第42回「エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座」(横浜)

  • 開催レポート

3月24日(土)・25日(日)、横浜でエンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座を開催いたしました。当日は45名の皆さまにご参加いただきました。開催にあたり、当日の運営面で多くのご協力をいただきました地域学習会ファシリテーター候補者のみなさまに心より御礼申し上げます。 

参加者

45名の方にご参加いただきました。

職種の内訳は、看護師58%、介護支援専門員9%、医師7%、ソーシャルワーカー5%、介護職4%、リハビリテーション職2%、管理栄養士2%、歯科衛生士%、その他11%でした。その他職種にはセラピスト、ピアサポーター、介護福祉経営士、シンクタンク研究員の方々にもご参加いただきました。

地域別では開催地の神奈川をはじめ東京、千葉、埼玉などの近県、東日本各地からと、遠くは九州中国地方からのご参加者もいらっしゃいました。

 

講座の様子

協会理事であり、横浜で在宅診療を行うめぐみ在宅クリニック院長の小澤 竹俊が、2日間の講師を務めました。


2日間の講座では、以下の要素を学びます。

  • 課題背景(2025年問題に備えて)
  • 人生の最終段階に共通する自然経過
  • 苦しむ人への援助と5つの課題
  • 意思決定支援
  • 自宅・介護施設で求められる症状緩和
  • 多職種連携で「援助」を言葉にする(マクロ)
  • 1対1で対応する(ミクロ)

ただ受け身で聞くのではなく、ロールプレイや事例検討のためのグループワーク、学んだことの振り返りなど、ほとんど休む間もなく、口と手をたくさん動かしていただきました。

懇親会

終了後、半数以上の方が懇親会にご参加くださいました。

 

受講者の生の声(後日)

受講後、職場に戻って実践していらっしゃるみなさまの声をお聴きしました。

木内亜紀さま、看護師
地域ケアステーション ゆずり葉(埼玉県)

  看護師という仕事柄、人生の最期に立ち会うことが多く、ご本人やご家族始め援助者すべての人に対してどのように接したら良いのかということを常に考えて来ました。
  小澤先生の講義を以前拝聴し、援助は技術であることを学び、誰しもが学ぶことで実践ができることを知って、それまで看取りに対して周りの援助者達とどのように向き合っていけばよいのか悩んでいましたが、学びを伝えることで関わるすべての人が自分たちのケアを振り返り、看取る方のありのままと向き合うことができていきました。
  訪問看護ステーションを開設し、更に学びを深めたいと今回受講させていただきました。

  講座では、《反復》について実践することで、たとえ悲観的な発言であってもその言葉を受け止め、そして返すことで相手が【この人は私のことを理解してくれている】と感じる感覚がわかりました。そしてロールプレイで患者役になりきることで、苦しみの中にいる人の思いを味わい、これまでの自分の関わりを振り返り、苦しみを深くまで味わう場面をどこかで避けていたことに気づきました。

  受講後は、相手の発言がマイナスな感情表現であっても、そのままの言葉を受け止め、反復し、苦しみを味わう場面から逃げないで向き合えるようになっていると感じます。最愛のご主人を亡くされた奥様が、心を乱して泣き叫んでいらした時も、丁寧に聴き、反復すると「そうなんです!」という言葉が返ってきて、これが理解者になることなのだ、と実感しました。

  また、受講の中で自らの支えについて考えたことで、自分自身の大切にしていることや、これからもこの仕事を続けていきたいと改めて思い直すことができました。

  そしてなんと言っても、この講座を通じて出逢えた仲間は宝物であると感じています。日々の実践の中で大変なことは山ほどありますが、それでも全国に同じ思いの仲間がいるのだと感じることで、また頑張ることができるのです。

  本当に素敵な時間を過ごさせていただきました。そしてこれからも自分の持ち場で今できることを精一杯やらせていただこうと思っております。

 

日原美穂さま、管理栄養士
有料老人ホーム アモーレ水の郷(神奈川県)

 特別養護老人ホーム勤務時に「死にたい」と98歳の方に言われました。その時、「そんなことないですよ、元気になりますから」は事実ではないし、かといって「頑張って」も違うと思い、返答できなかった事が受講のきっかけです。私はどう答えたらその方の支えになれたんだろうかとずっと思い続けていた時に、ELCを知りました。

 養成講座では、分かってくれると人は嬉しいこと。とにかく、傾聴し繰り返す事。奇妙に感じた技法でしたが、ロールプレイングで実際に自分が傾聴し反復してもらうと心が満たされわかってもらえた満足感が得られ驚きました。

 外来の栄養指導は、傾聴の連続です。その時、ELCで学んだように支えになれるようお話を聞き、相手が何を伝えようとしているかメッセージをつかみ繰り返す。この技法を使うと、こちらから積極的に聞き出さなくても、相手の方から近況や想い、問題点を話して頂けるようになりました。また、同席しているご家族は今まで患者様の付き添いで座っているだけでしたが、患者様を支えているご家族についても、苦労やつらい事があるのではないかと考えました。ご家族から見て、私のことをわかってくれる人だと思ってもらえるようになる、そのために丁寧にお話を聴くことで、在宅でご家族が笑顔になる事が増えてきました。誰かの支えになろうとする人こそ、支えが必要という先生の言葉を思い出しながら外来の栄養指導を行っています。

 私は最初、繰り返す技法を先に知った為「本当にその語りかけでいいの?」「繰り返されてイライラしないのかな?」と失礼ながら疑心暗鬼でした。実際、ロールプレイングを体験して、その疑いは一気に吹き飛びました。また、先生のお話のひとつひとつが何より私自身の支えになった事、グループワークで出会った仲間が2日間で絆が深まりお互いの支えになった事。2日間、全ての出来事と学びが私の宝になりました。少しでも気になった方、えいやと飛び込んでみる事をお勧めします。

 

井上晶子さま、セラピスト
サロン 水の環(東京都)

 私は、医療従事者でも介護周りの職種や福祉関係の職務でもないリラクゼーションをメインしたボディケアのセラピストです。もともとは、ハンド・フットのアロママッサージや傾聴のボランティア活動で、一般病棟や高齢者施設に数カ所伺わせてもらっている程度です。

 それでも受講を決めたのは、小澤先生の「どこにいても、どんな病気でも、住み慣れた地域で穏やかに暮らせる社会とするためにはそれぞれの地域に人材が必要」という将来的な見通しに触れたからです。ならば、医療や介護福祉関係者ばかりでなく、専門職に丸投げして済むことではなく、「ふつうの私(みたいな人たち、例えば親の介護とかを通して関わる私たち)」がコミットしていったらいいんじゃないの?と軽く、でも真剣に思ったからでした。

 受講の2日間は、指導してくれる小澤先生はもちろん、仲間に恵まれ、医療従事者でも介護周りの職種や福祉関係の職務でもない私でも受けられる、垣根を超えたわかりやすい、共通の言葉で話してくださいました。やったことない、考えたことがないことばかりでしたが、「傾聴」を少しやっていたので、「傾聴」と共通するところもたくさんあり、その部分がより深まったように思います。

 私にとっての現場は、今は相手の方との長期的な関わり・・というのには程遠く、その場その場で、その相手相手、『「現場」が先生です。決めるのは「相手」です』と仰っていた小澤先生の言葉を思い出しながら、やっています。

 たとえ30分の時間でも、相手の気持ちに添えない「できない自分」にウンザリしたとしても、『「力」がなくても、その場に居る』と話してくれた小澤先生の言葉を支えに、黙ってそばに居るように心がけています。相手がこちらがここに居ることを拒否していないようなら、黙ってそばに居るだけで、空気が変わることがあると体験した時は、ささやかでしたが、とても嬉しかったことを覚えています。

 そしてもう一つ、意思決定支援の中で、「一人で決めない・一回で決めない」というのを教えてもらいましたが、今、実際に両親の介護で、実践しています。決めるときはきょうだいと、わかるように当人に話し、そして何回か話してから決める・・・ささやかなのですけれど、とても役に立っています。この考え方(介護はプロジェクトという発想で、マッピングして先の道のりを考えて・・という)のは、一緒に取り組んでいるきょうだいからも、好評です。

 あの場での学びをこれからも深めて、近い将来、地元地域で役立てていきたいと思います。

 

まとめ

横浜には毎回様々な地域から参加者が集まり、今回も全国から職種も経験も多様な方々にご参加いただきました。

近隣の東京都内や同県の横須賀市などでは、認定ファシリテーターの皆さまにより、受講後に継続的に学びを振り返り、交流する場が設けられています。地元横浜でも継続的に学べる機会をと、ファシリテーター認定を希望される方も少しずつ見えてきました。

協会としては2日間の講座を提供して終わりではなく、受講した方がさらに理解を深め、実践し、振り返り、自らと周囲を進化させていく、そんなお手伝いができたらと願っております。

次回は、4月21日(土)-22日(日)、横浜開催をレポートいたします。

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