江戸川区に本堂のある仏教寺院 證大寺様にて、住職含め僧侶、職員の皆様向けに、ディグニティセラピーのワークショップを開催いたしました。
證大寺様は、別名「手紙寺」として親しまれており、生前から自身のこととして、あるいは亡くなった後ご家族が葬儀や法要を通して本人に想いを伝えるものとして、手紙を綴ることを大切にして来られたお寺です。その支援をする役割として、相談員の育成にも力を注いでおられます。
これまで住職や職員の方4名が援助者養成基礎講座をご受講くださったご縁から、「親子で学ぶいのちの授業」や「Death Over Dinner」などの企画をご一緒させていただいておりますが、もともとは「プロフェッショナル」をご覧くださり、そこでご紹介していたディグニティセラピーとの親和性を感じて、ご関心をお寄せくださったことが始まりでした。
必ずしもディグニティセラピーそのものを行っていくということではなく、すでに行っていらっしゃるお寺での取り組みをよりよいものとしていくためにまずは現状それぞれの取り組みの意義を知ることからはじめています。
お忙しいなか、18名の方が4時間大変熱心にご参加くださいました。
いくつかいただいたコメントです。
・相手の人生を知る、向き合って聞き出すことに、大切さを感じた。インタビューの難しさも感じた。ロールプレイングを通して自分のことを知るきっかけ、まだまだ知らない自分がいることに気がついた。
・家族の方にとっては、知らない一面が分かることが出来るのではないかと感じます。話す本人にとっては、話したことで心中がスッキリすることが出来る感じはしますが、仏教的に介入出来ればと感じました。
・「人生のあゆみ」は故人様の家族より聞き取り作成していますが、生前にご自身から聞き取るように 時間が作れればと思いました。
・人生のあゆみを作るにあたって、自分が意識して又意識せずやっていることに近かった。
・「尊厳」という言葉を通して、人の生きる意味を見つめることはとても大事なことと確かめられた。そして、このことは法要で出逢う人々との関わりに役立つと感じた。
・僧侶の本分は傾聴ありきということを思い返させていただきました。
證大寺様はもともと西暦800年代、飢餓や疫病により路傍で失われていく命を人間らしく看取る場所として大宰府に建立された「続命院」に起源を持つそうです。看取りについても学びを深めていきたいと、真摯に学ばれる姿が印象的でした。
立脚するものが異なれば、違和感があるのは当然のこととして、疑問やご意見もたくさんいただきましたが、見ている方向は同じであることを感じ、当方も大変貴重な学びとなりました。
人生の最終段階を迎えるご本人やそのご家族の生前、そして亡き後、長きにわたり尊厳を守っていくことを、医療や介護に携わる私たちも、今後もともに学んでいくことができたらと願っております。
© End-of-Life Care Association of Japan