講座開催レポート News


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第53回「エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座」(札幌)


11月10日(土)・11日(日)、札幌でエンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座を開催いたしました。当日は26名の皆さまにご参加いただきました(2日間の受講者、eラーニング+2日目集合研修の受講者、ファシリテーター候補者枠の方を含む)。開催にあたり、運営をご支援くださった地域学習会ファシリテーターならびにファシリテーター候補者のみなさまに心より御礼申し上げます。  

参加者

職種の内訳は、看護師42%、介護支援専門員12%、医師11%、保健師8%、その他27%でした。その他職種には介護職、ソーシャルワーカー、薬剤師、リハビリテーション職、歯科医師、生命保険、法人役員など、多彩な職種の方々にご参加いただきました。

地域別では開催地の北海道が9割以上を占める中、遠く香川県からのご参加者もいらっしゃいました。

 

講座の様子

協会理事であり、横浜で在宅診療を行うめぐみ在宅クリニック院長の小澤 竹俊が、2日間の講師を務めました。


2日間の講座では、以下の要素を学びます。

  • 課題背景(2025年問題に備えて)
  • 人生の最終段階に共通する自然経過
  • 苦しむ人への援助と5つの課題
  • 意思決定支援
  • 自宅・介護施設で求められる症状緩和
  • 多職種連携で「援助」を言葉にする(マクロ)
  • 1対1で対応する(ミクロ)

ただ受け身で聞くのではなく、ロールプレイや事例検討のためのグループワーク、学んだことの振り返りなど、ほとんど休む間もなく、口と手をたくさん動かしていただきました。

懇親会

終了後、半数以上の方が懇親会にご参加くださいました。

 

受講者の生の声(後日)

受講後、職場に戻って実践していらっしゃるみなさまの声をお聴きしました。

柳沼由佳さま、介護職(北海道)

 「自分だけがこの思いを抱えているんだろうか…でも何とかしなければ…」毎日そんなことを考えていました。
 
 私は現在有料老人ホームで勤務しています。当施設は看取りが可能であることも1つの強みにしているのですが、実際は職員全体の知識やスキルは低く、常勤の医師がいないことも含めお看取りをする体制が整ってるとは言えません。「受け止めは出来てます」と、スタッフが言い切ってしまうことに違和感を感じられる人が誰1人いないことも悲しい現実です。私はこの現状を何とかしたい一心で研修に参加し、1ヶ月が経過した頃、ある嬉しい変化が訪れました。
 
 私が奥様を亡くされたAさんのグリーフケアを行い記録に残した翌日のこと。1人の介護スタッフから「記録、読みました。あんなケアがあるんですね、グリーフって何だろうって思って調べました」と声を掛けられたのです。この今までにない大きな変化に私は感動し、小さな一歩を踏み出したと実感することが出来ました。
 
 これは一見、研修で学んだメソッドを実践し結果が得られたことで、周囲のスタッフにも変容が見られたように捉えられます。しかしこれは、自分自身の大きな変化だったように思えるのです。私は研修に参加し、それまで悩んでいるのは自分1人であるかのように考え周囲を変えようとしていたことに気づくと同時に、同じ志をもち同じ方向で語り合える方々が沢山いることを知りました。1人じゃないと思えたことで、[まずは自分ができることを頑張ろう、結果は後から付いてくる]という前向きな気持ちでケアに臨むことができ、自然な変化を生んだのだと思います。
 
 研修では、相手の苦しみをキャッチするためのスキルや考え方を学ぶことが出来ますが、[1人じゃない]という大きな支えを得ることが出来るのも、この研修の大きな魅力の1つではないかと思うのです。

 

加藤萌さま、医師
北海道家庭医療学センター 栄町ファミリークリニック(北海道)

 2018年夏に小澤先生のいらっしゃるめぐみ在宅クリニックを見学したのをきっかけに受講を申し込みました。北海道では秋に胆振東部地震が起き、私のクリニックがある札幌市東区も停電、断水、食料難、道路の陥没などを経験しました。日頃から外来診療、訪問診療を行っているのですが、特に地震後は患者様たちと共に苦しみを分かち合うなかで自身が癒されている感覚を強く感じていました。また同時期に同級生の訃報を聞き、心を痛めながら、同じく同級生だった御主人へどのように声をかけたら良いかわからずにいました。

 今回講座を受講して、苦しんでいる人にとってどんな「私」であればわかってくれる人と思ってもらえるだろうか、それは聴いてくれる私、そのための「援助的コミュニケーション」の方法について学びました。当日は多くの多職種の方が受講されており、皆でロールプレイを通して自ら患者様の立場も体感することができました。そして「誰かの支えになろうとするこの私こそ、一番支えを必要としている」―地震や身近な人の死を通して気づくことは、単に気が弱くなっていたのではなく、ずっと側にあった大事な支えだったのだと、このセンテンスを通じて振り返ることができました。

 受講後すぐに同級生の御主人に連絡を取りました。何気ない会話でしたが、確かに講座での学びが連絡する第一歩になりましたし、電話の最後には「聞いてくれて、電話くれて、ありがとう」と言っていただけました。

 毎日の現場は、励ましの通じない、時間を過去に戻すこともできない、そんな苦しみに溢れていますが、皆で一つ一つ小さな灯りを探していけるよう今回の学びを実践していきたいと思っております。この感想を書いている3日後には、地域の訪問看護師さんと当院スタッフで毎月1回開催している会において、担当中の患者様の「援助を言葉にする」事例検討を全員で取り組んでみる予定です。

 

山形千尋さま、看護師
創成東病院 看護部(北海道)

 「命のおもてなし~世代を超えて繋げていきたい学び~」

 緩和ケア学会での小澤竹俊先生との出会い、書籍コーナーにて「死を前にした人にあなたは何ができますか」の題名を目にしたとき、私の看護者としてのテーマがここにあることを感じました。そして今回エンドオブライフ・ケア援助者養成講座を受講させていただき、受講に至るまでに幾度となくぶつかってきた「自分には何ができるのか」という壁の解決策をいくつも見いだすことができました。

 目の前にいる患者様には“ゆだねる”という選択肢があること、そして医療者の私たちは“ゆだねていただいている”ということを改めて気づかせていただきました。受講後、様々な思いを抱えながら人生を全うされてきた患者様、共に歩んでこられたご家族に対し何を伝えられるのか、何をしてあげられるのかということばかりではなく、患者様・ご家族の発するサインやメッセージをキャッチすることを自己の課題として、現場に戻りました。何かをするのではなく、何かを受け取れるようにということを肝に銘じ、ベッドサイドに立たせていただいたとき、今まで気付けなかった様々な思いを知ることができました。

 終末期医療の現場では、倫理的問題や葛藤、予測できない事態にたくさん遭遇します。終末期医療が初めての医療者や終末期に抵抗がある医療者も少なくないと感じています。その中で、尊厳ある死を迎えられるように、私たち自身が患者様・ご家族にとって“わかってくれる人”でありたいと講座を通し再認識させていただきました。

 私自身、医療者としても人としてもまだまだ未熟ですが、院内でのカンファレンスの時間を用いた勉強会等を通し、世代を超えて命のおもてなしの場を提供できるよう今後も学びを繋げていきたいと考えております。最期に出会う医療者として悩んだことがある方々とともに今後も解決の糸口を一緒に探していきたいと思います。

 

まとめ

札幌では2018年5月の第44回以降、6回目の開催となりました。北海道でも徐々に認定ファシリテーターが増えており、ELC札幌では継続的な学習会も実施されていることが伝わっています。

協会としては2日間の講座を提供して終わりではなく、受講した方がさらに理解を深め、実践し、振り返り、自らと周囲を進化させていく、そんなお手伝いができたらと願っております。

次回は、12月1日(土)-2日(日)、横浜開催をレポートいたします。

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