第19回「エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座」(東京)

  • 開催レポート

2017.01.12

11月12日(土)、8月に続き今回で7度目となる東京での養成講座がスタートしました。当日は46名の皆さまにご参加いただきました。開催にあたり、サポーターの方々に当日の運営面で多くのご協力をいただきましたことを心より御礼申し上げます。

参加者

46名の方にご参加いただきました。

職種の内訳は、看護師53%、介護関連職26%、医師4%、歯科医師2%、歯科衛生士2%、薬剤師2%、その他11%でした。その他職種にはアシスタントクラーク、ソーシャルワーカー、保育士、保健師、訪問介護管理者など、多彩な職種の皆様にご参加いただきました。

地域別では神奈川県が最も多く、続いて開催地の東京都、埼玉県、千葉県と首都圏近郊からのご受講が多かったほか、山梨県、大阪府、山口県など遠方からのご参加もいただきました。

 

講座の様子

協会理事であり、横浜で在宅診療を行うめぐみ在宅クリニック院長の小澤 竹俊が、2日間の講師を務めました。


2日間の講座では、以下の要素を学びます。

  • 課題背景(2025年問題に備えて)
  • 人生の最終段階に共通する自然経過
  • 苦しむ人への援助と5つの課題
  • 意思決定支援
  • 自宅・介護施設で求められる症状緩和
  • 多職種連携で「援助」を言葉にする(マクロ)
  • 1対1で対応する(ミクロ)

ただ受け身で聞くのではなく、ロールプレイや事例検討のためのグループワーク、学んだことの振り返りなど、ほとんど休む間もなく、口と手をたくさん動かしていただきました。

懇親会

終了後、半数近くの方が懇親会にご参加くださいました。

受講者の生の声(当日)

2日間の養成講座も終わりに近づいたころ、会場内で受講者のみなさまから、そのとき感じたことを生のお声として頂戴いたしました。

岩佐 茂さま、介護施設管理者
東京海上日動ベターライフサービス株式会社(神奈川県)

有料老人ホームの支配人、管理者をしております。本当の終の棲家と言われるような事業所になることを目指しています。沢山の方を看取らせていただくなかで、まだまだ自分自身に自信がない部分を日頃から感じていて、なにか学び取ることができないかと思い、参加しました。死にゆく方々の本当の辛さをあらためて感じ取ったり、ご家族がそれを抱えることの大変さにあらためて触れることによって、これはやはり大変なことだと感じるとともに、自分の中にも支えを見つけられるんじゃないかという可能性を感じ、これからひとつずつ実践を通じてそういう自分になっていきたいなと感じました。担当者として入居者を支えているスタッフたちが、その人を失うことで疲弊してしまうことも少なくありません。そんな時に、スタッフたちに自分自身が支えとなれるよう声掛けや指導をしていけるようになれたらと思っています。

 

八鍬 明子さま、看護師
医療法人 静和会 中山病院(千葉県)

精神科の患者さんはご家族の受け入れが悪いので、退院できずに30年40年と過ごされます。その方々がいま高齢となって、看取りが爆発的に増えています。しかし看取りや死をまだタブーとしているところがあって、深く踏み込めない。だけど看取りがどんどん増えていく、という状況にあって、私は看取りを勉強していきたいと思っていました。ただ、癌患者が対象だったり、裏に宗教があったりで、自分の病院で実践するには当てはまらず、ネットで検索しているときに「エンドオブライフ」という言葉に出会い、更に探している中でこの講座に行きつきました。私は充実感よりも前に難しかったという思いが残っていますが、「苦しんでいる人は(自分の苦しみをわかってくれる人がいるとうれしい)」ということ、そして苦しみは希望と現実の開きに生まれるということを肝に銘じて、明日からきっと私は患者さんとの接し方が変わっていくだろうという希望があるので、何かここから少しずつ変えていけたらいいなと思っております。もう一度学び直してみたいです。もしかしたらまた同じ講座を受けにくるかもしれません。最終的な希望としては、自分の病院でこの考えを広めていきたいと思います。

 

坂下 美彦さま、緩和医療医師
千葉県がんセンター緩和医療科(千葉県)

地域の医療者や介護者に対して啓発をしていかなければならない立場にあります。看取りを含めた緩和ケアをどうしたら地域で教えられるのかと思っていたところ、たまたまこういった研修をされていることを知り、ノウハウを知りたくて申し込みました。(講座は)緩和ケア病棟などで行われているホスピスケアのエッセンスを、地域の介護職の人にも伝わるように教えていらっしゃって、非常にシンプルで分かりやすく実践的な内容を上手にまとめていて、僕自身もとても勉強になりました。ファシリテーターになって千葉県で教えていけたらと思います。今、我々がやっている緩和ケアは患者さんの苦しみに焦点を当てているのですが、この研修では支えに焦点に当てることをとても大事にされていて、支えを強めることをキーワードにすると、介護職も含めて多職種連携が本当にやりやすくなると思いました。ぜひこれを使って地域で多職種連携をやれたらと思います。特に医師に参加してもらえたらもっと良いかと思います。

 

受講者の生の声(後日)

受講後、職場に戻って実践していらっしゃるみなさまの今をお聴きしました。

日谷 由紀さま、歯科衛生士
医療法人社団さくら さくら歯科クリニック(神奈川県)

訪問歯科の歯科衛生士として日々 施設や居宅の方を訪問させていただいています。

「歯科」というと「義歯を作る」「虫歯を治す」「歯を磨く」のイメージが強いかと思います。実際、私も2年前に訪問歯科を始めるまでは「口腔内をきれいに保つこと」が歯科衛生士の仕事なのだと思いスタートしました。しかし、摂食嚥下の評価やリハビリ、そして「最後まで自分の口から食べていただく」ためには患者さん(利用者さん)ご本人、ご家族、そして関わる全ての方との連携が不可欠であるということにも気づきました。私たち歯科も「最期の時間」まで口腔ケアをさせていただく、私たちはご家族や患者さん(利用者さん)ご本人とどう接したら良いのだろうか、私たちにできることはなんだろう。そんな時期に今回の養成講座のことを知りました。

人と話すのは得意でしたが「反復」「沈黙」「問いかけ」のなかで「相手の苦しみをわかり、そして必要な援助を見つけ出す」という難しさ、そして大切さを学びました。

私たちが口腔ケアをすることで何になるのか、ずっと悩んでいた自分の中の課題も今回の講座の中からヒントを見つけることができた気がします。できない自分を「これでいい」と認めてくれる誰かがいる、患者さんご本人であったり、ご家族であったり。認められることで初めて「これでいい」と思える自分に出会える。

 講座を終えてからは、「まずは相手の苦しみをキャッチしてみよう」と自分に言い聞かせるようになりました。実際「もう私なんていないほうがいいんだよ」「生きていたくない」という言葉を多く聞き、いや、本当は以前にも耳にはしているはずなのですが今までは「なにを言ってるんですか」もしくはその言葉には触れず、だったのかもしれません。それに対して今は少しずつ「反復」してみたりしています。

今後の課題は養成講座で学んだことを活かし、患者さんご本人だけでなく、連携できる関係を築くために信頼関係を構築し、キャッチできた苦しみから援助に繋げられるようなネットワークを広げることです。

多くの方にこの養成講座で学んでいただき、皆で苦しみをキャッチし、その苦しみを援助に繋げていけるようになるとよいと思っています。

2日間は長いと感じる方も少なくはないと思いますが、あっという間の2日間でした。それでいて終了時には1週間くらい学んだような錯覚にも陥りました。グループワークをすることでたくさんの方とも出会えました。本当に参加して良かったと思っています。

伴 佳子さま、大学教員(埼玉県)

私がこの講座を受講したのは、エンドオブライフ・ケア協会主催のディグニティセラピーワークショップ受講の必須条件だったからです。これまで、緩和ケアや人生の最終段階のケアに関して様々な研修を受講していましたので、基礎講座は復習のつもりでした。

しかし、実際は2日間の研修中に「目からウロコ」が何枚落ちたかわかりません。はじめて聞く人にも理解できるようにという小澤先生の講義は、驚きの連続でした。例えば、「人生の最終段階に共通する自然経過は?」と問われ、私の頭の中には「だんだん動けなくなり、・・・、意識が混濁し、血圧が・・・」など死までの身体状況が浮かびました。それに比べて小澤先生の説明は、死が身近で自然なものだと思える内容でした。また、私は「緩和ケア」の講義で「トータルペイン」として4つの苦しみを教えていますが、小澤先生からこの4つの苦しみに「共通する苦しみとは?」と問われ、残念なことに全くわかりませんでした。この問いに対する説明は、誰もが納得するような、本質をとらえていてとてもわかりやすいものでした。

長いようであっという間の2日間でしたが、自分が実はよくわかってなかったことに気づかされ、いろいろな職種の方と話すことで視野が広がり、知識が繋がったように思います。今は、学生にわかりやすい講義にすべく教育内容を見直すとともに、学生の実習病院で働いているかつての仲間たちとスピリチュアルな苦しみへの支えについて病院全体に広げようとしています。受講を迷っている特に看護師の皆さま、驚くことがきっとあると思います。気になる方は是非受講して下さい。

五十嵐 百合子さま、介護職(埼玉県)

昨年、末期ガンで他界した父が医療と介護の連携による多くの支えにより本人が望む在宅での看取りができたという経験をした事が今回受講を決めたきっかけとなりました。

受講中は、闘病した父の姿を重ねる機会があり、先生の「支えたいと思う人こそ誰かの支えを必要としている」という言葉が胸に響きました。

現場では、時間に追われ日々忙しいと感じる現実があり時に自分を見失いそうになる時がありましたが、今は、講座で同じ志しを持ち頑張っている仲間と先生の一つ一つの言葉を思い出し励みになっています。そして、ご利用者との関わりの中で「反復」「沈黙」「問いかけ」を実践する事で、その方との会話の広がりと穏やかな表情を垣間見れる様子があり、先生の言葉の「苦しんでいる人は自分の苦しみをわかってくれる人がいると嬉しい」を実感する瞬間が確かにあります。

 誰でも自分にとって、大切な人がいる。その大切な人が人生の最終段階を迎えようとしていたら…と想像できれば目の前にいる方に誠実に関わろう、寄り添おうと思えるのではないでしょうか。その為にどうすれば良いのか…がこの講座では言葉になり、体験となり、自分のものになる事ができると感じました。

今後、この講座が広がり医療と介護の垣根を越えて多くの方が穏やかに人生の最終段階を迎えられるよう、自分自身も一つ一つ経験を重ね自信に繋げていけるよう、今目の前にいる方に誠実に関わり続けたいと思います。

まとめ

東京では、受講後、Facebook等を通じてそれぞれが開催している勉強会を紹介し参加し合うなど、交流が続いている様子が伝わってきています。

協会としては2日間の講座を提供して終わりではなく、受講した方がさらに理解を深め、実践し、振り返り、自らと周囲を進化させていく、そんなお手伝いができたらと願っております。

次回は、11月26日(土)-27日(日)、札幌開催をレポートいたします。

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