2月27日(土)、大阪での養成講座がスタートしました。大阪開催は2015年10月の第3回以降、2回目の開催でした。
静かな立ち上がりを経て2日目後半のロールプレイ後には次々に手が挙がるようになり、最後は振り返りのコメントの後の温かい拍手、疲れの中での充実された表情、志を共にする仲間とのつながりを言葉にされていることなどがとても印象的なみなさまでした。
開催にあたり、今回も過去の受講者の方々にサポーターとして、当日の運営から仲間へのお声掛けまで多くのご協力をいただきました。心より御礼申し上げます。
84名の方にご参加いただきました。
職種の内訳は、看護師52%、介護関連職種23%、医師9%、薬剤師5%、ソーシャルワーカー3%、リハビリテーション職、その他がそれぞれ4%でした。
地域別にみると、大阪府からのご参加が最も多く42名の方がお越しくださり、続いて兵庫県、奈良県、和歌山県、鹿児島県、京都府、広島県からも複数名でご参加くださいました。その他、岐阜県、三重県、滋賀県、福井県、鳥取県、山口県、福岡県からもお越しいただきました。
協会理事であり、横浜で在宅診療を行うめぐみ在宅クリニック院長の小澤 竹俊が、2日間の講師を務めました。
2日間の講座では、以下の要素を学びます。
ただ受け身で聞くのではなく、ロールプレイや事例検討のためのグループワーク、学んだことの振り返りなど、ほとんど休む間もなく、口と手をたくさん動かしていただきました。
2日目にはテレビ番組の取材が入り、皆さまが熱心に取り組む様子を撮影していただきました。
終了後、半数近くの方が懇親会にご参加くださいました。ペアで現在の活動内容などお話いただいた後、全体で他己紹介としてお相手についてご紹介いただきました。司会は過去の受講生にお願いし、息もぴったりな掛け合い漫才風に進行していただきました。
2日間の養成講座も終わりに近づいたころ、会場内で受講者のみなさまから、そのとき感じたことを生のお声として頂戴いたしました。
山本 英雄さま
社会福祉法人 悠寿会 みとう悠々苑デイサービスセンター(山口県)、介護職
高齢の方に携わる業務の中で、(ご本人の)機能が落ちてきたときに、「どうしてこんなつまらん者になってしまったのかね」と聞かれ、言葉をどう返していいかずっと悩んでいました。小澤先生の講演を聞いて、もう少し技術的な部分や理念的な部分で深く学びたいと思って参加しました。現場の職員や施設長、また、山口県全体にエンドオブライフ・ケアの素晴らしさを伝えていければいいなと思っております。
大路 元美さま
京阪ライフサポート訪問看護ステーション(大阪府)、看護師
本人の奥深くにはきっと(苦しみが)あるけれど、見えていなかったり、見えていたとしても(訪問看護師として)奥深くまで聞いてあげることに躊躇してしまっていました。目に見えないものや奥深くにあるものが本当は大切で、それに気づいてもらえること、そして気づけているということをサインとして(相手に)伝わるまでが大事かと思います。今までは(きっと心の中に)何かあると思って聞き出そうとしていましたが、タイミングもあるので、その人が話したいときに話せるところにいられたらいいなと思っています。
坂本 明美さま
株式会社虹色のりんご(大阪府)、介護支援専門員
旅立たれたご利用者様の支援で、もやもやと心に残っているものがあり、何か解決の糸口が見つかるのではと思って受講しました。受講して、支援する私たちも、(これから)こうなるのだよと心づもりができたなと思いました。つまり、これから関わるであろう方々にとって、自分も少しの支えになれるのではないかなと思います。ご家族様と一緒に話し合って、ご家族様の心のケアもできたらいいなと思っています。
あれから4週間。職場に戻って実践していらっしゃるみなさまの今をお聴きしました。
津野 采子さま
株式会社ハート介護サービス ハート介護サービス東住吉支店(大阪府)、介護職
私は介護士です。エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座を先に受講し、日ごろからお世話になっている先輩の看護師丹後さんにおすすめされての受講でした。ターミナルの方とかかわることが多かったこと。そして、あの時のあの対応はこれでよかったんだろうかとずっと葛藤してきた事がきっかけで、この講座を受講しました。
研修後すぐに実際に自分の祖母の枯れていくようなきれいな老衰を目の当たりにしました。穏やかに笑顔でかつ、学んだとおり、経験してきたとおりに下顎呼吸が始まり・・・そして穏やかに息を引き取る時、ひ孫4人と孫二人とその嫁、そして最愛の娘に囲まれ旅立ちました。小澤先生から学んだ「これでいいんだ」で救われ受け入れることができました。
仕事でもこのかかわり方でよかったのかと長年自責の念を抱えて働いてきましたが、自分自身の支えを見つけ、恐れずに最後の時を迎える方に寄り添える気がしています。
現場で実践していることとしては、誰かの支えになれるように意識をし、人を大切に思えるようになったと思います。それはすべての人に当てはまると感じます。沈黙を効果的に用い、相手の本当の気持ちを聞き取るように心がけています。理解者であると思っていただけるように自分というものは脇に置くようにしています。また、学んだ中で、医療との連携に欠かせない実用的なチェックシートがありましたので、それを使用しようかと用意しています。
仲間ができることは自分の支えになります。すべての人に応用できる、明日から頑張ろうと思える体感型の研修だと思います。人生変わります。
丸山 一子さま
大阪北ホームケアクリニック(大阪府)、看護師
人生の最終段階のケア・・・日頃、携わる事が多い仕事でありながら、きちんと学んだ事がなく、今まで自分なりに行っていたケアが誤ったものではなかったか?自信を持って携わる事が出来れば、今まで感じていた無力感に苦しまなくてもいいのではないか?それを知りたくて受講させて頂きました。
病の中にあり、様々な思いを抱えた患者さんと接する中で、迷い・戸惑い・考えながら得てきていた関わり方は漠然としたものでした。受講したことで、その感覚的であったものを、きちんと対人援助の技術として整理して頂き、実践の場で使えるものにして頂きました。
受講して数日が経ちます。訪問診療に同行する日々の中で、お看取りになる患者さんがおられました。その方の問いかけに、今までのただ頷き、聞く事しか出来なかった自分ではなく、言葉を返せる自分がいました。「援助を言葉にする」この講座で得たことを実感した瞬間でした。
今回の講座は「入学式です。」と言われていたように、まだ対人援助の方法を教えて頂いただけに過ぎません。様々な状況にある患者さん、ご家族一人一人に寄り添えるように、これまでのように迷い・とまどい・考える事は忘れないようにしながら、援助の技術を磨いて行きたいと思います。
船越 政江さま
医療法人社団林山朝日診療所 訪問看護ステーションわたぼうし(兵庫県)、看護師
以前から、小澤先生のスピリチュアルケアの考え方に感銘を受けていました。講座で学んで、スキルアップしたいと思ったのが受講のきっかけでした。
講座では、学びを実践できるレベルまで身につけられるように展開されていました。本でケアについて理解するのとは違い、多くの発見がありました。たとえば、こどもでも分かるように説明できることは簡単ではないということ、自分の思考回路が専門職寄りの考えにかたまっていたことなどです。日々の関わり方を振り返りつつ、頭の中は日常業務より、沸騰した2日間でした。
講座終了翌日は、職場の同志に参加報告をし、宣伝しました!現場では、まず反復が自然にできるようになり、自身の立ち位置として、「船越さんに分かってもらえた」と思っていただけるように支援する事を意識して関わっています。以前より、自分の気持ちが楽になりました。さらに、患者さんとの関わりだけではなく、職場内やプライベートでの関わりにおいても、解決しがたい苦しみを抱える状況は多々あり、その関わり方でも参考にしています。
エンドオブライフ・ケアに直面するのは難しいことですが、関わり方を学べば、とっても魅力あるケアだという実感の方が強くなっていくのではないかと感じています。その扉を開く上で、お勧めです!
大阪では、前回10月18-19日開催以降、継続的にFacebook等を通じた情報交換をしたり、過去の参加者が集まり自主的な勉強会などを設けるなど、盛り上がっている様子が伝わってきています。ぜひ、今後も地域で仲間と学びを深めていかれることを願っております。
協会としては2日間の講座を提供して終わりではなく、受講した方がさらに理解を深め、実践し、振り返り、自らと周囲を進化させていく、そんなお手伝いができたらと願っております。
次回開催は、過去の受講者を対象とした3月5日(土)のフォローアップ研修を挟み、4月9日(土)-10日(日)に横浜で開催となります。多様な参加者のみなさまとお会いできますことを、スタッフ一同楽しみにしております。
© End-of-Life Care Association of Japan