第41回「エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座」(大阪)

  • 開催レポート

 3月17日(土)・18日(日)、大阪でエンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座を開催いたしました。当日は63名の皆さまにご参加いただきました。開催にあたり、運営をご支援くださった、地域学習会ファシリテーターならびに候補者の皆さまに心より御礼申し上げます。

 

参加者

63名の方にご参加いただきました。

職種の内訳は、看護師65%、介護支援専門員9%、医師5%、保健師5%、看護教員3%、その他13%でした。その他職種には社会福祉士、ソーシャルワーカー、歯科衛生士、リハビリテーション職、管理栄養士、鍼灸師、研究員、事務職など、多彩な職種の方々にご参加いただきました。地域別では開催地の大阪と兵庫、奈良などの近県以外に中国・四国・山陰地方や、遠く沖縄からのご参加者もいらっしゃいました。

 

講座の様子

協会理事であり、横浜で在宅診療を行うめぐみ在宅クリニック院長の小澤 竹俊が、2日間の講師を務めました。


2日間の講座では、以下の要素を学びます。

 

  • 課題背景(2025年問題に備えて)
  • 人生の最終段階に共通する自然経過
  • 苦しむ人への援助と5つの課題
  • 意思決定支援
  • 自宅・介護施設で求められる症状緩和
  • 多職種連携で「援助」を言葉にする(マクロ)
  • 1対1で対応する(ミクロ)
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ただ受け身で聞くのではなく、ロールプレイや事例検討のためのグループワーク、学んだことの振り返りなど、ほとんど休む間もなく、口と手をたくさん動かしていただきました。

 

懇親会

終了後、半数以上の方が懇親会にご参加くださいました。

 

受講者の生の声(後日)

受講後、職場に戻って実践していらっしゃるみなさまの声をお聴きしました。

 

浅利建吾さま、医師
松下記念病院 緩和ケア内科(大阪府)

 私は緩和ケア医として2016年4月より松下記念病院緩和ケア内科で人生の最終段階を迎える方々と日々接してきました。養成講座を受講したきっかけは小澤先生の出演された「プロフェショナル~仕事の流儀~」というNHKの番組を拝見して、果たして自分は目の前の患者さんの苦しみを引き出し、キャッチすることができているのだろうか?と衝撃を受けたのがきっかけでした。

 受講前は「沈黙」と「反復」には人間らしさがなく無機質な感じがあり、いい印象がなかったというのが本音ですが、実際の現場で丁寧に繰り返しながら関わってみると、受講前より患者さん自身の言葉で語られる思いが聞けるようになったように感じました。これまでは自分の言葉や語りで患者さんの苦悩を解決しようとしてきたのかもしれません。逆に今は患者さん自身の言葉で語られる切実な辛さに対して、これまで以上に無力感を感じるようにもなりました。

 養成講座の2日間を一言でざっくり表現すると、ドラゴンボールさながらの「精神と時の部屋」。部屋は暑く(熱気で)、特にロールプレイの際の重力は普段の10倍で空気も四分の1くらいの薄さで息詰まる感じがありました。しかし2日間の過酷な修行を終える頃には、きっと明日からのエネルギーに満ち溢れている事と思います。何より同じ悩みや志をもった仲間と養成講座を通して出会えたことが今の私の大きな支えとなっています。

 この輪を、自分の職場や地域にも広げていけたらと思っています。小澤先生をはじめとするELCのスタッフの方々、2日間の素敵な熱い時間を本当にありがとうございました。

 

稲葉典子さま、訪問看護認定看護師
医療法人社団甲友会 西宮協立訪問看護センター(兵庫県)

 

 「何もできない」。

 訪問看護師として人生の最終段階を支援する際、このような無力感にさいなまれることがあります。そのような時は、何かをするのでなく、ただそばにいること、というシシリーソンダースの言葉を用いて、ステーションのスタッフや私自身に言い聞かせてきました。そう言いながらも「ただそばにいる」ふさわしさが私にあるのだろうか、と感じ、時には自信をなくしたりしていました。本講座の受講は、私自身が人生の最終段階を支援する力をつけ、スタッフと共有していきたい、という思いが動機でした。

 受講を通しての一番の気づきは、「苦しんでいる人は自分の苦しみをわかってくれる人がいるとうれしい」と学びを得ながらも、私がどうしたいか、が先に出てしまうという自己認知を得たことでした。私の聞きたいことではなく、相手の支えや安心について、沈黙や反復を用いながら問いかけていくことが「穏やかな時間」の一助になることを学びました。

 受講を終えた今、「苦しみをわかってくれる人」として、まず自分軸を外し、私以外の相手に向き合えているだろうか、と自問しているのが変化のように思います。今回の受講の機会に感謝しています。

 

まとめ

大阪では、昨年10月に行われた第35回に続いて8回目の開催でした。近畿地方での受講者数増加に伴い、ELC近畿研究会によるフォローアップ学習会は二手に分かれて開催されるようになったとのことで、大変な盛り上がりを見せています。協会としては2日間の講座を提供して終わりではなく、受講した方がさらに理解を深め、実践し、振り返り、自らと周囲を進化させていく、そんなお手伝いができたらと願っております。

 

次回は、3月24日(土)-25日(日)、横浜開催をレポートいたします。

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