第36回「エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座」(札幌)

  • 開催レポート

12月2日(土)・3日(日)、札幌でエンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座を開催いたしました。当日は24名の皆さまにご参加いただきました。開催にあたり、運営をご支援くださった地域学習会ファシリテーターならびにファシリテーター候補者のみなさまに心より御礼申し上げます。

参加者

24名の方にご参加いただきました。

職種の内訳は、看護師59%、リハビリテーション職17%、ソーシャルワーカー8%、医師8%、その他8%でした。その他職種には訪問美容、リフレクソロジーに従事される方々にご参加いただきました。

地域別では開催地の北海道内からのご参加が大多数を占めるなか、遠く神奈川県からもご参加いただきました。

 

講座の様子

協会理事であり、横浜で在宅診療を行うめぐみ在宅クリニック院長の小澤 竹俊が、2日間の講師を務めました。


2日間の講座では、以下の要素を学びます。

  • 課題背景(2025年問題に備えて)
  • 人生の最終段階に共通する自然経過
  • 苦しむ人への援助と5つの課題
  • 意思決定支援
  • 自宅・介護施設で求められる症状緩和
  • 多職種連携で「援助」を言葉にする(マクロ)
  • 1対1で対応する(ミクロ)

ただ受け身で聞くのではなく、ロールプレイや事例検討のためのグループワーク、学んだことの振り返りなど、ほとんど休む間もなく、口と手をたくさん動かしていただきました。

懇親会

終了後、半数以上の方が懇親会にご参加くださいました。

 

受講者の生の声(後日)

受講後、職場に戻って実践していらっしゃるみなさまの声をお聴きしました。

木野田秀樹さま、美容
予防美容サロンmatane(北海道)

 「美容を医療と福祉にも生かしたい」との思いから美容コミュニケーション訪問ケアサービスをしております。ご本人様・介護者様の髪・頭皮・お肌のお手入れ・お手当てをさせていただいております。

 「美」に関心を持ち続けることはいくつになっても自分への自信や心の健康につながりそれは人生の最終段階においても同様と感じます。最期の向き合い方を本人だけではなく介護をしている方の不安も少しでも取り除けることができたらという思いから、講座に参加させていただきました。

 研修では、知ること、わかること(理解)、行動すること(動く、行う)、できること、を知識だけではなく、学ぶことができました。1人ではとても弱い存在ということ、だけれども自分のことを心から認めてくれる誰かとの「支えとなる関係」が与えられることで強くなれるということ。そしてその支えをもっと具体的にどんなとき、自分を大切と思えるのか?ロールプレイ・グループワークで感じ取ることができました。

 われわれができること、そして自らも支えに気づくこと、気づくことで支えを強めることができる関係性をこれからも美容を通じて高めていきたいと思います。

 

島田啓志さま、医師
栄町ファミリークリニック(北海道)

 終末期に限らず臨床では、患者の気持ちを理解した上で、診療にあたることが大切と思っている。しかし、実際、言うは易く行うは難し、試行錯誤の日々であった。

 正直、エンドオブライフ・ケア協会という存在も知らなかったし、参加費も高めであるし、参加を躊躇する面もあったが、そのノウハウを学ぶ機会は限られており申し込んでみた。

 しかし、実際に参加してみて、講座の内容は私の想像よりも内容に深みがあり、実践的で驚いた。具体的には、反復・沈黙などの傾聴のスキルだけでなく「問いかけ」に触れている点が類似の講座にない特長であると思う。効果的な問いかけによって患者の支えを明確化できれば、患者は苦痛の中にあっても穏やかに生きられるかもしれない。

 その可能性を抽象的な概念としてでなく、臨床で実践に落とし込むためのノウハウが講座に散りばめられていた。しかも、それは、医師だけでなく関わるすべての援助職が実践可能なように噛み砕いてあった。

 参加して数週間経つ。本講座で学んだ、問いかけを実践していることはもちろんであるが、一つの枠組みを知ったことで、自身の対人コミュニケーションについて内省するための糧を得たことが大きな収穫であった。

 

横田法律さま、ソーシャルワーカー
西岡病院(北海道)

 平成29年12月2日(土)〜12月3日(日)に開催されたエンドオブライフ・ケア援助士養成講座(以下、養成講座)に参加しました。参加の動機は当院緩和ケアチームに参加しており、アドバンス・ケア・プランニング(以下、ACP)やエンドオブライフ・ケア(以下、ELC)についての学びを深めたかったことが理由です。

 受講して得られたことは「“本人家族が穏やかになること/生活すること”を意識しながら関わることが必要である」という“考え方”、“視点”です。侵襲的にならないように状況に合わせながら信頼関係を構築しつつ、どのように関わる事が患者家族の「穏やかでいられること」に繋がるのかを考えることが重要だと感じました。

 当院には認定ELCファシリテーターとなった看護師がおります。養成講座を受講した後、法人の研修委員会と緩和ケアチームで、当院全職員を対象としたACP導入研修会を開催しました。参加者には講義だけではなく、実際にロールプレイも体験してもらいました。もともとACP導入研修会は養成講座受講前から準備していたことですが、養成講座での気づきを研修内容に生かしながらロールプレイを行ったことで、難しさを感じながらも学ぶことの大切さに気づいてもらうことができたと思います。
 
 養成講座の内容は「第一歩の踏み出し方」であると私は捉えています。まず第一歩を踏み出し、その後の実践に向けてどう発展させていくか。学びをチームや院内で共有しながら患者家族の支援に繋げたいと考えています。 
 
 また、当院では「札幌市豊平区西岡・福住地区在宅医療連携拠点事業推進協議会 とよひら・りんく」を立上げ、地域に向けてACPやELCについて学び、支援していけるよう取り組んでいます。その取り組みにも受講で得た学びを活かしていきたいと考えています。

札幌市豊平区西岡・福住地区在宅医療連携拠点事業推進協議会  とよひら・りんく http://www.toyohiralink.jp/

 

西田絵美さま
緩和ケア認定看護師(北海道)

 私は、緩和ケア認定看護師として仕事を続けてきました。緩和ケアは、苦しみを予防し、和らげることで、QOLを改善するアプローチです。しかし、この「苦しみ」とは何なのか、「緩和ケア」で何ができるのか自問する日々でした。そんな中、いのちの授業を拝聴した際の希望と現実の開きが苦しみの構造であるという言葉のわかりやすさに心打たれ、養成講座に参加しました。

 2日間の講座では、「援助を言葉にする」ことが徹底して行われ、相手の苦しみや支えをキャッチし、支えを強めて、どうすれば穏やかになれるのか考え抜きました。疲労の中、私が緩和ケアとして行う援助はこれなのだと、大事な道しるべをもらえたと感じました。

 現在、私は透析を受けながら療養病棟で過ごされている方と主に接しています。透析患者さんのエンドオブライフ・ケアには様々な課題がありますが、何を目的に援助するのか明確にでき、周囲に伝えるという第一歩を踏み出しています。受講後は、1人1人の話している言葉に敏感になりました。そして、その言葉を残したく看護記録が長くなったこと、聞こえてくる歌の歌詞に苦しみや支えの表現を探すことは、講座の重大な副作用と考えています。

 私のように、自分の看護や援助を言葉にして伝えたいと、日々もがいている方にこの講座をおすすめします。

 

まとめ

札幌では2017年5月の第28回以降、4回目の開催となりました。札幌では今年7月にELC札幌が発足し、地域学習会が立ち上がりつつあります。2月に札幌で行われる学習会計画も報告されており、今後は道内各地で継続的な学習機会が広がっていくことを期待しています。

協会としては2日間の講座を提供して終わりではなく、受講した方がさらに理解を深め、実践し、振り返り、自らと周囲を進化させていく、そんなお手伝いができたらと願っております。

次回は、1月20日(土)-21日(日)、東京開催をレポートいたします。

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