5月12日(土)・13日(日)、札幌でエンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座を開催いたしました。当日は23名の皆さまにご参加いただきました。開催にあたり、運営をご支援くださった地域学習会ファシリテーターならびにファシリテーター候補者のみなさまに心より御礼申し上げます。
23名の方にご参加いただきました。
職種の内訳は看護師52%、その他48%でした。その他内訳はソーシャルワーカー、リフレクソロジー、営業職、介護支援専門員、介護福祉士、生命保険、相談員、訪問美容などで、多様な職種の方に参加いただきました。
地域別では開催地の北海道が大半を占めましたが、新潟、神奈川からのご参加者もいらっしゃいました。
協会理事であり、横浜で在宅診療を行うめぐみ在宅クリニック院長の小澤 竹俊が、2日間の講師を務めました。
2日間の講座では、以下の要素を学びます。
ただ受け身で聞くのではなく、ロールプレイや事例検討のためのグループワーク、学んだことの振り返りなど、ほとんど休む間もなく、口と手をたくさん動かしていただきました。
終了後、半分近くの方が懇親会にご参加くださいました。
受講後、職場に戻って実践していらっしゃるみなさまの声をお聴きしました。
看護師
サービス付き高齢者向け住宅(北海道)
5月12・13日に開催されました援助者養成基礎講座を受講させて頂きました。高齢者住宅で介護職他、他職種と共に働いています。平均年齢84歳のあたり前の生活に日々寄り添わせて頂いていますが、自分たちには何も出来ないからと消極的に最期をみつめる現状があります。家族ではないけれどとても近しい距離感の中で、この現状に何か変化をもたらすことが出来たらと考え研修に参加させて頂きました。
研修を終え職場に戻った時、老いをみつめることが苦しいと表現する利用者に、ただひたすら何が出来ているのだろうと心を痛めている仲間たちが多いことに気が付きました。
自分の苦しみをわかってくれる人がいてくれることが嬉しい。そんなことで?と思われそうですが、それこそが本当に穏やかな日常に不可欠である大切な要素であること、そんな自分たちでいることがどれ程素晴らしく素敵なことであるのか。仲間たちで共有していける環境作りがまず第一歩だと感じさせられました。
この研修で得られた気付きを忘れずに、病や障がいがあっても自分らしく安心して暮らせるように、共に考え、行い、過ごせるサービスの提供を行っていきたいと思います。
小澤先生はじめELCスタッフの皆様に感謝いたします。ありがとうございました。
石山武浩さま、介護支援専門員
医療法人道北勤労者医療協会 宗谷医院指定居宅介護支援事業所(北海道)
日本てっぺん最北端の街・稚内市より、エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座を受講できて、本当に良かったと実感しています。人と関わる仕事をしていて、支える側の支えを改めて確認する一連の流れを学び、マクロの視点で考えることが出来るようになりました。業務の中で利用者の話を傾聴しながら、反復や沈黙・問いかけを意図的にしながら、人が穏やかになれる事を一緒に探せるように、実践しています。
受講2日間はあっという間で、「苦しんでいる人は、自分の苦しみをわかってくれる人がいるとうれしい」という視点を大切に、苦しむ人からみて、わかってくれる人とは、励ましてくれる人ではなく、聴いてくれる人である事を学びました。ロールプレイ演習で、わかってくれる人になる聴き方、反復・沈黙・問いかけの技法を練習し、体験を通して身に付けることができました。演習で、「反復」の返し方スキル、「沈黙」の相手の思いを言葉にするまでの間を待つ訓練、「問いかけ」の重要性を改めて実践を通して学び、確信となりました。
受講後は、わかってくれる人になる聴き方の反復と沈黙・問いかけを意識して関わっています。反復で思いを受け止め、心の言葉を聴く沈黙の活用は何より大切であり、言葉にするまでの間は、相手を思いやり、尊厳をもって尊重するようになり変化しました。長い沈黙の後に、大事な言葉を聴き、思いを受け止め感じるとる事ができています。
最後に、この養成講座はたくさんの事をキャッチできました。支える側である自分の支えを確実にキャッチする事ができます。小澤竹俊先生をはじめELC協会のみなさん、ファシリテーターの方々、講座を受講している仲間達と共に、この有意義な素敵な時間を共有するだけで穏やかな気持ちになりました。自分と同じ思いを持つ方達が全国にたくさんいることを力に、もっともっと学んで頑張っていきます。日本のてっぺんのまち稚内市から、「顔の見える信頼地域ネットワーク」が「連携から連帯」になるように「小澤竹俊先生・エンドオブライフ・ケア」を最北端から発信し続けます。本当にありがとうございました。
西川奈美さま、看護師
社会医療法人 恵和会 西岡病院(北海道)
看護師として日々の関わりの中で、【コミュニケーション技術のスキルアップ】は欠かせないと考え参加しました。以前に受講した同僚から、コミュニケーション技術の学習になるという感想は聞いていましたが、ここまでロールプレイ主体の講座に参加した経験はなく、【援助を言葉にすることができる】を目標に「反復」「沈黙」「問いかけ」の技術を用いて学習しました。
実際、精神的苦痛を訴える患者との関わりの中で「反復」の技法を実践したところ、患者の表情が徐々に和らぎ、口調も穏やかになりました。以前は話を聴きどのように返答すればよいのか言葉につまることもありましたが、今回の研修を通して『応答スキル』を学び現場に活かすことができました。
患者の中には、自分で訴えることができない方も多くいます。今後も苦しみを言葉だけでなく表情からもキャッチできる感性を養い、日々の関わりの中で『このひとならわかってくれる』と思ってもらえるような存在に、そして相手の支えになれるよう講座で学習した内容を実践し積み重ねていきたいと思います。
今回一緒に研修に参加した方との交流も貴重な体験となりました。医療職以外の方もいましたが、皆さんの熱意が私の活力にもなりました。
今後もコミュニケーション技術の向上を目指したい・患者や家族の支援に悩んでいるなどの思いを持っている多くの方々に、是非この講座に参加し体験して頂きたいと思います。
札幌では2017年12月の第36回以降、5回目の開催となりました。札幌には、継続的に学びつながる場としてELC札幌がありますが、先日は地域の介護事業所からの依頼を受けて学習会を開催するなど、少しずつ活動が広がっていることを伺っています。
協会としては2日間の講座を提供して終わりではなく、受講した方がさらに理解を深め、実践し、振り返り、自らと周囲を進化させていく、そんなお手伝いができたらと願っております。
次回は、6月2日(土)-3日(日)、大阪開催をレポートいたします。
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