第6回「エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座」(名古屋)

  • 開催レポート

12月5日(土)、協会設立後、6回目となる養成講座がスタートしました。初めての東海地区での開催です。

10月の体験セミナーや、岐阜で9月に行われた死の臨床研究会年次大会を通じてご参加を決めてくださった方も多くいらっしゃいます。やや静かな立ち上がりから、徐々に場が温まり、自身の経験と照らした感想や質問でどんどん手が挙がるようになり、最後は同窓会長の伸びやかなお声で講座を終えました。

今回も開催にあたり、過去の受講者の方々に、サポーターとして当日の運営から仲間へのお声掛けまで、多くのご協力をいただきました。心より御礼申し上げます。

 

参加者

44名の方にご参加いただきました。

職種の内訳は、看護師55%、介護関連職種11%、医師11%、その他18%でした。今回も最も多かったのは看護師の方ですが、介護関連職種や医師、その他として、薬剤師、相談員、リハビリテーション職、鍼灸指圧治療、メディカルアシスタント、保育士、僧侶、地域包括支援センター職員と、様々な職種の方々にご参加いただきました。

地域別にみると、愛知県からのご参加が最も多く22名の方がお越しくださり、続いて三重県、岐阜県、東京都からも複数名でご参加くださいました。その他、北海道、群馬県、神奈川県、静岡県、兵庫県、愛媛県、鹿児島県からもお越しいただきました。

 

講座の様子

協会理事であり、横浜で在宅診療を行うめぐみ在宅クリニック院長の小澤 竹俊が、2日間の講師を務めました。

2日間の講座では、以下の要素を学びます。

  • 課題背景(2025年問題に備えて)
  • 人生の最終段階に共通する自然経過
  • 苦しむ人への援助と5つの課題
  • 意思決定支援
  • 自宅・介護施設で求められる症状緩和
  • 多職種連携で「援助」を言葉にする(マクロ)
  • 1対1で対応する(ミクロ)

 ただ受け身で聞くのではなく、ロールプレイや事例検討のためのグループワーク、学んだことの振り返りなど、ほとんど休む間もなく、口と手をたくさん動かしていただきました。

 

懇親会

終了後、5割近くの方が懇親会にご参加くださいました。懇親会では、ペアで現在の活動内容などお話いただいた後、全体で他己紹介としてお相手についてご紹介いただきました。

 

 

受講者の生の声(当日)

2日間の養成講座も終わりに近づいたころ、会場内で受講者のみなさまから、そのとき感じたことを生のお声として頂戴いたしました。

宮下 善美さま、訪問看護ステーションはみんぐ(愛知県)、代表取締役 看護師
池田 慶子さま、訪問看護ステーションはみんぐ(愛知県)、管理者 看護師

訪問看護ステーションを立ち上げて3年半経ちます。62件の看取りを現場でやってきて、手探り状態で来たのですが、やってきたことが間違いなかったなという再確認ができ、また、やってきたことが文章化・図式化されて、ますます自信を持ってやっていけるかなと思っています。

講座の中で「支え」とありましたが、私たちも支えられていると感じましたし、支える人も元気でないといけないと感じましたので、今後、もっともっと勉強して、いいケアをしていきたいと考えています。

 
 

杉下 辰雄さま
杉下治療院サムズスペース(愛知県)、鍼灸マッサージ師

脳梗塞の患者さんに「このままだったら生きていてもしょうがない」と言われたときに、何も答えられなかったところに受講動機はさかのぼります。これから出会うかもしれない患者さんのために、人生の最終段階において、よかったなと穏やかに過ごせるケアが、マッサージと鍼灸の実務以外のコミュニケーションのところで、できたらいいなと思っています。

 

 

受講者の生の声(後日)

あれから4週間。職場に戻って実践していらっしゃるみなさまの今をお聴きしました。

矢田 俊量さま
宗教法人善西寺 代表役員/三重県がん相談支援センターがん死別体験者のわかちあいの会「おあしす」ファシリテーター

 エンドオブライフステージで本人・家族がどのように「死」を受け止め、関わるかは人生の重要な課題です。そしてこのステージの課題をよく理解する援助者の関わりは、本人の全人的ケアだけでなく、死別後の家族のグリーフにも大きな影響を与えます。

 私は遺族によるグリーフケアのセルフヘルプグループのファシリテーターをつとめて15年、複雑性悲嘆に翻弄される多くの遺族と共に歩みながら、臨死期から死別・グリーフプロセスには一貫した援助が必要であることを感じてきました。“エンドブライフ・ケア”にはその視点があり、今回、参加させていただきました。

 他の方々も、それぞれの現場での切実な問題意識からのご参加で、講義・ロールプレイはまさに真剣そのものでした。おかげさまでそのような同志とのひとときに、多くの刺激と気づきを得る濃密な二日間でした。特に、1)即行動に繋がる具体的な講義内容、2)実践へのモチベーションとなる仲間とのつながりは、他では得難いものと感じました。

 今後も本講座がタンポポの綿毛がひろがるように各地で開催され、看取りに関わる多職種連携のネットワークづくりの基盤となればと願います。

 わたしも援助者としてのスキルをさらに高め、エンドオブライフにおける「宗教無き現実と現実無き宗教」の出遇いがもたらす“豊かさ”を語り続けてまいります。

 

小助川 美樹さま
介護老人保健施設 ぼだい樹(北海道)、リハビリテーション職

 『人は誰もが生まれ落ちた瞬間から死に向かって歩む』そんな誰かの言葉に心惹かれる

 私は今回の講座に知人からの紹介で興味を持ちました。HPを見て看取りに直接関わる職業じゃないけど参加していいのかなと迷いました。人生の最終段階は俗に言う終末期医療を必要としている人や高齢者だけに訪れるものじゃないし…苦しんでいるのは本人だけじゃないだろうし……(私の居住地)札幌でも4月には開催予定があるけれど早く知りたいし…無駄な事なんて無いし…あれこれ理由を付けて゚えいっ゜と名古屋での講座に参加。

 飛び込んで正解。人生の最終段階だけではなく内側に痛みを抱えた人との関わり方を学ばせていただきました。感覚的にこなしていた会話、気付きをサポートする方法、重たい内容の受け止め方・伝え方などを整理し言葉に表現しながら学ぶことで自分の中にストンと落ちるものがありました。これならば、今まで歯がゆい思いをしていたけれど人にも伝えることができる(職場での教育)と気持ちが軽くなりました。

 自分自身も、一般的に敬遠される人生の最終段階にある方、重度の精神疾患・認知症の方やいわゆる偏屈な方との関わりに身構えることが減りました。

 職業なんて関係ない、誰もが学んでいい内容だと思います。業務としてのスキルアップだけではなく如何に人と関われるか自分の深さを測る場でありました。また、同じ思いを持っている者同士、独りじゃないと励まされ、次の一歩を重ねる気力を得ることができた2日間でした。

 

皆川 美穂
訪問看護ステーションわたぼうし(兵庫県)、看護師

養成講座を受講しようと思ったきっかけは小澤竹俊先生の『いのちの授業』に感動し、私自身が『人生の最終段階』に関わることがこんなに素晴らしい仕事であると今後伝えていくことができる自分になりたいと思ったからです。

養成講座で得た内容はたくさんありますが、患者様の『支え』を一緒に見つけられたら、苦しい状況にあっても患者様が『穏やか』になる可能性が十分あるという学びが最も大きかったと思います。

現在、患者様の『支え』を探す質問を投げかけることを特に意識して行っています。また患者様の『支え』となる事は患者様に関わるどの職種であっても可能であると言葉に出して伝えています。

患者様の『支え』を探すため、「最も輝いていた時はいつですか?」等の質問を行うと患者様が活き活きと話して下さることを実感しています。

養成講座に参加し『人生の最終段階に対応できる』仲間を増やしたいという自分の思いを改めて確認できました。患者様、ご家族、そして一緒に働く仲間を支えたいと願っている方にぜひ受講をおすすめしたいです。

 

まとめ

受講後、現場で実践しているご様子について、Facebookなどで活発な情報発信が続いています。ぜひ、今後も地域で継続的に、仲間と勉強会や振り返りの機会を持っていかれることを願っております。

協会としては2日間の講座を提供して終わりではなく、受講した方がさらに理解を深め、実践し、振り返り、自らと周囲を進化させていく、そんなお手伝いができたらと願っております。

次回開催は、1月30日(土)-31日(日)、仙台開催です。多様な参加者のみなさまとお会いできますことを、スタッフ一同楽しみにしております。

 

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