第57回「エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座」(福岡)

  • 開催レポート

2019年2月10日(日)・11日(月)、福岡でエンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座を開催いたしました。当日は93名の皆さまにご参加いただきました(2日間の受講者、eラーニング+2日目集合研修の受講者、ファシリテーター候補者枠の方を含む)。開催にあたり、運営をご支援くださった地域学習会ファシリテーターならびにファシリテーター候補者のみなさまに心より御礼申し上げます。  

参加者

職種の内訳は、看護師50%、介護支援専門員15%、介護職8%、医師6%、介護職8%、薬剤師7%、リハビリテーション職2%、相談員2%、その他10%でした。その他職種にはソーシャルワーカー、ホームヘルパー、保健師、医師事務アシスタント、管理栄養士、救急救命士、事務、心理職、病棟クラークなど、多彩な職種の皆さまにご参加いただきました。

地域別では開催地の福岡をはじめ九州各地からの参加者が大半を占める一方、広島や愛媛、岡山などからのご参加者もいらっしゃいました。

 

講座の様子

協会理事であり、横浜で在宅診療を行うめぐみ在宅クリニック院長の小澤 竹俊が、2日間の講師を務めました。


2日間の講座では、以下の要素を学びます。

  • 課題背景(2025年問題に備えて)
  • 人生の最終段階に共通する自然経過
  • 苦しむ人への援助と5つの課題
  • 意思決定支援
  • 自宅・介護施設で求められる症状緩和
  • 多職種連携で「援助」を言葉にする(マクロ)
  • 1対1で対応する(ミクロ)

ただ受け身で聞くのではなく、ロールプレイや事例検討のためのグループワーク、学んだことの振り返りなど、ほとんど休む間もなく、口と手をたくさん動かしていただきました。

懇親会

終了後、半数以上の方が懇親会にご参加くださいました。同日、ELC九州山口としてファシリテーターの方々が学習会を同時開催されており、毎回懇親会にも多数ご参加いただいています。地域ごとに新たな繋がりができたのではないでしょうか。

 

受講者の生の声(後日)

受講後、職場に戻って実践していらっしゃるみなさまの声をお聴きしました。

安藤和美さま、看護師
在宅療養支援診療所 満岡内科クリニック(佐賀県)

 小澤竹俊先生、千田さん、2月のELC援助者養成基礎講座in福岡でお世話になりました。在宅支援診療所 満岡内科クリニック 看護師の安藤と申します。
 小澤竹俊先生のことを院長の満岡聰先生の講義で知りました。援助的コミュニコーションの紹介でした。小澤竹俊先生には、2018年10月20日佐賀でお会いしたのが初めてで、話し方や声が好きになりました。せっかくなので10月21日も長崎講演に参加。2019年2月のELC援助者養成基礎講座in福岡には理想と現実の開きが苦しみであるということを教えて頂いたことで、もっと知りたいと思い参加致しました。

 反復傾聴、沈黙、問いかけ、「苦しんでいる人は自分の苦しみをわかってくれる人(理解してくれる人)がいるとうれしい」、自分を肯定することなど大切なことを教えていただきました。学びが大きかったように思います。たくさんの人に聴いてほしいと思いました。小学校教育など、人々の文化として定着することを願っています。もっと早く出会いたかったというのが正直な気持ちです。そうしたら、楽になれたかも知れないし、穏やかな気持ちで過ごせたかもしれない、自分のことを肯定できたかもしれません。悩みや苦しみを抱えている人、役割を必要としている人に講座への参加をお勧め致します。

 実践してみて、話を聴いてもらえて楽になりました、今まで人にこんなこと話したことがなかったのに話してしまいましたなど、以前より話してもらえるようになった気がしています。この講座の素晴らしいところは受講者も救われること、そして受講者の実践によりさらに救われる人が生まれていくことです。外来診療、訪問診療、ACP、意思決定支援をすすめていく中、反省することの多い日々です。「誰かの支えになろうとする人こそ 一番、支えを必要としています」なので、支えを必要としている人の支えになりたいと思っています。

 

松本康博さま、介護支援専門員
平戸市民病院居宅介護支援事業所(長崎県)

 私の養成講座参加動機は、地域の高等学校の「介護職員初任者研修の講師依頼」が始まりです。講義内容が「死にゆく人に関連したこころとからだのしくみと終末期介護」でした。参考になる題材がないか探していた時に、ネットで小澤先生が出演された「プロフェッショナル 仕事の流儀」を見つけ「これだ!!」と思い使用させていただいたことがきっかけです。動画を見ているうち「ここに看取りケアの本質がある」ように感じ、以前から興味のあった看取りケアに更に興味が沸き、小澤先生の講義を直接聞きたくなり、受講を決めました。不思議な縁は繋がるもので、時期を同じくして佐世保市でH30.10/19「エンドオブ・ライフケア特別講演会」10/21長崎市で「第2回エンドオブ・ライフケア研修会in長崎」があり、小澤先生の講義を聴講する機会に恵まれ、事前学習をして養成講座に望むことができました。このように地域でもELCに関する研修会も数多く開催されており、現在の医療介護の潮流と感じています。

 受講をして得られた事は多々ありますが、私にとっては「地域に同じ志を持つ仲間が沢山できたこと」が一番の収獲です。養成講座のグループワークの仲間はもちろん、地域のファシリテーターの皆さんともご縁をいただき、グループラインにお誘いいただき、情報交換、交流をさせていただいております。H31.2月にはELC糸島の笠原先生をお招きし、地域で「看取り」をテーマに講演会を開催。地域住民を含め212名の参加で好評を得ました。この研修会をきっかけに今年度の養成講座に参加された方もおられます。

 ELCの輪(和)は確実に広がっています。養成講座受講をお考えの皆さん、小澤先生の「誰かの支えになろうとする人こそ一番支えを必要としています」の言葉が示すように、人を支えたいと思う私たちも必ず、誰かの支えを必要とします。この養成講座受講で一緒に学んだ仲間は生涯の仲間になり得ます。時代の潮流に乗り遅れないよう、まずその一歩から踏み出しましょう。

 

金山小百合さま、看護師
医療法人カーサミア 訪問看護ステーションすみれ(大分県)

 2017年の訪問看護サミットで、小澤先生の基調講演がありました。その内容は、「苦しみを言葉にすると「希望と現実の開き」。その苦しみは解決できる苦しみと解決できない苦しみがある。解決できない苦しみにどう向き合うか…援助者として逃げないことが大切である。人は、苦しみの中にも心が穏やかになれる支えを感じ持っている。その支えを一緒に考えることが私たちにできることである。苦しんでいる人にとって苦しみを分かってくれる人がいると嬉しい。」ということでした。小澤先生は、苦しみを抱えながら生きる人の穏やかな支えを考えることができる仲間を作っていきたいと講演を締めくくられていました。この出会いを大切にしたいと、受講しました。

 私は、4年前に乳がんと診断され、手術と抗がん剤治療を経験しました。小澤先生は、自分の中でずっとモヤモヤして言い表せずにいた苦しみを全て言葉にしてくれました。私にとって乳がんの宣告は、まさに、なんで私が…でした。死を考えると、死ぬことで大切なものを失ってしまう辛さに押しつぶされそうでした。そんな私に生きる力をくれたのは、家族だったり、職場の仲間だったり、友人だったり、何気ない時間や景色でした。今でも、大切な支えです。私自身ががんサバイバーとなり、小澤先生の講座を受け、私こそ、苦しみや支えを聴くことができる人になれるのではないか、と前向きに考えられるようになりました。

 現在、日々、家族や職場の仲間に支えられ、様々な患者様に向き合いながら活動しています。在宅では、自宅で家族と過ごす時間はとても大きな支えになるようです。患者さまの表情がとても穏やかになります。そして、今年2月の福岡開催後、ELCファシリテーターの認定をいただきました。今後は私自身が大分県で、志を共にする仲間を増やしていけるように自己研鑽しながら取り組んでいきたいと考えています。

 受講後、小澤先生、千田様始め、他県のELCのお仲間とつながりができたことは、とても嬉しく、励みとなり、今の私の穏やかな支えとなっています。感謝しています。

 

まとめ

福岡での開催は、今年1月の第55回に続き8回目の開催でした。九州山口ブロックでは認定ファシリテーターのみなさまにより、山口、糸島唐津、北九州、熊本、奄美、鹿児島・喜入など継続的な地域学習会が企画されています。

協会としては2日間の講座を提供して終わりではなく、受講した方がさらに理解を深め、実践し、振り返り、自らと周囲を進化させていく、そんなお手伝いができたらと願っております。

次回は、2月16日(土)-17日(日)、仙台開催をレポートいたします。

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