第73回「エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座」(東京)

  • 開催レポート

2019年12月7(土)・8日(日)、東京でエンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座を開催いたしました。当日は71名の皆さまにご参加いただきました(2日間の受講者、eラーニング+2日目集合研修の受講者、ファシリテーター候補者枠の方を含む)。開催にあたり、運営をご支援くださった地域学習会ファシリテーターならびにファシリテーター候補者のみなさまに心より御礼申し上げます。

 

講座の様子

協会理事であり、横浜で在宅診療を行うめぐみ在宅クリニック院長の小澤 竹俊が、2日間の講師を務めました。


2日間の講座では、以下の要素を学びます。

  • 課題背景(2025年問題に備えて)
  • 人生の最終段階に共通する自然経過
  • 苦しむ人への援助と5つの課題
  • 意思決定支援
  • 自宅・介護施設で求められる症状緩和
  • 多職種連携で「援助」を言葉にする(マクロ)
  • 1対1で対応する(ミクロ)

ただ受け身で聞くのではなく、ロールプレイや事例検討のためのグループワーク、学んだことの振り返りなど、ほとんど休む間もなく、口と手をたくさん動かしていただきました。

懇親会

終了後、半数近くの方が懇親会にご参加くださいました。

 

受講者の生の声(後日)

受講後、職場に戻って実践していらっしゃるみなさまの声をお聴きしました。

 

矢吹律子さま、医師
筑波メディカルセンター病院 緩和医療科(茨城県)

・養成講座参加の動機
 緩和ケア病棟で働き始めて10年になりますが、どうすることもできない苦しみを抱えた患者さんに何ができるのか、自問自答する毎日です。何もできなくても、逃げずに向き合っていきたい、支えていきたい、と強く思うあまりに、疲弊していく自分を感じていました。どうしたらうまく関わることができるのだろうと悩み、スピリチュアルペインについて学ぼうとしましたが、具体的な援助につながるイメージは湧きませんでした。そんなとき、小澤先生の講演会を拝聴する機会がありました。「わかってくれる人」に、私はなりたい。その熱い思いに強く共鳴して、養成講座を受講することを決めました。

・養成講座で得られたこと
 今までぼんやりとした概念だったスピリチュアルペインが、「答えることのできない苦しみ」「解決できない苦しみ」としてとらえることで、自分のなかでようやく形のあるものになりました。相手を100%理解することはできないけれど、わかろうと努力すること、相手から見て「わかってくれる人」であることが援助につながることが分かり、自分のこれまでの関わりは間違っていなかったと実感し自信を持つことができました。

・現場で実践していること
 受講後のある日、ある若い患者さんから、「どうしてこんな病気になったのだろう」「生きている意味がない」と、沈鬱な表情で打ち明けられました。できれば逃げたくなるシチュエーションですが、いつもより落ち着いて受け止めることができました。新たに学んだ、「支え」を探ることを意識した「問いかけ」を少しずつ取り入れたところ、自然と病気以外の話も弾むようになり、笑顔が見られるようになりました。今後、病棟スタッフとも共有して、皆で取り組んでいきたいと考えています。

・受講検討中の方へのおすすめのポイント
 2日間みっちりと、小澤先生の魂のこもった講義、そしてグループワーク&ロールプレイ漬けになります。正直言ってかなりヘトヘトになりましたが、それだけ実践的なトレーニングを受けられるということです。また、出会えた仲間たちとの絆が、現場に戻って頑張るときの大きな力になります。医療・介護の現場で、悩みながら苦しむ人に関わっている方々に、一人でも多く受講してもらいたいと思います。

 

山戸淳さま、薬剤師
株式会社サンドラッグ 調剤部(東京都)

 「病気が悪化した」「歩ける距離が短くなった」「食事がとれなくなった」
 患者様からこのようなつらい言葉を聞くのは医療に携わる人であれば誰もが経験していると思います。このような場合は患者様に寄り添うことが大事と頭では理解していました。が、頭で分かっていても方法が分からず、結局は早々に薬の説明をして終了してしまう自分がいました。そんな時にエンドライフ・ケア協会の取り組みを知りました。

 誰もが苦手意識を持ちうるその人の人生の最終段階に、どのように関わっていけば良いのか?もっと出来ることがあるのではないか?そんな不安を解消すべく今回の養成講座に参加させていただきました。

 小澤先生の講座では、人生の最終段階の人と関わることはどういうことか?どのように支援すればよいか?など様々な問いかけに対し、分かりやすい講義と、多くのロールプレイを行い、確実に自信を持つことができました。特にロールプレイで患者役を行ったこともあり、沈黙に対する考え方が大きく変わりました。この経験があったからこそ、実際の患者様との会話において、自信を持って援助的コミュニケーションを行うことができました。もちろんまだ試行錯誤している段階ではありますが、関わる事への自信を持つことが出来たからこそ行動できたと思います。

 地域包括ケアシステムにおいては、「住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続ける」よう支援します。「最後の方まで」ではありません。薬剤師は地域包括ケアシステムの一員として最後まで積極的に関わり、チームとして患者様の苦しみを理解し支援していくべきです。今現在、患者様の為にもっとできることがあるのではないのか?そのように考えている方や、人生の最終段階を迎える人やその家族の方との関わり方に苦手意識を持っている方はぜひ受講して欲しいと思います。

 

 

 

まとめ

東京には毎回様々な地域から参加者が集まり、その規模も少しずつ拡大している様子が伝わってきています。東京都では認定ファシリテーターの皆さまにより継続的な地域学習会が企画されています。

協会としては2日間の講座を提供して終わりではなく、受講した方がさらに理解を深め、実践し、振り返り、自らと周囲を進化させていく、そんなお手伝いができたらと願っております。

次回は、1月18日(土)-19日(日)、名古屋開催をレポートいたします。

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