第13回「エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座」(東京)

  • 開催レポート

2016.08.05

6月25日(土)、今年2月以来となる東京での養成講座がスタートしました。当日は74名の皆さまにご参加いただきました。現場での活用をイメージしながらの質問や、自身だけではなく周囲にとっても理解が深まるような質問が次々と挙がりました。クラス全体の相乗効果で学びが深まっていくことが強く感じられ、運営側としましても身が引き締まる思いでした。

開催にあたり、サポーターの方々に当日の運営から仲間へのお声掛けまで多くのご協力をいただきました。心より御礼申し上げます。

参加者

74名の方にご参加いただきました。

 pic1円グラフ職種の内訳は、看護師43%、介護支援専門員11%、リハビリテーション職8%、介護職8%、医師4%、ソーシャルワーカー4%、歯科衛生士4%、心理職3%のほか、薬剤師、管理栄養士、アロマセラピスト、療法音楽士、鍼灸師など多彩な職種の皆さまにお集まりいただきました。

地域別にみると、東京及び千葉、神奈川、埼玉など近郊からのご参加が最も多かったほか、長野、山梨、富山などからも複数名でご参加いただきました。また、中部、九州等の遠方からの受講者も数名いらっしゃいました。

講座の様子

協会理事であり、横浜で在宅診療を行うめぐみ在宅クリニック院長の小澤 竹俊が、2日間の講師を務めました。pic2講義

2日間の講座では、以下の要素を学びます。

  • 課題背景(2025年問題に備えて)
  • 人生の最終段階に共通する自然経過
  • 苦しむ人への援助と5つの課題
  • 意思決定支援
  • 自宅・介護施設で求められる症状緩和
  • 多職種連携で「援助」を言葉にする(マクロ)
  • 1対1で対応する(ミクロ)

 

 ただ受け身で聞くのではなく、ロールプレイや事例検討のためのグループワーク、学んだことの振り返りなど、ほとんど休む間もなく、口と手をたくさん動かしていただきました。

 

懇親会

終了後、約6割の方が懇親会にご参加くださいました。ペアで現在の活動内容などお話いただいた後、全体で他己紹介としてお相手についてご紹介いただきました。

pic3懇親会

 

受講者の生の声(当日)

2日間の養成講座も終わりに近づいたころ、会場内で受講者のみなさまから、そのとき感じたことを生のお声として頂戴いたしました。

大森恵子さま、言語聴覚士(千葉県)

神経難病の方と多くかかわる仕事をしています。人工呼吸器、気管切開、胃瘻造設などいろいろな経過を辿られている方とお会いするのですが、納得した関わりが出来ているか?という場面があり、参加しました。今までやってきたはずの内容がいかに未熟だったか反省するいいきっかけになったと感じています。ロールプレイで自分の欠点を知り、他の人の姿を見ることができたのは良い経験になったと思います。日々患者さんとの関わりにおいて、ちょっとした声掛けや会話の中で、学んだ技術を活かして少しでも患者さんやご家族が楽しいひと時が過ごせるように関わっていけたらと思います。

佐野正子さま、療法音楽家(ハープ)
社会福祉法人賛育会病院 緩和ケア病棟(神奈川県)

ハープと歌声を患者さんにお届けする活動をしています。人生の最終段階にある患者さんたちと向き合う姿勢やあり方を、もう一度振り返って考え直してみたいと思ったのが受講のきっかけです。苦しむ人への援助を言語化する難しさ、重要さを実感し、援助的コミュニケーションを分かりやすい言葉で伝えていける人になりたいと思いました。ロールプレイには苦手意識がありましたが、聞いて分かったつもりになっても、自分の言葉で噛み砕いて理解しないと出来ないということを実感し、得ることが沢山ありました。患者さんとのコミュニケーションから逃げることなく、その時できる精一杯のことを真摯に向き合っていきたいと思います。また、同じ志を持った仲間との絆やコミュニティを得られたことはとても大きな財産になりました。

成澤智恵子さま、訪問看護師
トータルライフケア新中野(東京都)

小澤先生の大ファンで、10年前に講義を受けて感動したことが心に残っていて、やっと在宅デビューした時に先生の講義を知り、参加させていただきました。先生のエンドオブライフ・ケアを全国に広めたい、実践できる人たちを育てたいという想いがみっちりあり、実践の大事さを感じました。ロールプレイはしんどかったかな、という気もしますが…でも楽しかったです。毎日訪問看護に行く時の利用者さんやそのご家族との関わりは、講座に参加する前と後では全然違うんじゃないかと期待を込めて思っています。また、新しく入ったスタッフや看取りの経験が少なくどうしたらよいか戸惑っているスタッフに、小澤先生の熱い想いを伝えられたらなと思っています。

 

受講者の生の声(後日)

受講後、職場に戻って実践していらっしゃるみなさまの今をお聴きしました。

望月 具子さま、看護師
特別養護老人ホーム(千葉県)

小澤先生の著書、「今日が人生最後の日だと思って生きなさい」を読んだことがきっかけで受講しました。私の友人は、命の限り癌と闘いましたが、数年前に亡くなりました。私は友人が癌宣告を受けた時から、「苦しむ人の支えになるにはどうすればよいか」をテーマに生きているように思います。

今まで私が言葉として、他の人達になかなか伝えることができなかった、「私が大切にしていること」を今回先生に言語化していただけたというのが率直な気持ちでした。
そのため、職場に戻って伝達講習を行った時も、私の経験を踏まえ、自然に伝えることができ、また私自身も今まで以上に「わかってくれる人」=「聴いてくれる人」を意識するようになりました。

しかし先生もお話されていましたが、ケアする側の感性がとても重要なことであり、私が学んだことをただ話しても、実践に活かされなければ意味がないので、心に響く言葉、印象に残るメッセージを伝えていけるように、そしてそれがすぐに形にならなくても、私を見かけるだけで、私が発信した言葉をふと思い出してくれるようになれば、いずれは大きな力になるのではないかと期待しています。難しいテーマだと思いがちですが、患者様や利用者様だけでなく、身近な人達にも必ず訪れることです。自分をみつめるとてもよい機会になりますし、この大切なケアの輪を皆の力で広げることが何より大事だと感じています。

 

篠原 弓月さま、訪問歯科衛生士
地域食支援グループ ハッピーリーブス(東京都)

私は訪問歯科衛生士として要介護高齢者の在宅を訪問し、口腔のケアを通じてその方らしい療養生活の実現と最期を迎えるための支援をしています。

訪問先では、ご本人様やご家族様への対応に悩む場面が多々あります。またお看取り後には、関わりが良くできていなかったのではと、消化不良のような自分自身の心の整理がつかない状態に陥ってしまうこともありました。エンドオブライフ・ケアを基礎から学び支援していきたいと思い受講しました。

養成講座は聴講だけではなく実習の時間も多く設けられ、伝達すること・反復・沈黙・問いかけを繰り返し経験できました。これまでの私の対応は聞き取りしたことに対して専門職としてどう支援できるか・・・でしたが、苦しみを理解しそこから支えを導く方法には目から鱗でした。「苦しんでいる人は、自分の苦しみをわかってくれる人がいるとうれしい」このキーワードを頭に、余計なことは言わずに実践していきたいと思いました。

講座を終えて約一か月、この方法で関った方がおりました。しかし限られた訪問の時間内では時間オーバーした上に、中途半端な対応になってしまいました。経験を積むと問いかけに導くタイミングが図れるのかもしれません。継続的な介入の中で取り組んでいきたいと思います。

受講検討中の方には是非勇気を出してご参加されることをお勧めします。エンドオブライフ・ケアに携わる様々な職種の方が参加されていました。受講後のフォローアップ講座や交流の場もあるそうです。一人で抱え込まず、共有できる仲間がいるのは支援者の心の支えになると思いました。

 

吉野 由美子さま、薬剤師
雲南市立病院 薬剤科(島根県)

中核病院の総合病院に勤務する薬剤師で、主に病棟薬剤師として仕事をしています。緩和チームのスタッフにも入っており、看取りの経験も少ないですが経験しています。

この講座を知ったのは、朝日新聞フロントランナーの特集からでした。記事の最後の高校生からの感想文、「誰かの支えになろうとしているこの人が、一番支えを必要としていると思いました」を読み、衝撃を受けました。なんて感受性豊かな高校生なんでしょう、そしてそう思わせる院長のご講演にも興味を抱き、講演を聞きたいとネットで調べ、参加となった次第です。

内容を見てびっくり。講義がメインと思っていましたが、この講座はロールプレイと講義が半々ずつ。やや苦手分野のロールプレイが多く、消極的にスタートしました。

反復と沈黙は、頭では理解できても実践となると予想以上に大変でした。反復と言いながら余計なことをしゃべったり、沈黙はどこまですれば良いのかと試行錯誤でした。でもこの沈黙と反復を繰り返して、患者との信頼関係が構築されるのかと思いました。

受講後、他の仕事に振り回されて初めから上手くいかないのが現状ですが、服薬指導、緩和スタッフなどどの位置でも患者の本音を聞こうとの思いで、反復、沈黙を意識し仕事につくようにしています。今まで、一方的に薬の説明をしていたのが、患者の声(気持ち)を聞くよう心がけるようになりました。超高齢地帯なので、認知障害などで会話ができない患者も多く、うまくいかないことが多いのが現実ですが、諦めず誠実に関わり続けたいと思っています。

また、緩和ケアでは「スタッフが良いと思って提案したことは患者にとって本当に良いことなのかを確認する」。この意識が薄れないように、定期的に養成講座を受講できたらと思います。

この養成講座は、他の研修とは異なり、参加者が主役となり学んでいけます。この講座が日本各地で開催されたら嬉しく思います。

 

永沼 明美さま、介護支援専門員
株式会社ハビット 光が丘訪問看護ステーション(東京都)

長沼さま在宅で療養する方のお手伝いをさせていただくようになって17年ほど、ここ10年ほどはケアマネジャー専任で看取りを視野に入れた方々の支援をさせていただいています。本人及びご家族が満足いく人生の最期のお手伝いができているのか考えていたところ、養成講座を見つけ、是非学ばせていただきたいと受講させていただきました。

様々なかかわりの中から、意思決定支援について色々と思うものがありました。どうしても、援助者が発する言葉には誘導や思い入れが入ってしまう。自分の言葉やタイミングで人生の終わり方を変えてしまうかもしれない。自分がそこに関わっていて良いのだろうか。常に考えていました。この講座を受けてロールプレイをして、私は「考えていた」のかもしれないが「感じていなかった」ことに気づきました。

退院前のカンファレンスで、治療としての抗がん剤は効果がないばかりか、副作用の方が強く、体力を損なってしまうと伺っていた方の支援でのことです。息子さんがその状況に納得しておらず、ご本人も困っているご様子でした。反復や沈黙を使いながら本人に具体的に語ってもらいました。

「もう3年ほど癌と戦ってきた。入院すると私の知らないところで周りの人だけが何かやっていて、気が付いたら手を縛られていた。点滴を抜いちゃったそうです。私の事なのにどうして私を飛び越えて物事が進んでしまうのでしょう?もう自然でいいんじゃないかと思います。息子は少しでも長生きしてほしいと言ってくれますが、ここに寝てるだけでは何もできないので少しでもやりたいことをさせてほしいです。」

というご本人の話に、横でじっと聴いていた息子さんも「もっと何かできるんじゃないか、あきらめられない」という思いから、「自分の気持ちだけで色々押しつけていく事はお母さんを苦しめているのかな?」「お母さんの気持ちに沿うためには今、自分が何の支援をするべきか?」「副作用が抜けた今だからこそできることを」と考えるようになっていきました。お母さんの話を聞いている静かな時間が、息子さんの心を動かしたようでした。

本人の苦しみを分かってあげようと聞いていたことが、同時に息子さんの苦しみも解いていくことになったように思います。「こう思っているんでしょう?」というこちらの言葉ではなく、本人が語っているのを聞いてもらったことが一番だったと思いました。お母さんが「理解してくれる人」と思い、話している様子が伝わったのではないかと感じました。

 

まとめ

東京では第1回の2015年7月開催以降、4回目の開催となりました。受講後、Facebook等を通じて各自実践している様子も伝わってきています。

協会としては2日間の講座を提供して終わりではなく、受講した方がさらに理解を深め、実践し、振り返り、自らと周囲を進化させていく、そんなお手伝いができたらと願っております。

次回は、7月2日(土)-3日(日)、名古屋開催をレポートいたします。

 pic集合

 

 

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