4月20日(土)・21日(日)、横浜でエンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座を開催いたしました。当日は50名の皆さまにご参加いただきました。開催にあたり、運営をご支援くださった、地域学習会ファシリテーターならびに候補者の皆さまに心より御礼申し上げます。
50名の方にご参加いただきました。
職種の内訳は、看護師52%、介護支援専門員14%、介護職10%、リハビリテーション職8%、相談員6%、ソーシャルワーカー2%、医師2%、薬剤師2%、その他4%でした。その他職種には大学教授、学生の方にご参加いただきました。
地域別では開催地の神奈川をはじめ東京、千葉、埼玉などの近県や東日本各地、遠くは北海道、中国、九州地方など幅広い地域からご参加いただきました。
協会理事であり、横浜で在宅診療を行うめぐみ在宅クリニック院長の小澤 竹俊が、2日間の講師を務めました。
2日間の講座では、以下の要素を学びます。
ただ受け身で聞くのではなく、ロールプレイや事例検討のためのグループワーク、学んだことの振り返りなど、ほとんど休む間もなく、口と手をたくさん動かしていただきました。
終了後、半数以上の方が懇親会にご参加くださいました。
受講後、職場に戻って実践していらっしゃるみなさまの声をお聴きしました。
木村翠さま、リハビリテーション職
けいすい訪問看護ステーション逗子(神奈川県)
訪問看護ステーションに勤務し、様々な疾患を有する方々へのリハビリテーションに携わっています。以前、病院に勤務していた際に緩和ケア病棟の患者様を担当し、相手がどんな思いでいるのか、どのように関わり、どのような言葉かけをしていいのかが分からず、とても悩みました。
現在もその当時と同じ悩みを抱き続けていますが、主人からエンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座があることを紹介され、まずは自分自身が学び、体験することが必要だと思い受講しました。
この講座で得られたことは、「支え」です。日々の現場で、「どうにかしなくちゃいけない」と躍起になっていましたが、「できない自分を認める」、自分自身をよく知り、その中でも相手のそばにいること、困難と向き合い続けることの大切さを知りました。「誰かの支えになろうとする人こそ、一番、支えを必要としている」という言葉を聞いた時、本当に心が軽くなりました。
現場に戻り、講座で学んだ「反復」、「沈黙」、「問いかけ」を実践する中で、講座を受ける前と後では、相手から受け取る言葉の一つ一つの聞こえ方が変わったのを実感しています。また、利用者の方やそのご家族からも、悩んでいることやお互いに対する想いを話していただく機会が増えたように感じます。まだまだ戸惑うことも多くありますが、どんな方との関わりの中でも活かすことができることだと実感しています。
患者様やご家族との関わりに少しでも悩み、不安を感じている方には、とても支えになる講座だと思います。色々な支援に携わる方に、この講座を受講して、学び、体験して頂けたらと思います。
藤田栄輔さま、看護師
社会医療法人河北財団 あい介護老人保健施設(東京都)
もともと救急で従事していた頃は「死」というものを「医療の敗北」と見ている傾向が私にはありました。治療の機会があるのに「終末期ケア」と表現し逃げているだけではないかとさえ思っていました。しかし数年前に病院から老人保健施設へと職場を移し、看取りの機会が増えたことで、逃げていたのは自分自身であり、気持ちの上で死に対する敗北感や挫折感ではなく「恐怖感」があったのかもしれないと思うようになりました。
今回、小澤先生の講義を拝聴できたことで受講前に自分を覆っていた「死に対する恐怖感」は払拭され、自分にも死にいく人に寄り添うことができるという思いになりました。死とは忌み嫌うものではなく、人に平等に与えられた権利であるということ。そして権利であるがゆえに自分で決定することができるということ。それが分かったことで、死に向かう人にその権利を行使して頂く手伝いが自分にはできるというように思えるようになりました。
受講を終えた今、重要なのはその人にとって「穏やか」であるかどうかという事を考えること。そしてこの視点を終末期に関わるすべての人にもっと広げられればいいと思います。このたび貴重な学びの場を頂けたことに深く感謝いたします。
横浜での開催は、3月に続き2カ月連続でしたが、今回も全国から職種も経験も多様な方々にご参加いただきました。近隣の東京都内や同県の横須賀市などでは、認定ファシリテーターの皆さまにより、受講後に継続的に学びを振り返り、交流する場が設けられています。地元横浜でも継続的に学べる機会をと、ファシリテーター認定を希望される方も少しずつ見えてきました。
協会としては2日間の講座を提供して終わりではなく、受講した方がさらに理解を深め、実践し、振り返り、自らと周囲を進化させていく、そんなお手伝いができたらと願っております。
次回は、5月12日(土)-13日(日)、札幌開催をレポートいたします。
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