第34回「エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座」(仙台)

  • 開催レポート

9月16日(土)・17日(日)、仙台でエンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座を開催いたしました。当日は23名の皆さまにご参加いただきました。開催にあたり、お声掛けから当日の運営面で多くのご協力をいただきましたことを心より御礼申し上げます。

参加者

23名の方にご参加いただきました。

職種の内訳は、看護師52%、介護支援専門員22%、ソーシャルワーカー9%、リハビリテーション職5%、医師4%、傾聴ボランティア4%、相談員4%でした。

地域別では開催地の宮城以外に福島、岩手、栃木、山形、青森などの近県からのご参加が目立つ一方、栃木、埼玉など関東地方からのご参加者もいらっしゃいました。

 

講座の様子

協会理事であり、横浜で在宅診療を行うめぐみ在宅クリニック院長の小澤 竹俊が、2日間の講師を務めました。


2日間の講座では、以下の要素を学びます。

  • 課題背景(2025年問題に備えて)
  • 人生の最終段階に共通する自然経過
  • 苦しむ人への援助と5つの課題
  • 意思決定支援
  • 自宅・介護施設で求められる症状緩和
  • 多職種連携で「援助」を言葉にする(マクロ)
  • 1対1で対応する(ミクロ)

ただ受け身で聞くのではなく、ロールプレイや事例検討のためのグループワーク、学んだことの振り返りなど、ほとんど休む間もなく、口と手をたくさん動かしていただきました。

懇親会

終了後、半数以上の方が懇親会にご参加くださいました。

 

受講者の生の声(後日)

受講後、職場に戻って実践していらっしゃるみなさまの声をお聴きしました。

佐藤剛士さま、相談員
(宮城県)

 有料老人ホームで入居相談員をさせて頂いております佐藤と申します。


 入居相談を頂くにあたりご利用者様、ご家族様の思いに寄り添って支援できているのかと日々考えておりました。そうした日々のなかで、縁あって「8月のホスピス・緩和ケアの夏季セミナーin仙台」に参加させて頂きました。セミナーでお聞きした内容は新鮮で自然と自分のなかに入っていくことを体感しました。その体験から養成講座に参加させて頂くことは当たり前のことでした。

 受講させて頂いた内容は全てが特別でした。特にロールプレイは貴重な体験となりました。患者様の立場になることで、患者様の気持ちが少しわかったような気がしました。また支援者が反復・沈黙を繰り返されると何とも言えない気持ちに包まれます。

 「施設で最期まで過ごしたい」と希望される方も増えてきております。今は「苦しんでいる人は、自分の苦しみをわかってくれる人がいるとうれしい」という言葉を想い支援させて頂いております。以前の私には「沈黙」する時間が少なかったので大切にしております。

 私は介護職出身です。受講者は看護師さんが多いようですので、現場でご活躍されている介護職の皆様にもぜひ受講して頂ければと思います。

 

八木沼弘美さま、介護支援専門員
公立岩瀬病院指定居宅介護支援事業所(福島県)

 私はケアマネージャーをして約10年になります。最近は在宅医療が推奨されかかりつけ医や訪問看護師の必要性も浸透してきています。訪問先で検死にならない方法について聞かれる事も多くなりました。在宅看取りの相談を受けることも多くケアマネージャーは医師や訪問看護師の体制を整えるだけでいいんだと思っていました。人生の最終段階を迎えて日増しに悪くなる本人を見ていると何かしてあげなければと思ってしまい自分が苦しくなり、家族への関わりや言葉かけが出来なくなってしまっていました。そのためいつも、何か中途半端でやり切れてない感じがありました。

 しかし、小澤先生の講座を聞いて、逃げない人になりたいと思いました。解決できない問題を抱えている人、出来ないことが増えていく日々の生活の中にも生きてきた意味や自分を大切に思えるための援助をしたいと思いました。

 聴ける私になりたいと思いました。

 

五十嵐絵美さま、ソーシャルワーカー
山形大学医学部附属病院(山形県)

 今回、この講座に参加したいと思ったのは、がん患者さんや、がんに限らず疾病や障害により生活の困難さや苦しみを抱える患者さんの相談支援に携わってきた中で、日々自分が困難と感じていることを対象とした内容であり、講座に参加し、より患者さん、ご家族をわかるようになりたいと思ったからです。
 
 「苦しんでいるひとは、自分の苦しみをわかってくれる人がいるとうれしい」。100%「わかる」事はできないけれど、患者さん、家族に「わかってくれる人」と思ってもらえる事ならできる。振り返ると、患者さん、家族が穏やかに話をしてくれている時は、その関係ができていた時だったのだろうと思いますが、それでも、向き合うことや意思決定支援にまだまだ困難さを感じるのはそういう時ばかりではないからです。「苦しみ」のキャッチと「支え」の気づき、この援助プロセスを事例を通してのトレーニングができ、アセスメントや具体的なアプローチにつなげるために、何を「聴く」のか、その技法、を学ぶことができました。講座後はもう少し「聴く」ことができるようになるのではないかと思えました。
 
 現場に戻り、支援の困難さを感じる場面はまだまだありますが、その度にこの講座の学びやテキストが「支え」になっています。

 

まとめ

少人数でアットホームな雰囲気が特徴の仙台開催は、今年3月に行われた第25回に続いて4回目の開催でした。毎回、ファシリテーター候補枠での参加者もいらっしゃり、今後の東北地域での広がりが期待されます。

協会としては2日間の講座を提供して終わりではなく、受講した方がさらに理解を深め、実践し、振り返り、自らと周囲を進化させていく、そんなお手伝いができたらと願っております。

次回は、10月21日(土)-22日(日)、大阪開催をレポートいたします。

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