第21回「エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座」(名古屋)

  • 開催レポート

1月14日(土)、名古屋にて今年初の養成講座がスタートしました。当日は28名の皆さまにご受講いただきましたほか、ELCファシリテーター候補として1名の方にご参加いただきました。開催にあたり、サポーターの皆様に当日の運営面で多くのご協力をいただきましたことを心より御礼申し上げます。

参加者

27名の方にご参加いただきました。

職種の内訳は、看護師53%、介護職18%、医師11%、リハビリテーション職7%、介護支援専門員4%、その他7%でした。その他職種には薬剤師や相談員がいらっしゃいました。

地域別では開催地の愛知県と周辺の岐阜県、三重県以外にも、長野県や山口県など、遠方からのご参加者もいらっしゃいました。

 

講座の様子

協会理事であり、横浜で在宅診療を行うめぐみ在宅クリニック院長の小澤 竹俊が、2日間の講師を務めました。


2日間の講座では、以下の要素を学びます。

  • 課題背景(2025年問題に備えて)
  • 人生の最終段階に共通する自然経過
  • 苦しむ人への援助と5つの課題
  • 意思決定支援
  • 自宅・介護施設で求められる症状緩和
  • 多職種連携で「援助」を言葉にする(マクロ)
  • 1対1で対応する(ミクロ)

ただ受け身で聞くのではなく、ロールプレイや事例検討のためのグループワーク、学んだことの振り返りなど、ほとんど休む間もなく、口と手をたくさん動かしていただきました。

懇親会

終了後、半数以上の方が懇親会にご参加くださいました。

受講者の生の声(当日)

2日間の養成講座も終わりに近づいたころ、会場内で受講者のみなさまから、そのとき感じたことを生のお声として頂戴いたしました。

中嶋 順子さま、看護師
医療法人社団福祉会 高須病院(愛知県)

元々緩和ケアに興味があり勉強を続けていましたが、今の病院に勤めるようになって癌ではなく、老衰や心不全で亡くなられる方がとても多く、癌ではない方の終末期をどうしたら支えていくことができるのかを勉強したい思いがあり、インターネットで調べていたところこの講座を見つけて受講しました。最初のうちは「ああ、勉強してきた内容だな」と思っていたところもあったのですが、1日目の後半から2日目にかけて、わかったつもりになってはいけないんだな、というところと、今までしてきたコミュニケーションが全然違っていたな、と思いました。患者さんのことを本当に「わかってあげられる人」ではなかったな、というのを痛感しました。自分の不足を今回実感したので、これからの患者さんとの関わりに活かしていきたいです。また、自分ひとりではできないことなので、自分の周りの人から少しずつ伝えていけたらいいかなと思っています。

 

小原 昌代さま、看護師
南医療生活協同組合 総合病院 南生協病院(愛知県)

緩和ケア病棟で働いています。今年、緩和ケアの認定看護師資格を取得し、病院内での緩和ケアの普及に力を入れています。日本の緩和ケアは癌に特化しているのですが、非癌の方にも、終末期だけでなく治療期からの意思決定支援が大事だと思っていました。去年、南生協病院と近隣の7つの病院が合同で、人生の最終段階にある患者さんへの意思決定支援に関する勉強会が開かれたのですが、そこで改めて支援の大切さに気づき、その時に私の同僚が昨年この講座を受講したと聞き、薦められて受講しました。何気なく自分が発していた言葉が、患者さんにとってはどう感じていたのかな、ということをあらためて考える機会になったし、辛い時も楽しい時も一緒になって感情を共有できる人の存在は本当に大事なのだなと感じました。今回、医療だけでなく地域で活躍されている介護職の方だったり、いろんな立場の方とお話をする機会があって、みんな本当に同じように悩んでいるのだなと感じました。何も出来ないから足が遠のくのではなく、一緒にいることで出来ることが沢山あるだろうし、力になりたいよ、という思いが大事なんだということを、院内だけでなくいろんな地域に広げていけたらなと感じました。

 
 

渡邊 健太さま、介護職
ショートにしみの(岐阜県)

施設長ですが、介護、看護助手、調理、事務、全部やらせていただいています。うちはショートステイなのですが、看取りを優先的にやらせていただいていますが、患者さんとの関わりも「なんとなく」していたところがあって、やはりそこに理由づけというか、スタッフに対してどういった理由で必要なのか、という説明が不足していて、教育に関する部分が足りていないと痛感していたので、ヒントを得たいと思って受講を決めました。自分が関わってきた中で、ご家族の意思決定が難しい部分があって、そこがすごく参考になりました。皆さんも意思決定には悩んでいらっしゃるのだとわかり、今後の課題として継続して取り組んで行きたいと思いました。当施設において看取りは当たり前の状態ですが、介護スタッフの質はいまだ高いものではないと個人的に感じています。自分も介護職員ですので、その立場でも、質を上げていくことを少しでもやっていけたらなと思っています。あと、看取りが当たり前になっている時代なので、その一歩先、患者さんのQOLを最後の時にも上げることにも取り組んで行きたいと思っているので、ぜひ活かしていきたいと思います。

 

受講者の生の声(後日)

受講後、職場に戻って実践していらっしゃるみなさまの今をお聴きしました。

住本 美和子さま、看護師
愛知国際病院ホスピス(愛知県)

ホスピスで働き始め4年経過し、今までを振り返った時に、苦悩を抱えた患者様やご家族を理解し、援助を充分にできていたのか?このままで良いのか?と考えるようになり、関わり方についてもっと自身の学びを深めようと思い、受講しました。

私は、援助を言葉にする事が、あまり得意ではありませんでしたが、2日間の講義の中で「援助を言葉にする」方法として、どのようなことに焦点を当てると良いか具体的に学べ、以前と違う視点で、患者様・ご家族と関わるようにしています。その中でも、「苦しみはあるが穏やかである」と、私自身と患者様・ご家族が互いに感じる為に、相手に関心を寄せ、何をしている時が穏やかになるのか?表情や言動を今まで以上にキャッチしようと思うようになりました。まだ、すべてがうまくはいかず、後になり「あの時、ああすればよかった」と考えることもあります。しかし、少しずつでも苦しみが和らぎ、穏やかであると思える時間が増えるように、これからも患者様・ご家族に関わっていきたいと思います。

最後になりましたが、2日間多くの学びと仲間に出会え、多職種と意見交換でき、とても有意義な時間となりました。ありがとうございました。

 

浅野 佳寿子さま、看護師
LEAF訪問看護ステーション(愛知県)

訪問看護師として、患者様の最期に関わった時、看取りをさせて頂いた後、いつも患者様やご家族への声かけやケアについて、これで良かったのだろうか、もっとできる事があったのではないか、と後悔や反省ばかりが、心の中にありました。だからといって、何をどうすれば良かったのか…という明確な答えは出ず、悶々としていたところ、エンドオブライフケアの講座を知りました。

これほど実践が多い講座は珍しく、患者役をすることで、「反復や沈黙」が思いのほか、気まづいものではないと実感できました。むしろ、じっくり話を聞いてくれているんだと感じられました。

講座が終わった後から、「反復、沈黙、苦しみをキャッチ、支えを強める」という言葉がいつも頭の中にあり、すぐに現場で実践しました。 いつもの私なら、患者様やご家族の言葉にすぐに答えを出そうとしますが、「反復と沈黙」を繰り返すことで、ご家族の本当の思いを聞くことができ、心の中にストンと入ってくるような経験ができました。このような感覚は、受講しなければ味わうことができなかったと思います。

同じ職場のスタッフにも受講をすすめ、今後はステーション一丸となって、取り組んでいきたいと思っています。本当にありがとうございました。

 

渡邊 恵さま、介護職
有限会社耕グループ(岐阜県)

私がこの研修に参加しようと切望したのは、半年前に友人を癌で亡くし、その時の体験から「苦しんでいる人の側にいて、最後の最後まで手を離さないで居られる人になりたい」と思ったからです。

また、認知症ケアを仕事としている私ですが、時を同じくしてホスピスの必要性や、認知症に苦しむ方やその家族とともに終末期を如何に支えて行くかと言う課題が、職場の中で持ち上がったと言う事も有りました。

そうは言うものの、何をすれば良いのか、どうやって学べば良いのか…暗闇の中手探りでもがいて居た時にこの研修を知りました。

「苦しんでいる人はわかってくれる人が居ると嬉しい」その言葉の意味と「わかってくれる人」になれる可能性を充分に感じ取ることの出来る研修でした。そして私の求めるものがここに有ると胸が熱くなる研修でも有りました。

デイサービスの現場に戻ってからは、一人一人の利用者の方や御家族と向き合う時、常に「反復」「うなずき」を心がけ、言葉を発する事の出来ない方などは特に「穏やかになれる時」を探る事を大切にしています。ご家族の方とのお話では、苦しみをわかってくれる人と思ってもらおうとする姿勢が、より信頼関係の構築に成果が有ると実感しています。そして学んだ事を働く仲間に伝え、少しでもケアに活かせる様に働きかけています。

これからの超高齢多死時代には、1人でも多くの仲間と力を合わせて、地域の中での支援ができる様にならなければ成りません。もし同じ想いを持つ方がみえたなら、この研修を是非お勧めします。そして仲間になって下さい。一緒に苦しんで居る方に関わることのできる「人」に成りましょう。

 

まとめ

名古屋では2015年12月以降、3回目の開催となりました。ELCファシリテーターとして認定された方が、名古屋近隣にも増えてきましたので、今後は地域での継続学習の機会も出てくることでしょう。

協会としては2日間の講座を提供して終わりではなく、受講した方がさらに理解を深め、実践し、振り返り、自らと周囲を進化させていく、そんなお手伝いができたらと願っております。

次回は、1月28日(土)-29日(日)、福岡開催をレポートいたします。

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