9月10日(土)、仙台での養成講座がスタートしました。当日は40名の皆さま にご参加いただきました。立ち上がりこそ静かでしたが、1日目午前中からとても熱心にご参加くださり、特に2日目のロールプレイに取り組むみなさまの表情は真剣そのものでした。
開催にあたり、サポーターの方々に当日の運営面で多くのご協力をいただきました。心より御礼申し上げます。
40名の方にご参加いただきました。
職種の内訳は、看護師67%、介護支援専門員18%、介護職5%、薬剤師5%、その他5%でした。
地域別では、開催地宮城県および近隣の福島県、青森県からのご参加が多数を占めたほか、神奈川県など遠方からもご参加をいただきました。
協会理事であり、横浜で在宅診療を行うめぐみ在宅クリニック院長の小澤 竹俊が、2日間の講師を務めました。
2日間の講座では、以下の要素を学びます。
ただ受け身で聞くのではなく、ロールプレイや事例検討のためのグループワーク、学んだことの振り返りなど、ほとんど休む間もなく、口と手をたくさん動かしていただきました。
終了後、半数以上の方が懇親会にご参加くださいました。今回は、地域において看取りがうまくいかない理由について、テーマごとにグループに分かれて話し合っていただきました。
2日間の養成講座も終わりに近づいたころ、会場内で受講者のみなさまから、そのとき感じたことを生のお声として頂戴いたしました。
今 ユミさま、看護師
有限会社 青森介護サービス(青森県)
今年の4月から訪問ステーションを立ち上げたこともあり、(人生の)最期をお迎えする方にどのように関わっていったらいいのかを習得したく、応募しました。自分では「心を込めて聞いていればいい」というイメージがありましたが、そうではなく、自分の気持ちと相手の気持ちを分けて考えるなど、今まで自分が思っていたのとは違う関わり方の体験が出来ました。先生が講義内で「今日が最後の日だと思って生きなさい」とおっしゃっていたように、命は生と死の隣りあわせであるという意識を持ち、関わる方全てに、その方を大切にするという思いを持って関わっていけたらなと思いました。
鈴木 美咲、看護師(スタッフ)
公立岩瀬病院訪問看護ステーション(福島県)
「苦しんでいる人は自分の苦しみをわかってくれる人がいるとうれしい」をステーションのスローガンにしていますが、日々の業務で戸惑うことやどうしてよいかわからない場面が多くあり、それを実践的に学べる場があると聞いて、管理者の結城さんのすすめもあって受講を決めました。いろんなことを学ばせていただき、実践で「学んだことを全て実行できるかというと不安が残るところはありますが、日々の訪問の中で、まず苦しんでいる人の苦しみのキーワードに気付いていくというところから始めて、次につなげればいいなと思いました。
結城 光、看護師(管理者)
公立岩瀬病院訪問看護ステーション(福島県)
仙台の第1回目に受講させていただきました。(スタッフ・鈴木さんの受講について)うれしかったですね。ステーション内みんなで事例を考えていく中で、いつも「苦しんでいる人は…」というところを考えています。わかってくれる人だと思ってもらえる関わりをしたいね、と言葉で伝えていましたが、実践的なところに繋がる学びをしようと思ってくれたことはすごくうれしかったです。また次の回にも参加者が出る予定ですので、みんなで共有して頑張っていきたいと思います。
名嘉原 弥生さま、看護師
医療法人やまと やまと在宅診療所(宮城県)
診療補助と訪問看護で、主に癌末期の患者さんを訪問しています。「なぜ自分がこの病気になったんだ」「もう死にたい」そんな言葉に自分がなんて返したらいいんだろうと、日々悩みながら仕事をしていました。自分が何が出来たか考えると、役に立っていないのではないかと悩むことも多くて、一度小澤先生のお話を聴いてみたいと思って参加しました。受講して、自分の支えに気付くことができました。同じ思いで普段現場で頑張っている人たちがこれだけいて、皆同じ悩みを抱えて患者さんと関わっているんだということを知って、すごく心強くなりました。私は祖父の看取りがきっかけで地元に就職しましたが、患者さんの支えを私たちがキャッチをして最後まで患者さんが穏やかでいられるように、これから関わりを深めていけたらと思っています。
緒方麻里子さま、看護師
渡波クリニック(宮城県)
9月から訪問看護を始めました。利用者さんにどのように関わっていけばよいのか漠然とした不安があったので、職場に持ち帰ってスタッフ皆で情報共有しながら支え合っていきたく受講しました。すごく刺激になって、ロールプレイングでは実際難しいな、ということがたくさんあったのですが、これから現場で実践を重ね、徐々に成長していけたらいいなと思いました。私は出身が熊本で、東日本大震災を機に支援で石巻に入ったのがこちらに来たきっかけだったのですが、活動を通して医療が手薄になっているところを知りました。地元に帰りたい思いもありますが、今まで関わってきた地域でお世話になった人に恩返しをするつもりで、看護や介護の手ができるだけ届くように頑張っています。
受講後、職場に戻って実践していらっしゃるみなさまの今をお聴きしました。
永井 瞳さま、薬剤師
つばさ薬局長町店(宮城県)
私が勤めている調剤薬局では、健康サポート、介護予防の働きが求められています。患者様が健康に暮らせるように、患者様の笑顔が見たいと日々の仕事をしていました。しかし、いくらサポート、予防に努めていても在宅の患者様、薬局に来られる患者様方は、徐々にどうしても避けられない人生の最期へと向かっていきます。そこへどういった支援ができるのかと考えていた時、小澤先生の講演を聞く機会がありました。「エンドオブライフ・ケア」この言葉の奥をもっと詳しく知りたいと思い講習への参加を決めました。
講習は、あっという間の2日間でした。楽しくて仕方がなかったのは、講習に参加している方々が「人生の最終段階へのケア」は大切だという想いを持っていたからでしょうか。自分一人だけの鬱々とした想いではないということは大きな支えになりました。
講習で学んだ「支え」[沈黙]「ゆだねる」。今、私が実践へとつなげようとしている言葉です。支えを見つけたら強める方策を考え、沈黙は苦手でしたが患者様の表情を見ながらゆっくりと実践する。患者様にとってゆだねられる人を探し、私自身も一人で抱えるのではなく信頼できるその方へゆだねる。
誰にとっても信頼してゆだねられる方が多い社会になって欲しいので、今後より多くの方がこの講習に参加して頂ければと思います。
熊倉 里美さま、介護支援専門員
医療法人栄心会 さかえライフハート美術館通り(福島県)
認知症対応型のグループホームで働いています。アルツハイマー型認知症の方と脳血管障害の方がほとんどですが、レビー小体型認知症の方もおり、一括りに認知症とは括りきれません。
本来なら一人ひとりの尊厳を守らなければならないのですが、日常業務をこなすのが精一杯な状況の毎日です。昨年誤嚥性肺炎で生死を彷徨った入居者さんがいますが、その方のケアプランをたてたのが私のケアマネとしての初仕事でした。迷いながら作成したケアプランですが、ご本人の意向など確認できるはずもなく、看取りまでの提供できるプランニングを並べただけになってしまいました。
この研修を受けるきっかけは新聞の週末別刷り版でみつけた特集記事に小澤先生が掲載されていたからです。在宅でも施設でも生活して最期をお迎えになるそのときに、自分はなにが手伝えるのだろうか悩み続けていたのでぜひ受けてみたいと思っていていました。
意思疎通の難しい方々が多くなってきているなかで尊厳を守っていくのはご家族様とのコミュニケーションが不可欠です。施設入所前にはどんな生活をしていたのか、どんなこだわりがあったのか、どんなときに輝いていたのか情報を意識して収集すると声かけが変わっていくことを実感しています。
施設内で誕生日行事の1つに入居者さんのご自宅にご本人様と伺う企画がもう少しで実現できそうです。1年に1回奥様が会いに来てくださりますが奥様も高齢になり娘さんたちの手を借りなければなかなか実現できないことと、ご本人様が自宅ではどんな表情を見せてくださるのか今から楽しみです。
たった2日の研修でしたが日々関わりに必要ことを凝縮されてあっという間に終わってしまいました。一緒に研修を受けたスタッフと共に今後も関わっていく全ての方の尊厳を守りながら逃げることなく苦しむ人との関わっていきたいと思います。これから受講される方もロールプレイで苦しんでいる人との関わりとわかってもらえた時の喜びをぜひ体験していただきたいと思います。
仙台では、今年1月に行われた第7回に続いて2回目の開催でした。受講後、Facebook等を通じてそれぞれが開催している勉強会を紹介し参加し合うなど、交流が続いているようです。
協会としては2日間の講座を提供して終わりではなく、受講した方がさらに理解を深め、実践し、振り返り、自らと周囲を進化させていく、そんなお手伝いができたらと願っております。
次回は、10月29日(土)-30日(日)、大阪開催をレポートいたします。
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