライフケアはご本人やご家族にとっては人生一度きりの体験。関わる我々が寛容さを持って接することができなければなりません。この講座を通じて、私自身にとっても支えとなる多くの仲間と出会うこともできました。

 

高橋和人さま、介護支援専門員
NPO法人里つむぎ八幡平(岩手県)

 法人で小規模な施設をいくつか運営し、看取り対応まで含めたケアを行っていますが、最期を迎えつつあるご本人・ご家族に対してどのような言葉がけを行ったら良いのか職員も私自身もずっと悩んでいました。看取りの過程で後悔に似た思いを抱いたこともありました。
そのような時エンドオブライフケア養成講座を知り、まずは私自身が学び職員に伝えることができればと思ったことが動機です。

 得たことは、「待つ」ということです。耐えると言ってもいいかもしれません。普段のケアではすぐ言葉を発しがちで、目の前の方々の心に耳を傾けることができていませんでした。ご家族に対してもそうだったと思います。しかし、養成講座でグループワーク等を通じ、沈黙にこそ大きな意味があることを体験し自分の中で変化を感じることができました。これは、日々の仕事の中でも有用な貴重とも言える体験でした。

 実践で心がけていることは、会話の中に問いかけを取り入れ、その際すぐには答えを求めないということです。しばしの沈黙は、むしろ自分との対話を促し相手への気遣いとなって現れることを実感しています。

 百聞は一見に如かずと言います。特に仕事の中で一歩踏み出せずにいる方、悩みや不安を抱えている方には道しるべとなる講座内容ではないでしょうか。二日間ぜひ体験して欲しいと思います。

 

佐藤初美さま、看護師
社会福祉法人大仙ふくし会介護老人保健施設八乙女荘(秋田県)

 私は、介護老人保健施設に勤務しています。受講したきっかけは、数年前に小澤先生のご講演を拝聴し、人生の最終段階になられた入所者様に、どのように向き合えばいいのか、さらに学びたいと思ったからです。

 苦しんでいる人は、自分の苦しみをわかってくれる人がいるとうれしいという視点を大切にする。苦しむ人からみて、わかってくれる人とは、励ましてくれる人ではなく、聴いてくれる人である事を学びました。

 わかってくれる人になる聴き方である、反復・沈黙・問いかけの技法をロールプレイングでの演習を通して学ぶことができました。
私は沈黙が苦手でしたが、演習で沈黙の大切さを知り、自分には、相手の思いを言葉にするまでの間を待つ訓練が必要であると感じました。

 受講後は、わかってくれる人になる聴き方の反復と沈黙を意識して関わるようにしています。以前のように沈黙は怖くなくなり、言葉にするまでの間は、相手を思いやり尊重する時間へと変化しました。長い沈黙の後に、大事な言葉を聴き思いを感じるとる事ができています。

 この養成講座では、対人援助の基本や援助者としてのあり方を学ぶ事ができます。対人援助に関わる方に受講してほしいと思いました。

 懇親会にも参加しました。小澤先生とお話しできたことや、同じ志を持つ仲間に出会い語りあえた事は、私にとっての支えとなりました。ありがとうございました。

 

鈴木哲也さま、ソーシャルワーカー
須賀川西部地域包括支援センター(福島県)

 10年以上社会福祉協議会で児童から高齢者、障がいのある方や生活困窮者等様々な方と関わってきたが、人生の最終段階を迎える方と接する事はなかった。そのため包括支援センターに転職して来ても、人生の最終段階を迎える方と相対する時、どのような声掛けをしたら良いか、どのように接したら良いのかが分からないでいた。

 しかし幸いなことに職場の同じフロア内で行われているカンファレンスで苦しむ人への援助と5つの課題について話しているのを部分的には見聞きできていた。講座を受講し、それを更に深めて、そもそも苦しみとは何ぞやから始まり、支える側の支えを改めて確認するまでの一連の流れを学び、マクロの視点で考えることが出来るようになったのが最大の収穫だった。「だった」と書くと過去形になってしまうが、業務の中で利用者の話を傾聴しながら、反復や沈黙(問いかけにはまだまだ至っていないが)を意図的にしながら、この方の現在の苦しみは何か、それを減らすためには何が出来るかを心がけ、実践している。

 上述したが、小澤先生の苦しむ人へのアプローチをベースに協議出来る恵まれた職場にいるわけだが、そういうケースは少数派だと思うので、講座で同じグループになった方と積極的に連絡先を交換し、自分の支えにすることをお勧めする。

 

まとめ

仙台開催は、昨年9月に行われた第34回に続いて5回目の開催でした。参加者も徐々に増え、今回も医師が参加者の1割以上お越しくださいました。毎回、ファシリテーター候補枠での参加者もいらっしゃり、今後の東北地域での広がりが期待されます。

協会としては2日間の講座を提供して終わりではなく、受講した方がさらに理解を深め、実践し、振り返り、自らと周囲を進化させていく、そんなお手伝いができたらと願っております。

次回は、3月17日(土)-18日(日)、大阪開催をレポートいたします。

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