第52回「エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座」(東京)

  • 開催レポート

10月27日(土)・28日(日)、東京でエンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座を開催いたしました。当日は98名の皆さまにご参加いただきました(2日間の受講者、eラーニング+2日目集合研修の受講者、ファシリテーター候補者枠の方を含む)。開催にあたり、運営をご支援くださった地域学習会ファシリテーターならびにファシリテーター候補者のみなさまに心より御礼申し上げます。  

参加者

職種の内訳は、看護師58%、介護職11%、介護支援専門員6%、医師3%、薬剤師3%、ソーシャルワーカー2%、リハビリテーション職2%、事務2%、心理職2%、保健師2%、その他9%でした。その他職種にはITエンジニア、コンサルタント、経営者、人事、ヨガセラピスト、傾聴ボランティア、鍼灸マッサージ師など多彩な職種の方々にご参加いただきました。

地域別では開催地の東京都および近県のほか、北は新潟、南は徳島まで、広く日本各地からご参加者いただきました。

 

講座の様子

協会理事であり、横浜で在宅診療を行うめぐみ在宅クリニック院長の小澤 竹俊が、2日間の講師を務めました。


2日間の講座では、以下の要素を学びます。

  • 課題背景(2025年問題に備えて)
  • 人生の最終段階に共通する自然経過
  • 苦しむ人への援助と5つの課題
  • 意思決定支援
  • 自宅・介護施設で求められる症状緩和
  • 多職種連携で「援助」を言葉にする(マクロ)
  • 1対1で対応する(ミクロ)

ただ受け身で聞くのではなく、ロールプレイや事例検討のためのグループワーク、学んだことの振り返りなど、ほとんど休む間もなく、口と手をたくさん動かしていただきました。

懇親会

終了後、半数以上の方が懇親会にご参加くださいました。

 

受講者の生の声(後日)

受講後、職場に戻って実践していらっしゃるみなさまの声をお聴きしました。

大平智祉緒さま、看護師
なごみ訪問看護ステーション(千葉県)

 思春期の頃に最愛の父を失い、それまで経験したことのない悲しみを味わいました。いつかは誰もが経験する「人生の最終段階」。そして、遺される側にとっては「大切な人を失う」という経験。いつか私もその苦しみの力になれる人になりたいと、看護師を志しました。

  看護師になってから、様々な方の臨終に立ち会いましたが、最後まで治療を最優先する病院では、なんとも言えない無力感が残りました。そんな時にメイクセラピーと出会い、現在は訪問看護師をしながら、メイクセラピストとして活動をしています。メイクセラピーは美容のもつ、心理的・社会的・生理的効果だけではなく、対人的コミュニケーションの力が非常に重要だと感じています。

 これまでは『共感的姿勢』でいることを心がけてきました。相手の想いを100%理解することはできないけれど、目の前のその方が抱える辛い想いや悲しい想いを受け止めることはできるのではないかと思っていました。「辛いんだろうな」「悲しいのだろうな」と相手の話を聞く際はその方が現在抱いている感情面に注意して耳を傾けるようにしていました。しかし、今回小澤先生の講座を受け、自分が〝受け止める〟のではなく、相手が「わかってもらえた」と思えることが大切だと教えて頂きました。主語が「私」ではなく、相手が主体となる考え方を学び、改めて自分のケアは自己満足だったのではないかと反省しました。相手が「わかってもらえた」と感じるためには、相手の言葉を大切に、反復していくことが重要だと学び、ロールプレイで実践しました。後ろ向きな発言を反復するには抵抗がありましたし、つい「そうですよね、それは辛かったですね。」と、共感してしまいそうにもなります。

  実際に現場で、改めて自分のコミュニケーションの癖を見直し、学んだように「反復」するように心がけました。相手の言葉を一つ一つ確認しながら話を進めると自然とその続きを話してくれるようになりました。これまでの私のコミュニケーションの取り方では相手の本当の伝えたいことまで到達する前に、こちらが相手の想いを先回りして話を終わらせていたところがあったように思います。今後はこのコミュニケーションの技術を医療福祉の専門職だけでなく、一般の市民や美容関係者、子供たちにも伝えていければと思っています。

  「苦しんでいる人の力になりたい」

  そう思われている方には是非、小澤先生の経験に基づくこの講座を受講して頂きたいです。

 

諏訪律子さま、看護師
大東文化大学スポーツ・健康科学部看護学科(埼玉県)

 私は、消化器外科病棟で13年勤務いたしました。癌患者様の看護として手術から抗がん剤治療、そして終末期とお付き合いしました。看護師になりたての頃は急性期の看護に憧れもありましたが、徐々に人との関わりについて考えさせられるようになりました。そして、特にお看取りの場面に関しては一度も答えが出ませんでした。

 良い看護を目指し、一生懸命に患者さんにところに足を運びました。患者さんにとって1番の安全や安楽について考えました。しかし、人は一人ではなく家族との繋がりがあり成り立っている為、その人だけを看護するのでは、十分な看護ではないと感じるようになりました。看護経験が長くなり患者様の家族と話ができるようになりました。患者さんと患者さんの家族では、考えも思いも違いますが、双方に思いを寄せています。そんな時、患者さんにとって大切な家族や、看取ったあとの家族の生活を更に考えるようになりました。今をその人らしく最期まで生き抜く、そしてそれを支援することが、大切だと考えるようになり、エンドオブライフ・ケアを知りました。エンドオブライフ・ケアをもっと知りたい、伝えたいと感じるようになり、小澤先生の場所にたどり着きました。

 小澤先生の講座は、心を動かされます。講座を受講したことにより、今まで自分では気付かなかった話の聞き方などがとても学びになったと思います。同じ言葉を繰り返すことで、こんなにも安心感が得られるとは思いませんでした。また、グループにも恵まれディスカッションがとても楽しい学びに繋がりました。看取りの場面では、納得のいくことばかりではなく悩むことも沢山あります。しかし、同じ教訓の人達とふれあうことで、とても救われる思いになります。この講座では素敵な仲間との出会いもあり、沢山のことが得られました。今後はエンドオブライフ・ケアを地域に広げ、人に優しい看護を提供できるような研究をしたいと考えています。

 小澤先生はじめ、エンドオブライフ・ケア協会の皆様、素敵な時間を有難うございました。

 

まとめ

毎回日本各地からのご参加が集まる東京開催。回を重ねるごとにご参加人数が増え、今回はサポーターのみなさんを含めると100名を超える大規模開催となりました。

協会としては2日間の講座を提供して終わりではなく、受講した方がさらに理解を深め、実践し、振り返り、自らと周囲を進化させていく、そんなお手伝いができたらと願っております。

次回は、11月10日(土)-11日(日)、札幌開催をレポートいたします。

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