第29回「エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座」(大阪)

  • 開催レポート

6月10日(土)・11日(日)、大阪でエンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座を開催いたしました。当日は79名の皆さまにご参加いただきました。開催にあたり、当日の運営面で多くのご協力をいただきましたことを心より御礼申し上げます。 

参加者

79名の方にご参加いただきました。

職種の内訳は、看護師49%、介護支援専門員12%、医師9%、介護職9%、リハビリテーション職5%、相談員4%、管理栄養士3%、保健師3%、その他6%でした。その他職種には、コーディネーターや臨床セラピスト、事務員、鍼灸師・柔道整復師など、多彩な職種の皆さまにご参加いただきました。

地域別では開催地の大阪以外に広島、岡山、兵庫、奈良から参加者が目立ったほか、四国・九州など、遠方からのご参加者もいらっしゃいました。

 

講座の様子

協会理事であり、横浜で在宅診療を行うめぐみ在宅クリニック院長の小澤 竹俊が、2日間の講師を務めました。


2日間の講座では、以下の要素を学びます。

  • 課題背景(2025年問題に備えて)
  • 人生の最終段階に共通する自然経過
  • 苦しむ人への援助と5つの課題
  • 意思決定支援
  • 自宅・介護施設で求められる症状緩和
  • 多職種連携で「援助」を言葉にする(マクロ)
  • 1対1で対応する(ミクロ)

ただ受け身で聞くのではなく、ロールプレイや事例検討のためのグループワーク、学んだことの振り返りなど、ほとんど休む間もなく、口と手をたくさん動かしていただきました。

また、今回、講義の一部分を、ELC近畿として活動を続けてくださっている、大阪北ホームケアクリニックの白山先生と奈良県四条畷看護専門学校の久保田先生にご担当いただきました。心より御礼申し上げます。

懇親会

終了後、半数以上の方が懇親会にご参加くださいました。

 

受講者の生の声(後日)

受講後、職場に戻って実践していらっしゃるみなさまの声をお聴きしました。

井上 祐子さま、看護師
沖縄県公立久米島病院(沖縄県)

私が働く病院は離島にあり、島唯一の入院設備を備えた病院です。社会資源が限られる島の現状において、当院での“人生の最終段階におけるケア”の役割は大きいと感じていました。様々な最期をみて“島で生まれ生きてきた方に、最期まで島で穏やかに過ごして欲しい”そんな思いが強くなったとき、当講座を受講したことがある上司に勧められ、参加しました。


講座は、今まで受けたことのない実践的な内容でした。私は、本人と家族が持つ思いに向き合えていないのだと思いました。今までどう生きてきたのか、何に苦しんでいるのか、何を大切にされているのか。患者さんと視線を同じにし、反復と沈黙を使いゆっくり話を聞くこと。患者さんにとって理解してくれる人であること。


現場に戻り、業務に追われる中でもその行為を行うことを心がけるようになりました。それを続けることで患者さんと信頼関係を築き、重要な意思決定をしなければならないとき患者さんと家族の支えになれるのではないかと思います。
自分のすべきことに背中を押してもらった気がします。悩みを持たれていましたらぜひ参加していただき、行動する勇気をもらって欲しいと思います。

 

金川 圭美さま、臨床セラピスト
株式会社フルーヴ・ドレ(兵庫県)

セラピストとして目の前の人に向き合い家族丸ごとこころとからだのケアをしてきましたが、よくわからない違和感を医療現場で感じていました。それをひも解いてみたくて参加しました。


参加してみて講座中ロールプレイしたことは、現実の中でやっていたことでした。
ただ当たり前すぎて意識せずにやっていたこと、講座を学んだあとはあえて意識してやってみました。意識することで違和感は少なくなりしっくりとしてきました。

わたしは緩和病棟や療養型病院にいることが多いので目の前にいる人は話せない人も多いです。でも感情があるひとりの人として関わっているので、今回の講座後、より意識して体に触れることから、心に触れ、その感覚をそれをそのまま受け入れるということをケアとすることで患者さんやご家族との信頼関係は深くなったと感じています。

この講座は死を目の前にした方に関わる人だけでなく現代を笑顔で生き抜くすべを学ぶことができると思っています。
辛さを解ってくれるだけでなく喜びも目の前の人がわかってくれるとうれしい!

 

川原 諭さま、介護支援専門員
江井島在宅介護支援センター(兵庫県)

在宅介護支援センターで16年、その中で様々な形で終末期に向き合ってきた事/約1年半前に父親を自宅で看取りを行った事。この二つの中で、専門職といち家族としてという異なるアプローチ経験。それはあくまでも“自分なり”の向き合い方であった事から、人として終末期への向き合い方、援助者としてのより良い援助、1人でも多くの人がより良い人生の最期を迎えてもらうために改めて学びたいと思い、受講しました。


講座では、“一人ではないこと/一人にしないこと(ならないこと)”に気付き、多くのロールプレイを行い、人への心の寄せ方、寄り添い方を学ぶことが出来ました。受講した翌日に、父親の介護を懸命に行っている娘さんと話す機会があり、そこで「あなたがお父さんを支えているように、あなたにも支えが必要です。今はその支えを見つけるための時間なのかもしれませんよ。あなたの支えは何ですか?」とはじめは少しキョトンとされておられましたが、傾聴、反復を繰り返すことで、表情が緩んでいくのがわかり、相手との向き合い方を意識するだけで支えの質が変わったと実感しました。


今後はまず、少しずつ私自身の仲間、支えてくれる人を増やし、自身の成長とともにより良い支援に繋げていきたいと思います。支援の中で不安や怖さのようなものを感じておられる方は、その向きあい方のヒントを自分の中で見つける事が出来ると思います。

 

まとめ

大阪では、今年2月に行われた第23回に続いて6回目の開催でした。回を重ねるごとに認定ファシリテーターの数も増えており、サポーターとして8名の方が運営をご支援くださいました。また、7月には、ELC近畿研究会として5回目のフォローアップ学習会も開催されたそうです。

協会としては2日間の講座を提供して終わりではなく、受講した方がさらに理解を深め、実践し、振り返り、自らと周囲を進化させていく、そんなお手伝いができたらと願っております。

次回は、7月22日(土)-23日(日)、福岡開催をレポートいたします。

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