第38回「エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座」(名古屋)

  • 開催レポート

1月27日(土)・28日(日)、名古屋でエンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座を開催いたしました。当日は54名の皆さまにご参加いただきました。開催にあたり、 運営をご支援くださった、地域学習会ファシリテーターならびに候補者のみなさまに心より御礼申し上げます。 

参加者

54名の方にご参加いただきました。

職種の内訳は、看護師46%、介護支援専門員13%、介護職13%、医師9%、リハビリテーション職4%、保健師4%、ソーシャルワーカー2%、相談員2%、その他7%でした。その他職種には調香師・アロマセラピスト、非常勤講師、薬剤師、鍼灸あん摩マッサージ指圧師など、多様な職種のみなさまにご参加いただきました。

地域別では開催地・愛知および近隣の三重、岐阜、滋賀はもちろん、岡山から複数名のご参加があったほか、茨城、東京、埼玉などの関東方面や遠く沖縄からのご参加者もいらっしゃいました。

 

講座の様子

協会理事であり、横浜で在宅診療を行うめぐみ在宅クリニック院長の小澤 竹俊が、2日間の講師を務めました。


2日間の講座では、以下の要素を学びます。

  • 課題背景(2025年問題に備えて)
  • 人生の最終段階に共通する自然経過
  • 苦しむ人への援助と5つの課題
  • 意思決定支援
  • 自宅・介護施設で求められる症状緩和
  • 多職種連携で「援助」を言葉にする(マクロ)
  • 1対1で対応する(ミクロ)

ただ受け身で聞くのではなく、ロールプレイや事例検討のためのグループワーク、学んだことの振り返りなど、ほとんど休む間もなく、口と手をたくさん動かしていただきました。

懇親会

終了後、半数以上の方が懇親会にご参加くださいました。

 

受講者の生の声(後日)

受講後、職場に戻って実践していらっしゃるみなさまの声をお聴きしました。

親泊朝光さま、看護師
どりーむ訪問看護ステーション(沖縄県)

 「誰かの支えになろうとする人こそ、一番支えを必要としています」。この言葉は、2日間の研修の中で一番実感できたことでした。

 現場は、決してうまくいくことだけではありませんでした。むしろ、「これでよかったんだろうか」「あの時こうしていればよかったのでは」と悩むことがほとんどでした。そんな悩みの中にいるときに、エンドオブライフ・ケア援助者養成講座のことを知り、参加させていただきました。

 「人生の最終段階を迎えた人との関わりに自信を持てる」を目標に、講座は始まりました。それは、援助を言葉にすることにより、自信をつけていくことでした。ロールプレイを通して、援助者を演じ援助を言葉にする、患者役から苦しみを体験しながらも希望の光を感じる。それは、他の研修会では得られない貴重な体験でした。

 研修前に抱えていた悩みは、グループワークで一緒になった仲間と共有し、ロールプレイを通して解消されていくのを感じました。やはり、私自身が一番支えを必要としていることを再確認させてもらいました。超高齢少子多死時代を生きようとする私たちにとって、その支えは人生の最終段階にある人への支援に大きな力になります。

 現在、訪問看護師として研修で学んだ、「(相手が私を)わかってくれる人」になるために、学んだノウハウを実践しています。利用者様の「そうなんです」の一言から、その方の苦しみをキャッチし、支えを強めていく。穏やかな表情に出会えた時、この研修を受けて良かったと実感しています。

 

岩本由香さま、看護師
びわこ学園医療福祉センター野洲(滋賀県)

 私は重症心身障害児者施設で勤めています。利用者の高齢化、重度化が年々進んでおり、悪性腫癌に限らず様々な疾患による看取りの場面が増えつつあります。当施設で最期を迎えたいと望まれる利用者・家族がより良い最期を迎えられるように、またケアにあたる我々スタッフ自身の支えになるヒントが見つけられないかと思い受講させて頂きました。

 当施設では障害特性により言語的コミュニケーションが困難な方に加えて、自分の感情を表現する力が乏しい方が多く入所されています。人生の最終段階において何かを決めなければならない時、ご本人の思いや意思を確認することは難しく家族もスタッフも迷い後悔することも少なくありません。意思決定支援において「本人が大切にしてきたことは何なのか」「本人は今何を望んでいるのか」という大事なことを紐解いていく推定意思の大切さや「アドバンス・ケア・プランニング」について知ることができました。

 現場ではまだまだ戸惑うことは沢山あります。そんな時その人が「穏やかだと思えること」は何かを立ち止まり考えるように心掛けるようにしています。この講座では同じ看護師だけでなく、他職種の方と学び合えることで視点が広がり、より学びが深まりました。

 

石川明奈さま、リハビリテーション職
医療法人かがやき 総合在宅医療クリニック(岐阜県)

 私が養成講座を受けたきっかけは、職場の方の勧めがあったからです。病院から訪問診療専門のクリニックに転職し、人生の最終段階にかかわる機会が多くなりました。また、時期を同じくして自分の父親を看取りました。そんな中で、どんなかかわり方をしたらいいのだろうかと悩むことがあります。関わり方や考え方のヒントを得られるのではなかいと思い参加させていただきました。

 印象的だったのは、相手を理解しようとすることは大切だが「100%理解することはできない」、どうしたら相手からみてわかってくれる人になるか「それは聴いてくれる私」です。これまでは、理解することができないのに、わかったように振る舞ったり励ましたりする自分がいました。しかし、講座のロールプレイを通して、相手の求めているものはそうではなかったのだと気づくことができました。沈黙の大切さもロールプレイを通して学ぶことができました。

 養成講座を通して、反復と沈黙を意識するようになりました。失語症があり言葉ではうまく表現できない方もみえますが、相手からみてわかってくれる私になれたのではと思うことも経験できました。今後も援助的コミュニケーションを意識していきたいと思っています。

 人生の最終段階に関わる方はもちろんですが、どんな方にも当てはまることのある人と人とのコミュニケーションや関わり方を学ぶことのできる講座だと思います。

 

丸山淳也さま、医師
津山ファミリークリニック(岡山県)

 「本当に苦しみに向き合い、役に立つことはできているのだろうか?」

 医師として多くの方の終末期に関わる中で、ずっと疑問を感じながら関わっていました。たまたまエンドオブライフ・ケア協会の存在を知ってから何か得るものがあるのではと思い、1月の名古屋での講座にようやく参加することができました。

 研修は2日間非常に濃い密度の時間でしたが、苦しみをキャッチし援助するコミュニケーションを具体的に学んだことで、今までできていたコミュニケーションに加えて、何を行うことが援助になるのか学ぶことができ、現在は少し霧が晴れたような気持ちで患者と向き合うことができています。また、「援助者自身にも支えが必要」という考えを知り、役に立っていないかもしれない私自身も救われ、再び患者と向き合う力にもなったように思います。

 そして一番驚いたことは、この講座では支えの1つとなるような人間関係を講座の中で作りあげることができたことでした。現在はその関係も力に、岡山で、私たちが受けたような勉強会などを企画できないか取り組んでいるところです。

 

まとめ

今回は地元愛知県からの参加人数に迫る数の、三重県、岐阜県からのご参加がありました。地域学習会のファシリテーターを目指す方々も5名ご参加がありましたが、うち4名が三重県の方、1名が岐阜県の方です。

三重県にも、岐阜県にも、当初受講者が少なく、仲間を探し、自らファシリテーター認定を受け、各地での学習会に参加しながら機会を伺っていた方がそれぞれいらっしゃいますが、気がつけば、今回は多くのご参加があり、三重、岐阜、愛知、そしてELC東海としての広がりにも期待が高まる2日間となりました。

協会としては2日間の講座を提供して終わりではなく、受講した方がさらに理解を深め、実践し、振り返り、自らと周囲を進化させていく、そんなお手伝いができたらと願っています。

次回は、2月10日(土)-11日(日)、福岡開催をレポートいたします。

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