第64回「エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座」(福岡)

  • 開催レポート

2019年6月8(土)・9日(日)、福岡でエンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座を開催いたしました。当日は77名の皆さまにご参加いただきました(2日間の受講者、eラーニング+2日目集合研修の受講者、ファシリテーター候補者枠の方を含む)。開催にあたり、運営をご支援くださった地域学習会ファシリテーターならびにファシリテーター候補者のみなさまに心より御礼申し上げます。  

参加者

職種の内訳は、看護師53%、介護支援専門員21%、医師5%、介護職5%、ソーシャルワーカー3%、その他13%でした。その他職種には薬剤師、保健師、リハビリテーション職、鍼灸マッサージ師、管理栄養士、行政書士、相談員、施設管理職など多彩な職種の皆さまにご参加いただきました。

地域別では、開催地の福岡を中心に九州、中国四国地方からのご参加が目立つ一方、遠く北海道からもご参加者がいらっしゃいました。

講座の様子

協会理事であり、横浜で在宅診療を行うめぐみ在宅クリニック院長の小澤 竹俊が、2日間の講師を務めました。



2日間の講座では、以下の要素を学びます。

  • 課題背景(2025年問題に備えて)
  • 人生の最終段階に共通する自然経過
  • 苦しむ人への援助と5つの課題
  • 意思決定支援
  • 自宅・介護施設で求められる症状緩和
  • 多職種連携で「援助」を言葉にする(マクロ)
  • 1対1で対応する(ミクロ)

ただ受け身で聞くのではなく、ロールプレイや事例検討のためのグループワーク、学んだことの振り返りなど、ほとんど休む間もなく、口と手をたくさん動かしていただきました。

懇親会

終了後、半数以上の方が懇親会にご参加くださいました。

 

受講者の生の声(後日)

受講後、職場に戻って実践していらっしゃるみなさまの声をお聴きしました。

松尾則行さま、医師
こうなんクリニック(岡山県)

・養成講座参加の動機
何気に本屋でみつけた「今日が人生最後の日だと思って生きなさい」に感銘を受け、小澤先生の話を聞く機会があれば是非参加したいと思っていました。去年12月、岡山市で公開講座が開催され拝聴しました。講演の内容に深く感動し、これは是非とも養成講座を体験してみなければならない、と思い福岡で開催された講座に参加させていただきました。

・養成講座で得られたこと
初対面の参加者の方々と2日間に渡り、ロールプレイを含む濃厚な講座は大変でした。しかし、苦しむ人に接するにあたり生半可な知識と対応では誠に失礼にあたります。その心構えを養成いただいたと感じています。

・現場で実践していること
私は訪問診療医として自宅や施設の患者さまの生活の場へ診察に伺います。認知症の方の割合が非常に多く、末期癌の方の割合はそれほど多くはありません。癌のエンドステージの方の苦しみに対し、少しでも力になりたいと思いつつ、まだ受講後4か月では実践は進んでいません。しかし、講座で学んだ援助法は、人生の最終段階の人に限ったものではないことに気付きました。例えば、患者さんの部屋には、本人や家族が大切にされてきたものが飾ってあります。そこには、その人の歩んできた人生や生活を物語る、多くのヒントが隠れています。そこから支えとなるものをキャッチしようと意識するように心掛けています。また、ある程度認知症が進行していても、その方が好きなこと・やりたいことをお聞きすると、表情が和らぎ、笑顔になられます。支えやそれを強化するものをキャッチしようという働きかけは、相手との心の距離感を縮める効果があると実感しています。

・受講検討中の方へのおすすめのポイント
主たる対象は、医療や介護・福祉関係者の方だと思います。この講座を検討される方は、本当にまじめで優しい方が多いのだろうと思います。自分自身が、人間関係で悩み苦しんでおられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここで学ぶ方法は、職場や家族、一般の方との接し方にも変化を起こします。相手の背景にも思いをよせることは、人間関係を客観的にとらえる訓練にもなります。苦しんでいる人に対してだけでなく、苦しんでいる自分のためにも是非受けてみるべき講座だと思います。

 

村上大さま、鍼灸マッサージ師
セントラル治療院はりきゅう大心(鹿児島県)

 私は鹿児島で在宅を主とした訪問鍼灸マッサージに携わらせていただく中で、患者さんの「死」についてご本人やご家族と語ることに苦手意識があり、それは変わらないものだと思っておりました。そんな中、援助士の看護師さんが紹介して下さったのがエンドオブライフケアの勉強会でした。各地で開催されている勉強会で習い、実践していく中で「このケースでは何と言えばいいのか」「この会話の間はどうにかならないか」と、もっと深く知りたいと思い始めた頃に小澤竹俊先生の講演をお聞きしてすぐに援助者養成講座受講を即決しました。

 養成講座には一人で参加したので少し不安でしたが、周りは「患者さん・利用者さんのために」と熱い想いを持つ方々でしたので、打ち解けるのに時間はかかりませんでした。講座終了後には懇親会もあり、実践している先輩方ともお話しができ、その後は仲良くなった地元の方と博多の夜を満喫しました。

 講座中、基礎知識・実践方法を習い練習していく中で自信がついてくると同時に、通じない・当てはまらない場合はどうすればいいのか。と不安も出てきました。しかし小澤先生から「全てが当てはまることはありません。ぜひ現場で学んでください。」と助言をいただき現場が一番だと教えていただきました。

 受講から4カ月が経ち、落ち込んでる方や不安を持っていらっしゃる方から本音を聞き出せる事が出てきました。そして終末期以外の方にも通じることがあるのではと思い、多様な疾患の方、様々な悩み・不安を聞き出すことが出来、患者さんやご家族から頼られることが増えてきました。研修会などは受講したら忘れていくものですが、このエンドオブライフケアの援助の仕方は日本各地で勉強会が開催されているので、復習の機会があり応用に活かせることもメリットだと感じています。

 

まとめ

福岡での開催は、今年2月の第57回に続き9回目の開催でした。九州山口ブロックでは認定ファシリテーターのみなさまにより、山口、糸島唐津、北九州、熊本、奄美、鹿児島・喜入など継続的に地域学習会が企画されているほか、直近ではELC波佐見、ELC大分、ELC小さなウエーブ(福岡)、ELCよりより(長崎)(設立準備会)も加わり、活発な活動の様子が伝わってきています。

協会としては2日間の講座を提供して終わりではなく、受講した方がさらに理解を深め、実践し、振り返り、自らと周囲を進化させていく、そんなお手伝いができたらと願っております。

次回は、7月6日(土)-7日(日)、大阪開催をレポートいたします。

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