第8回「エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座」(東京)

  • 開催レポート

2月20日(土)、東京での養成講座がスタートしました。第4回東京開催以降、福岡、名古屋、仙台での開催を経て、久方ぶりの東京開催となり、北は北海道、南は沖縄まで、90名もの皆さまにご参加いただきました。

開催にあたり、今回も過去の受講者の方々にサポーターとして、当日の運営から仲間へのお声掛けまで多くのご協力をいただきました。心より御礼申し上げます。

 

参加者

 90名の方にご参加いただきました。

職種の内訳は、看護師64%、介護関連職種16%、ソーシャルワーカー3%、医師、相談員、薬剤師、保健師がそれぞれ2%、その他9%でした。今回も最も多かったのは看護師の方ですが、介護関連職種も多数ご参加いただきました。

地域別にみると、東京都からのご参加が最も多く30名の方がお越しくださり、続いて神奈川県、千葉県、埼玉県からも複数名でご参加くださいました。その他、北海道、新潟県、長野県、茨城県、山梨県、群馬県、静岡県、愛知県、奈良県、岡山県、山口県、香川県、沖縄県からもお越しいただきました。

 

講座の様子

協会理事であり、横浜で在宅診療を行うめぐみ在宅クリニック院長の小澤 竹俊が、2日間の講師を務めました。

2日間の講座では、以下の要素を学びます。

  • 課題背景(2025年問題に備えて)
  • 人生の最終段階に共通する自然経過
  • 苦しむ人への援助と5つの課題
  • 意思決定支援
  • 自宅・介護施設で求められる症状緩和
  • 多職種連携で「援助」を言葉にする(マクロ)
  • 1対1で対応する(ミクロ)

 ただ受け身で聞くのではなく、ロールプレイや事例検討のためのグループワーク、学んだことの振り返りなど、ほとんど休む間もなく、口と手をたくさん動かしていただきました。

 

懇親会

終了後、半数近くの方が懇親会にご参加くださいました。懇親会では、ペアで現在の活動内容などお話いただいた後、全体で他己紹介としてお相手についてご紹介いただきました。

 

 

受講者の生の声(当日)

2日間の養成講座も終わりに近づいたころ、会場内で受講者のみなさまから、そのとき感じたことを生のお声として頂戴いたしました。

 

森本 広子さま
リンクハート株式会社 ゆい訪問看護ステーション(奈良県)、所長・看護師

ELNEC等の受講をしたり指導者もさせていただいています。在宅ではチームで支援しますので、看護職だけではなく、多職種の人にわかりやすく伝えていくということがこれからは必要と思っています。2日間の講義で、十分ポイントを絞って教えていただいたと思うのですが、それを実践するにあたって、共感性や感受性など自分のアンテナを常に磨いていかないといけないと思いました。土台になる自分自身が未熟であると心のこもったケアはできないと思うので、そのあたりも新たな課題として見つかりました。

 
 

 

高橋 美佐緒さま
北下浦地域包括支援センター(神奈川県)、看護師

神奈川県立福祉大学の実践教育センターにおける多職種連携推進過程で、昨年度1年間一緒に学んだ仲間から紹介を受けて、みんなで一緒に申し込み受講しました。講座では、ロールプレイなどをしながら自己の振り返りができました。今まで自分はわかっていても人に伝えることや行動を言語化することがなかなかできなかったので、それを実際にやってみて、とても難しいことだと気づきましたし、これからも続けていかなければいけないことだなと思いました。

 
 

永井 玲子さま
株式会社Caihome(東京都)、介護事業所経営者

当事業所は小規模のデイサービスに学童保育を組み合わせて事業を行っているのですが、次の事業展開の中で、住宅系の事業も展開していきたいと考えています。その際に必ず看取りは必要であると考えますが、介護の現場の者ですので、看取りに携わることがなく、苦手意識というか怖いなという意識がありました。これからは私達自身が現場で実践してみるのですが、職員に向けて説明したり、社員として学んでおかなくてはいけない内容もあったので、それも踏まえ、発展して、今後事業に展開していければと思っています。

 
 

 

受講者の生の声(後日)

あれから4週間。職場に戻って実践していらっしゃるみなさまの今をお聴きしました。

 

鏑木陽子さま
聖ヨハネホスピスケア研究所(東京都)、音楽療法士

 養成講座に参加した理由は2つあります。ひとつは2025年問題について最新の動向を知り、この先、自分に何ができるのかを考えたかったこと。もうひとつは、音楽療法の現場において、もっと患者さんの心の声を聴けるようになりたかったことです。音楽療法は非言語的コミュニケーションですが、自分は音楽を隠れ蓑にして患者さんに向き合うことを避けてきた部分があるのではないか?という問いを長いこと抱いてきました。音楽に頼らない援助的コミュニケーションを学びたかったのです。

 ロールプレイでは患者役、聴き役、観察役をそれぞれ経験しました。患者役のときには涙ぐんでしまったのですが、それゆえに沈黙するには理由があり、それだけの時間が必要なのだということも実感できました。また聴き役としては「援助を言葉にする」ことの難しさにたじろぎました。しかし、これこそが私に必要なものでした。

 現場に戻り、「反復、沈黙、問いかけ」を心の中で呟きながら、セッションに取り組んでいます。きっと徐々に身体に染み込んでいくことでしょう。

 多職種連携こそがカギのエンドオブライフ・ケア。この講座は、人生の最終段階に関わるさまざまな職種の人たちと共に学びあえる場です。輪を広げ、層を厚くしていきましょう。

 

Tさま、看護師

緩和ケア病棟に勤務し、日々死に向き合う患者様やご家族に自分は何ができるのか?

小澤先生の『医療者のための実践スピリチュルケア』を読み、存在を強める支えを的確に見つけられようになりたいと思い受講しました。

大勢の様々な立場の方たちがこんなに真摯に学ぶために集まったことに驚きました。

濃密な2日間はロールプレイ満載で、得意な部分は良い評価を得られ自信につながり、この講座の目的である“伝える説明する”という苦手な部分では四苦八苦しました。しかしそれも教えていただいた説明を反復練習し実践することで自分のものにできると感じました。

演習を通し、悲しんでいた人が穏やかになるのは大切な人とのつながりを自分の人生の一部として共に生きていくこと、そのためにも効果的な問いかけで永続的なつながりを見つけるグリーフケアの重要性は私の中で府に落ち貴重な学びの1つとなりました。

講義はとても具体的で実践的でした。

緩和ケア病棟に肯定的に入院される方は多くありません。諦めの思いでいるご本人とご家族が『支え』に気付き穏やかであることを実感できるように、仲間と共に関わっていきたいと思います。

 

徳野 尚且さま
ケアプロ訪問看護ステーション東京 足立区島根事業所(東京都)、看護師

 これまで病院や老人保健施設で看取りを経験してきましたが、患者様の気持ちに寄り添えていただろうかと常々考えていました。

 そんな時に職場見学に訪れていた方から協会と養成講座を紹介され、受講してみることにしました。

 人生の最終段階にある患者様の苦痛を私達が完全に理解することは難しいことですが、理解しようと努力する姿勢が大切であることを学んだのが印象的でした。

 現在は訪問看護ステーションで勤務をしていますが、利用者様の苦痛を一緒に感じ取れるようなコミュニケーションを心がけるようにしています。

 研修内容はテーマの性質上、堅苦しい雰囲気になりがちですが、小澤先生の緩急をつけた講義と一体感が生まれるグループワークはおすすめです。

 

 

まとめ

受講後、Facebook等を通じて各自実践している様子も伝わってきています。ぜひ、今後も仲間と情報交換しながら学び続けていかれることを願っております。

協会としては2日間の講座を提供して終わりではなく、受講した方がさらに理解を深め、実践し、振り返り、自らと周囲を進化させていく、そんなお手伝いができたらと願っております。

次回開催は、2月27日(土)-28日(日)、大阪開催です。多様な参加者のみなさまとお会いできますことを、スタッフ一同楽しみにしております。

 

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