人生の最終段階とそのケアについて(6) End-of-Life Care Sotires


6. 解決できない苦しみを前に私たちができること

苦しみは「希望と現実の開き」と紹介しました。
苦しみには解決できる苦しみと解決できない苦しみがあります。

がんを代表とする身体の痛みであれば薬物で痛みを和らげたり、希望の場所で過ごせないことに苦しみを感じているのであれば、希望の場所で過ごせる配慮をするなどして対応することができます。

しかし、どれほど医学や科学が発達しても、人間には解決することができない苦しみがあります。

一人でトイレに移動できず、誰かのお世話にならないといけない、家族に迷惑をかけて生きていたくないという想い。
一家の大黒柱として家族を養うことを誇りと感じていた人が、仕事ができなくなりかえって自分が負担をかけてしまう、ふがいない、情けない、という想い。

このような苦しみは、解決することができません。

その苦しみを前に、私たちには何ができるのでしょう?

残り続ける苦しみを前に、ここでは発想を変え、このような問いを立ててみたいと思います。

 

人は苦しみを抱えながらも、穏やかになれるでしょうか?

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人は、ただ苦しむのではありません。
苦しむ前には気づかなかった自らの支えに気づくとき、穏やかさを取り戻すことがあります。

ただ家族がそばにいるだけですごく穏やかな気持ちになれることに気づいたり、
何気ない友人の一言がものすごく嬉しかったり、
今まで気づかなかった庭に咲いている花に心を動かされたり、
今まで聴き逃していた音楽に涙を流したりします。

決して気が弱くなったのではありません。
大切な自らの支えに気づいたのです。

穏やかだと思える理由は人によって異なります。
その穏やかと思える理由を、現場では“支え”として大切にしてきました。
人は苦しみを抱えながらも、自らの支えが与えられた時、穏やかさを取り戻すことができます。

その可能性を、医療を専門としない多くの人にも伝えたいと考えています。


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