第35回「エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座」(大阪)

  • 開催レポート

10月21日(土)・22日(日)、大阪にてエンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座を開催いたしました。当日は73名の皆さまにご参加いただきました。残念ながら台風の影響で2日目のご参加が叶わず振り替えとなった方もいらっしゃいましたが、冒頭から終始熱量の高い会となりました。開催にあたり、多くのサポーターおよびファシリテーター候補としてご参加いただいた皆様に、当日の運営面で多大なるご協力をいただきましたことを心より御礼申し上げます。 

参加者

73名の方にご参加いただきました。

職種の内訳は、看護師55%、医師18%、介護職11%、リハビリテーション職4%、介護支援専門員4%、ソーシャルワーカー2%、歯科衛生士1%、社会福祉士1%、その他4%でした。その他職種には鍼灸師や福祉用具の相談員の方などにもご参加いただきました。

地域別では開催地の大阪はもちろん、近隣の兵庫、奈良、京都をはじめ近畿地方から多くご参加いただきました。一方、中国四国、九州地方など遠方からのご参加者もいらっしゃいました。

 

講座の様子

協会理事であり、横浜で在宅診療を行うめぐみ在宅クリニック院長の小澤 竹俊が、2日間の講師を務めました。


2日間の講座では、以下の要素を学びます。

  • 課題背景(2025年問題に備えて)
  • 人生の最終段階に共通する自然経過
  • 苦しむ人への援助と5つの課題
  • 意思決定支援
  • 自宅・介護施設で求められる症状緩和
  • 多職種連携で「援助」を言葉にする(マクロ)
  • 1対1で対応する(ミクロ)

ただ受け身で聞くのではなく、ロールプレイや事例検討のためのグループワーク、学んだことの振り返りなど、ほとんど休む間もなく、口と手をたくさん動かしていただきました。

懇親会

終了後、半数以上の方が懇親会にご参加くださいました。

 

受講者の生の声(後日)

受講後、職場に戻って実践していらっしゃるみなさまの声をお聴きしました。

山根由起子さま、看護師
京都府立医科大学(京都府)

 私は京都府立医科大学で教員、そして、摂食・嚥下障害看護認定看護師として勤務している山根と申します。小澤先生に「最期まで食べる」関わりについてご質問する機会があり、その際にこちらの養成講座のご紹介をいただき参加いたしました。

 養成講座では、主に①人の苦しみは、希望と現実の差(開き)にあり、これらをコミュニケーションの中で、反復と問いかけを行い「わかってくれた」と思える相手がいることが嬉しい。②多職種連携や1対1の関わりがあり、患者とご家族が穏やかに過ごせているかを確認する。③主体は援助者(私)ではなく、あなた(患者)であり、支えをキャッチする。ということを学びました。上記①②③を心がけ実践する中で、苦しみを理解した時の自身の静かにあふれ出す感情をどうしたら良いのか戸惑いはありますが、コミュニケーション技術が未熟で、経験の積み重ねが必要だと感じております。

 ここには同志が集まり、沢山学べて、小澤先生おすすめの歌詞が入ってくるので、2日間が心地よく過ぎます。ロールプレイによる体験は、臨床に生かされます!ぜひ人生の最終段階を一緒に考えましょう。

 

向原千夏さま、医師
名張市立病院(三重県)

 私はもともと終末期医療に興味を持ったことをきっかけに医師を志した経緯があり、スピリチュアルケアを中心とした本講座の内容に大変心惹かれ、参加を決めました。

 講座終了後は、学んだことを、日々出会う患者さんとの関わりの中で実践しています。自分の発する言葉に対するアンテナが鋭くなり、日々改善し成長できることが嬉しいです。また終末期の方に限らず、例えば妊婦さんにも、発達障害の子供にも、ここで学んだことを活かすことができるなと感じました。すべての苦しみを抱える人との関わりの中で、使える技術が盛りだくさんでした。

 また、自分を支えることの大切さを学ぶことができたことも、とても大きな収穫でした。誰かを支えたいと思えば思うほど、自分の中にも葛藤や苦しみが生まれることがありましたが、それでも皆で手を取り合って、誰かを支える道を選べばよいのだと、前に進む勇気をもらいました。

 この講座の志は、人と人とが支え合う優しい職場、優しい地域、ひいては優しい世界へと繋がっていることを実感しました。すべての誰かを支えようとする人に、知っていただきたい内容だと思います。素晴らしい学びの機会をつくっていただいた、ELCのスタッフの皆様に感謝申し上げます。

 

倉田佳彦さま、医師
高島市民病院朽木診療所(滋賀県)

 私が赴任した朽木診療所は滋賀県北西部京都府と福井県との県境に山間地域です。年に数件程度、在宅看取りに関わらせていただいています。医療に恵まれない山間地域での看取りにおいては患者・家族と医療者、介護者と合意形成が大事だと考じていましたが、実際の現場ではうまくいかないこともあり、意思決定支援やアドバンスケアプランニングについては学びたいと考え、今回参加させていただきました。

 受講を通して、上記の内容だけでなく、「患者の言葉」や「支援の言葉」を大切にすることを学び、以前よりも自信を持って患者様やご家族様と向き合えるようになりました。地域の現場ではもっと相手と話し、支援者との関わりでは支援を言葉にすることを大事にしたいと思います。

 「支援者としてどう向き合うか」「どんな私たちであればよいか」を学ぶことができ、援助的コミュニケーションを用いたロールプレイを通じて実践的なスキルトレーニングを行うことができる援助者養成講座でした。このような援助者の輪が今後さらに広がっていくことを祈っています。

 

リハビリテーション職
医療法人橘会 訪問看護ステーションよこやま 万年青出張所(大阪府)

 養成講座の参加の動機は、訪問リハビリテーションで、人生の最終段階を迎える人を最後まで関われたことがきっかけです。どういった関わりが良かったのかを考えるようになりました。また、職場の同期が、今年一番印象に残っている研修だったので、参加してみてはどうかという話があったことです。

 養成講座で得られたことは、仲間が出来たことです。2日間グループで話し合うことがたくさんあり、同じ気持ちを共有できました。現場での実践としては、訪問の際、利用者さんや家族さんが“穏やか”になるためには何が大事なのかを自問自答しています。後、出来るだけ、何気ない会話も気をつけて聞くようにしています。何気ない会話の中でも、利用者さんが大事にしている話も多いと感じています。

 1日目はインプット、アウトプットする量が多く、頭が混乱していましたが、2日目は、少しずつ頭の整理がついてきて、とても楽しく学べました。どうしようかなあと悩んでいる方は、是非受けてみてください。実際に学んで感じることは、養成講座を受けてみないとわからないと感じました。

 2日間有意義な時間をありがとうございました。

 

 

まとめ

大阪では、今年6月に行われた第29回に続いて7回目の開催でした。近畿地方は認定ファシリテーターの数も多く、フォローアップ学習会も頻繁に開催されているようです。協会としては2日間の講座を提供して終わりではなく、受講した方がさらに理解を深め、実践し、振り返り、自らと周囲を進化させていく、そんなお手伝いができたらと願っております。

次回は、12月2日(土)-3日(日)、札幌開催をレポートいたします。

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