第23回「エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座」(大阪)

  • 開催レポート

2月11日(土)、大阪での養成講座がスタートしました。寒波の影響で、残念ながら山陰から参加予定の方々は参加が叶いませんでしたが、61名にお集まりいただきました。地域学習会のファシリテーターとして活動する方々、ファシリテーターを目指す方々にもご参加いただき、当日の運営面で多くのご協力をいただきましたことを心より御礼申し上げます。

参加者

61名の方にご参加いただきました。

職種の内訳は、看護師57%、介護支援専門員15%、介護職12%、リハビリテーション職3%、医師3%、薬剤師3%、保健師2%、その他5%でした。その他職種にはアロマセラピスト、アロマスクール講師や支援員など、多彩な職種のみなさまにご参加いただきました。

地域別では開催地の大阪府のほか、京都府、奈良県、和歌山県、兵庫県など近県からも多くご参加いただきました。

 

講座の様子

協会理事であり、横浜で在宅診療を行うめぐみ在宅クリニック院長の小澤 竹俊が、2日間の講師を務めました。


2日間の講座では、以下の要素を学びます。

  • 課題背景(2025年問題に備えて)
  • 人生の最終段階に共通する自然経過
  • 苦しむ人への援助と5つの課題
  • 意思決定支援
  • 自宅・介護施設で求められる症状緩和
  • 多職種連携で「援助」を言葉にする(マクロ)
  • 1対1で対応する(ミクロ)

ただ受け身で聞くのではなく、ロールプレイや事例検討のためのグループワーク、学んだことの振り返りなど、ほとんど休む間もなく、口と手をたくさん動かしていただきました。

懇親会

終了後、半数以上の方が懇親会にご参加くださいました。

受講者の生の声(当日)

2日間の養成講座も終わりに近づいたころ、会場内で受講者のみなさまから、そのとき感じたことを生のお声として頂戴いたしました。

吉塚知里さま、薬剤師
総合メディカル株式会社(広島県)

総合メディカル株式会社人材育成部に所属し、薬剤師や事務スタッフの研修などを行っています。在宅薬学会の講義で、エンドオブライフ・ケア協会で人生の最終段階を迎える方に対してのコミュニケーションを教えていると聞き、研修の中でコミュニケーションについても教えているので、とても興味があり受講しました。反復や沈黙など、基本的なコミュニケーションの取り方でも、人生の最期を迎える方に対しての気持ちの込め方や考え方が違う、と感じました。それとともに、深く考えなければならないので難しさも感じました。私自身が患者さんに関わることは少ないのですが、薬剤師にもこういった考え方や関わり方を学んでもらいたいので、薬剤師たちにこの研修会のことを紹介し、是非参加するように働きかけていきたいと思っています。

 

武田 悦子さま、看護師(和歌山県)

訪問看護業務で、毎日末期の方や、先をどうして過ごしていったらいいのか、という方と向き合っています。末期がんの方がとても多く、このお正月もお二人のお看取りがあり、若い方も増えてきました。退院翌日にお亡くなりになるような方が増える中、早期に意志決定確認ができるスキルがまだまだ無く、具体的なことを知りたくて受講させていただきました。実は1日目の事例が、まさに金曜時点で意思決定したケースと全く同じ状態でした。それで、金曜時点で自分のできていたこと、できなかったことが明確になりました。明日、一番に訪問するのですが、そこで実践させていただこうと、すごく力になりました。この熱い気持ちのまま、明日行こうと思っております。

伊藤 詠子さま、保健師
医療法人青松会 河西田村病院(和歌山市第1在宅医療・介護連携推進センター)(和歌山県)

和歌山市第一在宅医療介護連携推進センターのセンター長をしております。在宅医療と介護を繋ぐ役割を担っております。元々大学病院で看護師をしていたのですが、その時に何人もの看取りの方がいらっしゃり、自分の中で対応の仕方がこれで良かったのか葛藤があり、答えがなかなか見つかりませんでした。今回、在宅医療と介護を繋ぐ役目で皆さんに発信する仕事に就きましたので、どういった関わりができるか、地域包括ケアシステムとして構築できるように広めていきたいと思い受講しました。受講して、支えについて学ぶことができてすごく良かったと思いました。まだまだ濃い内容で頭いっぱいで消化できていないのですが、グループワークを通じて皆さんと共有できながら学べて良かったです。人生の最期を迎える方と逃げずに向き合えるように、この講習で学んだことを和歌山市で広げたいと思いました。

 

加藤 理香さま、看護師
箕面市立病院(大阪府)

緩和ケア認定看護師をしております。今は病棟とか外来という立場ではなく、がん相談室で患者様、ご家族の相談を受けてケアをするという役割です。受講動機はふたつあって、ひとつは小澤先生の生の講義を受けられるということ、ひとつは相談業務の認定看護師として、患者さんの思いをキャッチできているのか日々振り返りながらだったので、この機会にもう一度、患者様、家族の思いを「聴く」ということをやってみたいと思ったことです。大切なキーワードをいただきました。「苦しんでいる人は、自分の苦しみをわかってくれる人がいるとうれしい」本当にそうだなと、それがキャッチできるように傾聴できればいいなと思いました。反復、沈黙を実際にやってみて、そこで患者さんの思いがどんどん引き出されることを学んだので、実践していきたいと思います。現場で診断時の告知に関わり、辛い気持ちを相談室で聴くという仕事をしているのですが、今回学んだことを活かし、苦しみをキャッチして支えになるものを見つけ出し、診断時からエンドオブライフまで、支えを強めていける人になりたいと思いました。

 

加茂 ふみ子さま、看護師
株式会社コメデイカ ハピネス訪問看護ステーション(大阪府)

訪問看護師をしています。3年前から87歳になるALSの患者さんを担当しています。最近は呼吸苦も訴え心臓も悪く、終末期に近い状態が近づいてこられているのかと思います。彼は自分で何か物事を決めることができる方なので、最期をどういう風に過ごしたいのか、自分の終末期をどう生きたいのかを支えていきたいと思ったのと、認知症の患者さんでも、失われた部分はあっても、いろんな歴史の中で彼にまだ残っている能力があり、その能力を私が引き出してあげるような形で、できない事を見るだけでなく、できることを支えていくケアを私ができたらという思いがあります。大切な終末期の意思決定をひとりで支えていくというのはすごくしんどいことです。その中で、職場の上司や同僚、在宅の先生達と相談しながら、ご本人や家族と話し合いながら意思決定を行っています。ただ、今日のロールプレイをやってみて、コミュニケーションにおいて自分が長年の経験の中で作ってしまった癖を見直す必要があるということを学ばせて頂きました。どんな病気になっても、どんなに役割を失ったとしても、その人らしい人生を支えることのできる看護師でありたいと思っています。なので、今日学ばせていただいた、自分で物事を決める自由を保証しながら、傾聴や反復といったコミュニケーションを取りながら、自分で意思を決定できるように支えていければなと思っています。

 

受講者の生の声(後日)

受講後、職場に戻って実践していらっしゃるみなさまの声をお聴きしました。

前田 京子さま、看護師
野崎訪問看護ステーション(大阪府)

受講していたときは緩和ケア病棟に勤務していました。患者さんがスピリチュアルペインを訴えられたとき、わたしなりに向き合っていましたが、本当に患者さんの気持ちの支えになっていたのかをわかりたくて受講しました。

支えようとしている自分が支えを必要としていることに気づかされました。そして、心を寄せて患者さんや家族の話に耳を傾け、反復することの大切さを理解できました。

スタッフに声をかけ、話をゆっくり聴く時間を作り、傾聴、反復で患者さんに寄り添う看護を大切にしています。そして、向き合った方に「あなたの支えは何ですか」と問いかけることができるようになり、患者さんがご自分の支えに気づかれた瞬間の輝いた時間を共有できるようになりました。

同じ志の仲間がたくさん増え、自分の苦しみを共有できることが実感でき、自分の成長に繋がると思います。

今までは逃げたしたくなる場面や、苦しい場面がきても、向き合う事を続けることができるようになります。

 

まとめ

大阪では、昨年10月に行われた第18回に続いて5回目の開催でした。受講後、Facebook等を通じてそれぞれが開催している勉強会を紹介し参加し合うなど、交流が続いているようです。

協会としては2日間の講座を提供して終わりではなく、受講した方がさらに理解を深め、実践し、振り返り、自らと周囲を進化させていく、そんなお手伝いができたらと願っております。

次回は、2月25日(土)-26日(日)、東京開催をレポートいたします。

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