第67回「エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座」(東京)

  • 開催レポート

2019年8月3(土)・4日(日)、東京でエンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座を開催いたしました。当日は84名の皆さまにご参加いただきました(2日間の受講者、eラーニング+2日目集合研修の受講者、ファシリテーター候補者枠の方を含む)。開催にあたり、運営をご支援くださった地域学習会ファシリテーターならびにファシリテーター候補者のみなさまに心より御礼申し上げます。

参加者

職種の内訳は、看護師57%、介護支援専門員9%、介護職7%、医師5%、リハビリテーション職3%、心理職2%、ソーシャルワーカー1%、歯科医師1%、相談員1%、その他14%でした。その他職種には助産師、管理栄養士、メディカルアシスタント、事務職、教育部門職員、アロマセラピスト、終活カウンセラー、特別支援学校教諭、看護学生の方々にご参加いただきました。

地域別では、開催地東京と近隣の千葉、埼玉、神奈川のほか、北海道、東北、北関東、中部など幅広い地域からご参加者いただきました。

講座の様子

協会理事であり、横浜で在宅診療を行うめぐみ在宅クリニック院長の小澤 竹俊が、2日間の講師を務めました。


2日間の講座では、以下の要素を学びます。

  • 課題背景(2025年問題に備えて)
  • 人生の最終段階に共通する自然経過
  • 苦しむ人への援助と5つの課題
  • 意思決定支援
  • 自宅・介護施設で求められる症状緩和
  • 多職種連携で「援助」を言葉にする(マクロ)
  • 1対1で対応する(ミクロ)

ただ受け身で聞くのではなく、ロールプレイや事例検討のためのグループワーク、学んだことの振り返りなど、ほとんど休む間もなく、口と手をたくさん動かしていただきました。

懇親会

終了後、半数近くの方が懇親会にご参加くださいました。

受講者の生の声(後日)

受講後、職場に戻って実践していらっしゃるみなさまの声をお聴きしました。

駒澤美和子さま
助産師(東京都)

・養成講座ご参加の動機
産科病棟では出産という喜びの場面が多い反面、流産・死産という悲しい出来事があります。その方は臨月に入ってからの死産でした。医師から胎児心拍がない…との説明があり、今後の方針が伝えられました。何て声を掛けたら良いか悩みながらベッドサイドに行きました。感情の表出も、何の訴えもなく、ただ天井を見つめたまま涙を流していました。そして私に『仕事に戻っていいですよ』と一言。その言葉に私の頭の中は真っ白。あの場面がどうしても引っかかっていて、受講を決めました。

・養成講座で得られたこと
一番はグループのメンバーとの出会いです。初めて会った人ばかりなのに、私の気持ちを分かろうとしてくれて、職種は違いますが皆さん意識が高く、方向性が同じなので一緒にいて心地良いという感覚で、自分自身が元気になりました。二番目はロールプレイを通しての援助的コミュニケーションが実践出来たことです。三番目が、今回受講のきっかけとなったケースの振り返りです。自分自身の思い込みや傲慢さに気づいた気がします。

・現場で実践していること
援助的コミュニケーションを意識しています。反復をし、沈黙を恐れないように。変化は産婦さんとのコミュニケーション時間、苦しんでいる人の側にいれる時間が長くなった事です。

・受講検討中の方へのおすすめのポイント
私は一人で参加する事への躊躇がありましたが、参加してみると仲間がいて温かい気持ちになりました。思い立った時こそ、学びが深く参加するチャンスだと思います。

 

原香緒里さま
管理栄養士(茨城県)

 私は今まで、「看取りに関わるのは医師や看護師といった医療職」と思っていました。管理栄養士が直接看取りの現場に遭遇することはありません。現在勤務している老健で、ターミナルケアの方と関わる機会が多くなりました。幾度ものお送りを目の前にする中で、私は治療することも、痛みを取り除くことも出来ないけれど、何かできることがあるのでは?と考えるようになり、今回の講座に参加しました。

 講座を受ける中でまず、傾聴の意味を履き違えていたという事に唖然としました。今までも現場で「傾聴」することを大事にしてきました。しかし私が行っていた傾聴は自己満足にしか過ぎず、「苦しんでいる人は、自分の苦しみをわかってくれる人がいると嬉しい」という「相手の苦しみをわかる」ことには程遠かったことに気付きました。そして、何もできないと思い込んでいたのは自分であって、ターミナルケアに職種は関係ありませんでした。

 わかってくれる人になるために「反復、沈黙、問いかけ」が大事であること。講座では何度ものロールプレイを行うことで実際のイメージがつきやすく、さらにさまざまな立場を経験する事で、こういう考え方もあるんだ、という気付きがたくさんありました。初対面の人に心を開くのはなかなか難しい事だと思います。だからこそ、普段からの声掛けや、何気ない会話が大事になるということを今、実感しています。

 「穏やかになれるにはどうしたらいいか」自問自答、試行錯誤の毎日です。経験も実践もまだまだですが、ご本人、ご家族にとって「わかってくれる人」になれるよう、日々努力していきたいと思います。

 

下山理史さま、医師
愛知県がんセンター(愛知県)

 がん診療の際、全人的にケアすることはとても重要だと考えていますが、その中でもスピリチュアルケアはとても重要だと考えています。今回は、その学びを深めるために小澤先生が主宰されていらっしゃる本講座を受講させていただきました。

 日常の診療の中では、症状緩和と同時にその人の持つ苦痛や気がかりに焦点を当て、その人が自分らしく生きることができるよう、ともに悩みともに考えるようにしていますが、本講座を受講させていただき、苦痛をあるがままに受け止め、その人の価値観に寄り添ったケアを行うことの重要性を改めて感じさせていただきました。

 自分の診療・ケアを改めて見直すよいきっかけになりました。大変お世話になりありがとうございました。

 

看護専門学校2年生(埼玉県)

・養成講座ご参加の動機
現在看護専門学校の2年生です。もともと大学卒業後は一般企業で10年以上働いていました。7年前に夫が癌で亡くなり、亡くなる3ヶ月程前に緩和ケアチームに出会うことができ、緩和ケアの看護師に本当に助けられました。緩和ケアにもっと早く出会いたかったという思いから、緩和ケアをもっと知りたい、緩和ケアを私自身が実践したいと考えて看護学校に入学しました。病棟の看護師の方が長くお世話になり本当に素晴らしい看護をしていただいたと思っているのですが、緩和ケアチームとの違いは何なのかをずっと考えていました。病院実習が始まる前に緩和ケアについて学びたいと思い講座に参加しました。

・養成講座で得られたこと
患者さん自身の苦しみを本当に理解することは出来ないけれど「この人はわかってくれる人だ。」と患者さんに感じてもらえる可能性があり、この事が患者さんは嬉しいと学びました。夫と私が経験した事はまさにこれで、この人はわかってくれる人だと当時の夫と私は感じ、その事により苦しみが和らいだのだと理解出来ました。

・現場で実践していること
まだ小児科と整形外科にしか実習に行っていないので私自身は実践していないのですが、同級生が経験した事です。同級生が担当していた脊髄損傷の患者さんがリハビリ最中に「もう生きていても仕方がない。死にたい。」と発言しPTの方が「そんなこと言わないでくださいよ。がんばりましょう。」とコメントし、ただ黙って聞いているしかなかったと彼女は言っていました。講座で学んだことを実践するのであれば「『もう生きていても仕方がない、死にたいと』思われているのですね。」と気持ちを受け止める事になります。受け止める事ができたら、患者さんはもしかしたら苦しみが和らいだ可能性があると思いました。

・受講検討中の方へのおすすめのポイント
“自分が何に支えられて生きてきたかを話す”事でスピリチュアルペインの緩和に繋がると学んだ事は自分自身の苦しみの緩和にも役立つと感じました。他にもたくさんの技術を学びましたが、何より小澤先生から直接学ぶ事ができる事が一番のおすすめポイントです。

 

看護師(東京都)

 私は、緩和ケア主体の患者さんの多い病棟に勤務しています。終末期でもあるためか、ときに悲観的な訴えを聴くことがあります。私は、返す言葉が見つけられず、沈黙になってしまったり、私自身の言葉で置き換えて話し、ご本人が伝えたいことからずれてしまうことがあり、コミュニケーションの難しさを日々感じていました。そんな時、職場の上司から、この研修を勧められ参加させて頂きました。

 この研修で、「援助のゴールは穏やかであること」という言葉がとても心に響きました。苦しみや辛さは人それぞれであり、解決出来る苦しみ、解決出来ない苦しみがあり、その苦しみを解ってもらうこと、解ろうとしてくれている人がいると思えることで支えとなりその苦しみが変わってくるということ、そして、会話の仕方や話の聴き方でその人にとってわかってくれる人になり得るということを学びました。

 今までは、沈黙に対し苦手意識がありましたが、今は次の言葉を落ち着いて待てるようになりました。そして、会話の最後に笑顔が見られると、苦しみを少しでも軽減出来たのではないかと思えるようになりました。患者さんばかりではありません。ご家族にも様々な苦しみや困惑はあり、辛い思いをされていると思われます。今後も、この研修を思い出しながら、会話をして少しでもその人の支え、わかろうとしてくれている人になり得ればと思います。

 コミュニケーションの1つである会話はもちろん沈黙や反復も大切であることが学べます。会話や沈黙で悩むことがある方(だけではありませんが。)に参加していただきたいです。

 

まとめ

東京には毎回様々な地域から参加者が集まり、その規模も少しずつ拡大している様子が伝わってきています。東京都では認定ファシリテーターの皆さまにより継続的な地域学習会が企画されています。

協会としては2日間の講座を提供して終わりではなく、受講した方がさらに理解を深め、実践し、振り返り、自らと周囲を進化させていく、そんなお手伝いができたらと願っております。

次回は、9月7日(土)-8日(日)、仙台開催をレポートいたします。

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