5月13日(土)・14日(日)、東京でエンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座を開催いたしました。当日は、eラーニングのスクーリングとしてご受講くださった方、またファリシテーター候補者枠でお越しくださった方を含め、74名の皆さまにご受講いただきました。開催にあたり、当日の運営面で多くのご協力をいただきましたことを心より御礼申し上げます。
74名の方にご参加いただきました。
職種の内訳は、看護師59%、介護支援専門員12%、介護職7%、医師4%、ソーシャルワーカー3%、心理職3%、薬剤師3%、その他9%でした。その他職種にはアロマセラピスト、音楽療法士、傾聴ボランティア、講師・カウンセラー、事務職、相談員など多彩な職種の皆さまにご受講いただきました。
地域別では開催地の東京や千葉、埼玉などの近郊以外にも、北は岩手や山形、南は大阪、島根、沖縄など遠方からのご受講者もいらっしゃいました。
協会理事であり、横浜で在宅診療を行うめぐみ在宅クリニック院長の小澤 竹俊が、2日間の講師を務めました。
2日間の講座では、以下の要素を学びます。
ただ受け身で聞くのではなく、ロールプレイや事例検討のためのグループワーク、学んだことの振り返りなど、ほとんど休む間もなく、口と手をたくさん動かしていただきました。
終了後、半数以上の方が懇親会にご参加くださいました。
2日間の養成講座も終わりに近づいたころ、会場内で受講者のみなさまから、そのとき感じたことを生のお声として頂戴いたしました。
柳川 達郎さま、内科医師
医療法人安幸会 野沢3丁目内科(東京都)
開業医です。これから在宅、訪問の機会が増えると思います。ところが私はまだ、人生の最終に至る方に対して自信を持てませんでした。そしてNHKのプロフェッショナルを見て、この先生と共に学べたらいいかなと思って、思い切って受講させていただきました。受講では、様々なロールプレイを行いました。その中では、患者様の立場になるというロールプレイもあったんですね。そこで初めて、患者様が抱えてらっしゃる悩み、それを少し知ることができたように思います。患者様の思い、それを知ることができただけでも、この研修に参加できて良かったな、と思いました。研修を学んでわかったんですが、決して私たちは万能ではないということ。それを知るきっかけでもありました。万能ではない自分を持ちながらも患者様の立場に立って、まずはお話を聞くということから、少しずつ始めて行けるんではないかなと、思いました。この研修を通じて沢山の仲間と出会うことができました。そして他の人の意見をたくさん聴くことができました。決して座学では学べないことを、いろんな人の意見を聴くことも、私にとっては非常にプラスになったと思います。そしてこれからも仲間たちと一緒に高めあえたらいいなあと、そういうふうに思っております。
匿名、看護師
山間部にある病院に看護師として勤務しています。元々コミュニケーションの技法について本を読んだり色々な研修に参加していたんですが、やはり対人援助の難しさにぶつかっておりまして、エンドオブライフ・ケアにも興味があったので、今回、受講させていただきました。対人援助の方法がすごく勉強になったのと共に、難しさを感じる研修でした。「支えを必要としている人を支えるためには自分も支えが必要だ」というワードがあったのですが、まさにそうだなと感じました。今回の研修というのが、日頃そういう思いを持って仕事をされている方が自分から研修に参加されていることが多かったので、自分と同じ悩みを持って学習を進めて、グループワークをして、共感しながら悩みながら進むことができたので、すごく心の中に入っていく研修でした。こちらが良かれと思ってした援助であっても、それが相手にとって必ずしも良い援助ではなかったということ。今回受講したことで、こちら側の一方的な援助だったのかな、っていうことに気付くことができました。まずは今日学んだことを少しでも取り入れていく姿勢を作りたいと思っています。一度だけではとても吸収しきれない部分があったので、二回になるか三回になるかわからないんですけど、また受講していきたいなと思いました。
受講後、職場に戻って実践していらっしゃるみなさまの声をお聴きしました。
青沼 雪枝さま、看護師・セラピスト
同愛会病院(東京都)
長い間、救命やICUなどの急性期看護に関わってきましたが、今年から希望で内科病棟に来ました。日々の仕事の中でターミナルケアを含めた気持ちのケアの難しさに直面し、患者さんやそのご家族への関わり方に迷いを感じる事が多く、小澤先生の本を読んでぜひ自分の看護に生かしたいと思い受講しました。
この講座で、自分の意識が大きく変わりました。今までの私は、患者さんにどんな言葉をかけたら楽になるか、どんな答えを返すことが正解なのかにばかりとらわれていて、それが見つからずに悩んでいたのです。それは患者さんの苦しみに向き合わずに逃げていたんだということに気づきました。
「苦しんでいる人は、自分の苦しみをわかってくれる人がいるとうれしい」
この言葉と共に、講座以降はとにかく患者さんのお話をよく聴くことを心がけ、その人の苦しみを知ることからはじめました。講座で学んだ反復・沈黙・問いかけを自分なりに実践することで患者さんの反応は明らかに変わりました。患者さんやご家族の「そう。そうなんですよ看護師さん!」の言葉には、あなたは分かってくれるんですねという気持ちが伝わってきます。また、沈黙の時間が患者さんが自分の気持ちを伝えるための大切な時間なんだと分かり、会話中の間が怖くなくなり、私自身がゆっくりと患者さんと向き合う事ができるようになりました。まだまだ未熟ですが、この学びはこれからの私を支えてくれるものになりました。
だんだんと弱っていく患者さんに対してどう関わっていいか迷いがある方も、急性期の現場にいる方も、この講座と小澤先生との出会いは今後の看護や人生観をも変えてくれる素晴らしい時間になると確信します。書ききれませんがもっと沢山の学びを得られることを、この講座に参加していただければお分かりになると思います。
清水 理桂子さま、薬剤師
(東京都)
小澤先生に逢いたい。それが私が受講を決めた一番の動機でした。実際にお逢いして、間近で講義を拝聴できたことをとても幸せに思っています。「一言も聞き逃すまい」と、こんなに真剣に取り組んだのはいつの日以来だろうと思うほどの濃い内容でした。また、同じ志を抱いて集った仲間と多くの言葉を交わすことができ、心に深く刻まれる時間を過ごすことができました。
現在 急性期病院で薬剤師として働く私が、仕事として在宅医療に積極的に関わるのは 正直なところ時間が必要だと感じています。しかし、理解ある上司を巻き込んで少しずつ同志を増やしています。個人としては薬物治療の知識を増やし、様々な選択肢を提供することを目標に研鑽を積んでおります。
最後に、この講座は 終末期医療の場で活かせるスキルを学ぶことも目的の一つかもしれませんが、人として心が豊かになる気付きが沢山ありました。小澤先生をはじめとし、この会をサポートしてくださるスタッフの皆様に心より感謝申し上げます。
過去の受講生が自主的に開催しているELC東京の紹介もあり、7月に開催された学習会には多くの参加があったようです。ぜひ、今後もそれぞれの地域で継続的に、仲間と学習会や振り返りの機会を持っていかれることを願っております。
協会としては2日間の講座を提供して終わりではなく、受講した方がさらに理解を深め、実践し、振り返り、自らと周囲を進化させていく、そんなお手伝いができたらと願っております。
次回は、5月20日(土)-21日(日)、札幌開催をレポートいたします。
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