4月9日(土)、横浜での養成講座がスタートしました。
静かな立ち上がりを経て2日目後半のロールプレイ後には次々に手が挙がるようになり、最後は振り返りのコメントの後の温かい拍手、疲れの中での充実された表情、志を共にする仲間とのつながりを言葉にされていることなどがとても印象的なみなさまでした。
開催にあたり、今回も過去の受講者の方々にサポーターとして、当日の運営から仲間へのお声掛けまで多くのご協力をいただきました。心より御礼申し上げます。
68名の方にご参加いただきました。
職種の内訳は、看護師47%、介護関連職種28%、医師7%、薬剤師4%、リハビリテーション職2%、相談員2%、その他10%でした。
地域別にみると、神奈川県からのご参加が最も多く33名の方がお越しくださり、続いて東京都、埼玉県、千葉県、静岡県、岐阜県から複数でお越しいただきました。また、新潟県、長野県、群馬県からもお越しいただきました。
協会理事であり、横浜で在宅診療を行うめぐみ在宅クリニック院長の小澤 竹俊が、2日間の講師を務めました。
2日間の講座では、以下の要素を学びます。
ただ受け身で聞くのではなく、ロールプレイや事例検討のためのグループワーク、学んだことの振り返りなど、ほとんど休む間もなく、口と手をたくさん動かしていただきました。
終了後、半数近くの方が懇親会にご参加くださいました。ペアで現在の活動内容などお話いただいた後、全体で他己紹介としてお相手についてご紹介いただきました。
2日間の養成講座も終わりに近づいたころ、会場内で受講者のみなさまから、そのとき感じたことを生のお声として頂戴いたしました。
宮崎 智子さま
ホームサポートステーション フレイア(東京都)、介護支援専門員
ケアマネジャーを7年やってきて、難病の方や末期がんの方もたくさん受けるようになってきました。想いに沿うことがすごく難しく、これは自分が勉強しないといけないなと思い参加しました。地域に味方をたくさん作りネットワークを広げる大切さを伺ったので、自分が勉強するだけではなく、勉強したことをできるだけ多くの方に広げていくとともに、自分も活かしたケアができるようになっていければと思います。
倉林 実さま
有料老人ホーム サピエンス祖師谷(神奈川県)、副施設長・介護職
夜勤の時にお亡くなりになる方が5人ぐらい出て、看取りはとても大事なことだなとかねがね思っていました。この仕事は人に対する愛情みたいなものが核にないとお世話というだけでは進めない気がします。先生を見ているととても熱い情熱のようなものを感じますので、むしろそれを学んでいきたいなと思います。ここで学んだことを現実の仕事場で活かしていけたらと思います。また、これを伝えていくことはとても大きな仕事であり、大事な役割になるのかなと思います。
大井 裕子さま
聖ヨハネ会桜町病院 ホスピス(東京都)、医師
かねてから(この取り組みについて)存じ上げていたのですが、2025年に向けて今のままではいけないという想いを私自身も持っていて、まずは自分が受講して学んでから次を考えようということで参加しました。看取りに向けた数週間・数か月の関わりは、医療介護職だけではなく、その人の周囲にいる人すべてに関わりができるとすごくいいのだろうなと思います。病院の中でも関心の高い人たちが多いので、伝えていけたらいいなと考えています。
あれから4週間。職場に戻って実践していらっしゃるみなさまの今をお聴きしました。
大木昭子さま
南台だるま薬局(神奈川)、薬剤師
薬剤師として在宅に関わっていく中で患者さんご本人の「がんばって生きたい」という気持ちの積極的治療とご家族の「もうがんばらないで自然に任せて欲しい」という真逆の気持ちにどう対応していったらよいのかを悩み、少しでも解決できればという思いもあり講習会に参加させていただきました。
二日間のロールプレイの中で「反復・沈黙」を繰り返すことから「支え」をキャッチし「問いかけ」をすることが援助につながる事を学びました。しかし、聞き役を経験して援助を言葉にしていくことが一番難しいという事も同時に実感しました。
小澤先生にも直接お話を聞いていただき、ご本人・家族のどちらも否定せず受け止めて良いと言われ、研修会後に実践してみました。ご家族はもっと生きていて欲しいが、苦痛に耐えているだけなら治療ではなく苦痛を取り除くだけでよいのではないかと悩んでいた等のお話が聞くことができました。
調剤薬局の薬剤師は人生の最終段階に向かっていく患者さんに深く関わることはほとんどありません。しかし、服薬指導を通してゆっくり話を聞けるのも薬剤師です。講習会に参加することによって患者ご本人・ご家族にどう接していいか悩んでいる薬剤師にとっては必ず何らかの気づきがあると思いました。
冨田眞紀子さま
特定非営利活動法人なかの里を紡ぐ会(東京都)、看護師
この度、エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座に参加させていただきました。
本研修を受講した動機は、人生の最終章にいる方とご家族への具体的な支援を学びたいと考えたからです。私は東京中野区で『ホームホスピス』を創る活動をしております。『ホームホスピス』は人生の最期まで「生きていくこと」を支える「家」であり、この度の研修はこれからの活動にとって本当に有意義な学びでした。特に援助的コミュニケーションを構造化して捉え、それを基に苦しみをキャッチし、援助の視点を見出し、言語化していくプロセスを体験できたことは大きな収穫でした。ロールプレイは苦手でしたが、不思議と次第に体得していくことを感じました。この度学んだことを共に活動する仲間と分かち合い、日々の活動の中で実践していければと思います。
2日間、ご指導いただきました小澤竹俊先生、事務局の皆様、一緒に学んだ同期生の皆様に心より感謝いたします。
竹田 奏子さま
社会福祉法人幸仁会 ヴィラ泉(神奈川県)、介護支援専門員
まもなく人生の終わりを迎えようとしている人やそのご家族。施設で、多職種でその方達を援助していくその時々で、一体何を念頭に置いて関わっていけば良いのか、自分に欠けている援助方法の知識・援助の姿勢は何か。それを具体的に言葉で知り得たいとずっと思い、講座に参加させて頂きました。
開設から5年を経た介護老人福祉施設で相談員兼ケアマネをしています。様々な専門職が居て、もちろん専門職であるのでその中でも色々な考え方がある。ここで、相手の苦しみ・支えとなるものを普段から意識してご家族とも関わることが出来たら、意思決定支援において調整時に自分がブレずにそして他職種にもしっかり説明が出来る…苦しんでいる相手を中心に調整をしていくという当たり前の事から逃げてはいけないと、受講を通じて再確認出来ました。
相手が私を理解者だと思ってくれるように、相手が伝えたいメッセージを相手に返せるように、そして相手の希望と現実の開きを意識して会話すること、本人と家族の絆を意識した問い掛けを通して相手の支えを知ること・強めることは、研修の翌日から肝に命じて話をしています。
講義中の小澤先生の叱責の言葉…相手の苦しみをキャッチし、支えを知り強めていく援助において、時間が無いというのは言い訳だ。の言葉は日々私の頭の中に響いています。
いかに援助者として、苦しんでいる相手から理解者として見てもらえるかを真剣に悩み、具体的に援助を言葉にしながら学び進めることによって、どう現場で生かせるかも真摯に考えている仲間を見つけられる貴重な2日間でもありました。
横浜開催ということで、地元神奈川県からご参加の方が多くいらっしゃいましたが、個人で参加くださる方が多く、緊張のためか静かな立ち上がりとなった横浜開催。最後には手が次々と挙がるようになり、グループ内外で志を同じくするお仲間を見つける機会となった方も多くいらしたようです。ぜひ、今後も地域で仲間と学びを深めていかれることを願っております。
協会としては2日間の講座を提供して終わりではなく、受講した方がさらに理解を深め、実践し、振り返り、自らと周囲を進化させていく、そんなお手伝いができたらと願っております。
次回開催は、5月7日(土)-8日(日)、初の札幌開催となります。多様な参加者のみなさまとお会いできますことを、スタッフ一同楽しみにしております。
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