エンドオブライフ・ケア協会設立の背景とその意義

背景

人口動態の変化から、やがて超高齢・多死社会が訪れることを厚生労働省は考慮にいれ、2000年に介護保険制度を導入、2006年には在宅療養支援診療所などの整備を行ってきました。また、同じ2006年には、がん対策基本法が制定され、医師を対象としたがんに対する緩和ケア研修会なども整備されてきました。そして、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることを目指した「地域包括ケアシステム」が、2011年に介護保険法に盛り込まれるなど、様々な取り組みがなされてきました。

しかし、現実には地域での看取り数は、漸増してはいるものの、体制の整備は十分とは言えない状況が続いています。そのために、協会では、人生の最終段階を迎えた人が住み慣れた地域で最期を迎えるための支援ができる人材を育成することが必要であること、そして、そのことが、限られた医療資源を守ることにつながると考えるに至りました。

この状況に鑑み、救急医療の経験を持ち、緩和ケアに永年従事してきためぐみ在宅クリニックの小澤が、2013年から、人生の最終段階に対応できる人材育成プロジェクトを企画し、人材養成講座(2日間)をすでに計3回、100名以上を対象に実施してきました。このプログラムの特徴は、日に日に弱っていく人に対して、具体的な対人援助の関わり方の基本を学ぶことにあります。特に看取りの現場で耳にする、“なんで私がこんな病気になってしまったの?”、“家族に迷惑をかけるならば早くお迎えが来ないか”というスピリチュアルな苦しみに対する具体的な援助を含みます。あわせて北里大学の小野沢・医療政策と医療経営の実務を担ってきた田口と話し合いを繰り返し、この研修を一部の地域だけではなく、必要とする全ての人に伝えるための組織作りが必要であることを確認しました。そして、啓発活動に実績のある長尾クリニックの長尾が加わり、全国の看取りを支える100名以上の地域リーダーの賛同を得て、この度、エンドオブライフ・ケア協会を設立する運びとなりました。

エンドオブライフ・ケア協会の意義

地域包括ケアシステムの構築に向けた総論を学ぶ座学や研修会はすでに始まっています。しかし、各論として、具体的な対人援助の関わり方について学ぶ機会はほとんどありません。エンドオブライフ・ケア協会では、ホスピス・緩和ケア病棟で培われてきたホスピス・マインドを具体的に学ぶことを大切にします。

エンドオブライフ・ケアに関わることの魅力は、痛みや苦痛を和らげるだけではありません。苦しくて自分を好きになれない人、家族に迷惑をかけるならば早く逝きたいと思っていた人が、生きていて良かったと思えるようになるような援助ができることです。

一部のエキスパートしか行えない援助ではなく、医療・介護に関わる全ての人が行える援助を普及させるために、当協会は積極的に取り組んで参ります。

また、人生の最終段階はどういった自然経過をたどり、どのような社会的課題を含むものであるかについて、社会的な認知を向上させるための活動にも、当協会は積極的に取り組んで参ります。