第5回「エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座」(福岡)

  • 開催レポート

11月28日(土)、協会設立後、5回目となる養成講座がスタートしました。初めての九州地区での開催です。

比較的小規模での開催となりましたが、ワーク中に方言が飛び出し笑みがこぼれるなど、終始和やかな雰囲気で進行しました。また、最後は春先に地域での勉強会を開催する計画も持ち上がり、再会を約束して終了となりました。

今回も開催にあたり、過去の受講者の方々に、サポーターとして当日の運営から仲間へのお声掛けまで、多くのご協力をいただきました。心より御礼申し上げます。

 

参加者

32名の方にご参加いただきました。

職種の内訳は、看護師53%、介護関連職種25%、医師9%、その他13%でした。今回も最も多かったのは看護師の方ですが、介護関連職種の方にも多くご参加いただきました。

地域別にみると、福岡からのご参加が最も多く10名の方がお越しくださり、続いて鹿児島、長崎、佐賀からも複数名でご参加いただきました。その他、広島県、山口県、大分県、沖縄県からもお越しいただきました。

 

講座の様子

協会理事であり、横浜で在宅診療を行うめぐみ在宅クリニック院長の小澤 竹俊が、2日間の講師を務めました。

2日間の講座では、以下の要素を学びます。

  • 課題背景(2025年問題に備えて)
  • 人生の最終段階に共通する自然経過
  • 苦しむ人への援助と5つの課題
  • 意思決定支援
  • 自宅・介護施設で求められる症状緩和
  • 多職種連携で「援助」を言葉にする(マクロ)
  • 1対1で対応する(ミクロ)

 ただ受け身で聞くのではなく、ロールプレイや事例検討のためのグループワーク、学んだことの振り返りなど、ほとんど休む間もなく、口と手をたくさん動かしていただきました。

 

 

懇親会

終了後、7割近くの方が懇親会にご参加くださいました。懇親会では、お一人お一人に、現在の活動内容などご紹介いただきました。懇親会は二次会まで続きました。

 (写真は二次会)

 

受講者の生の声(当日)

2日間の養成講座も終わりに近づいたころ、会場内で受講者のみなさまから、そのとき感じたことを生のお声として頂戴いたしました。

笠原 健太郎さま、医療法人あおぞら胃腸科(佐賀県)、医師

しっかり言語化して周囲の人たちに伝えていくことで、自分の整理にもなるし、チーム全体の意見もまとまっていく。これは非常に使える考え方だなと思いました。そして、それは必ず患者さんの想いにつながっていくんじゃないかと思います。

 
 

楠本 道子さま、大村市医師会 医療福祉連携室(長崎県)、看護師
酒井 眞弥子さま、大村市医師会 在宅介護支援部(長崎県)、看護師

反復ということをしようとしたときに、自分の感情などが入り込んでいたなとか、相手がいい理解者だと思ってくれるような私であったかな、と反省させられるところがありました。

苦しみから学ぶこと・・・業務ではもっと苦しいことがたくさんあって、患者様やスタッフへの対応も、対外的な多職種連携の際にも、苦しみの先に見えることを楽しみにしながら仕事に活かせたらと思いました。

 

 

受講者の生の声(後日)

あれから4週間。職場に戻って実践していらっしゃるみなさまの今をお聴きしました。

清田 直美さま
社会福祉法人 青山会 くわのみ荘(熊本県)、ケアマネージャー

 地域住民との学びの場『終活カレッジ』を開講しています。なかでも、人生の最終段階における医療については、関心が高く活発な意見が飛び交います。自分らしく生きる、自分らしく逝く、ということへの意識の高まりの中、援助者として人生のラストステージにどのように関わるか、また、看取り後の遺族へのグリーフケアの視点から家族と共にどう看取るか、理論を理解し実践できるようになりたい、と思い養成講座を受講しました。

 講座では、エンドオブライフ・ケアの地域包括ケア推進の観点からの必要性から、対人援助視点での具体的な援助の手法まで、幅広く学ぶことが出来ました。スピリチュアルペインについて、興味を持っていた村田理論からの解釈が学べたことも大変良かったです。

 演習では、自分がやれていなかった部分に気付くことが出来ました。受講後は、相手の話を傾聴でき、そのことで自然とその人の何を支援するべきかに気付く時があります。繰り返し演習を行った成果は、すぐに実感出来ました。同期生からは、この学びを忘れず確実なスキルにするために、自主的な勉強会開催の声があがっています。そんな仲間の存在を得ることが出来たことにも感謝しています。

 人生や暮らしや想いに焦点をあてた援助の学びは、人生の最終段階を迎えた人々への援助としてだけではなく、自身の家族、友人、職場などあらゆる人間関係の様々な場面で活用することが出来る充実した内容です。

 

武末 光子さま
医療法人社団 高邦会 やながわ訪問看護ステーション(福岡県)、看護師

看護師の仕事をして以来、多くの方の最後の時間に関わってきました。

末期がんの方に限らず最後の時間に関わらせて頂いた時、お一人お一人の事例を振り返りこれで良かったのか、ご利用者様が希望される生活を支援できただろうか、提供すべき看護は行えただろうかと自問自答しながら振り返る状況でした。そのため自分が自信をもって看護を実践できたと思えるようにこの講座に参加しました。

私にとって講座での学びは多くあります。まず、苦しみの構造が定義づけられていたことです。当たり前のようでありながら苦しみについてスッと理解を深めることが出来ました。次に「3つの支え」についてです。家族や将来の夢だけでなく選ぶことが出来る自由も、また支えとなるとの学びには、一人一人異なる支えをキャッチする視点が広がりました。

最後に理解者になるための聴き方です。「反復」「沈黙」「問かけ」と丁寧にワークを繰り返しながらの学びに多くを学ぶことが出来ました。問いかけの言葉も増やすことができました。

まだまだ、十分に実践は出来ていませんけれど、まずはこの学びをスタッフにも知ってほしいと思い伝えているところです。

受講検討中の皆様へ、この2日間は緩和ケアというだけではなく、苦しむ人のよき理解者となるための考え方やコミュニケーションとして多くの学びがあります。受講後の変化はそれぞれ違うとは思いますが、学び多い講座としてお勧め致します。

 

 

まとめ

受講後、Facebookなどでのつながりも生まれ、春先には勉強会の開催をという声が聞こえてきています。ぜひ、今後も地域で継続的に、仲間と勉強会や振り返りの機会を持っていかれることを願っております。

協会としては2日間の講座を提供して終わりではなく、受講した方がさらに理解を深め、実践し、振り返り、自らと周囲を進化させていく、そんなお手伝いができたらと願っております。

次回開催は、12月5日(土)-6日(日)、名古屋開催です。多様な参加者のみなさまとお会いできますことを、スタッフ一同楽しみにしております。

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