第61回「エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座」(東京)

  • 開催レポート

4月6日(土)・7日(日)、東京でエンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座を開催いたしました。当日は77名の皆さまにご参加いただきました(2日間の受講者、eラーニング+2日目集合研修の受講者、ファシリテーター候補者枠の方を含む)。開催にあたり、運営をご支援くださった地域学習会ファシリテーターならびにファシリテーター候補者のみなさまに心より御礼申し上げます。  

参加者

職種の内訳は、看護師54%、介護9職%、医師6%、介護支援専門員5%、ソーシャルワーカー4%、リハビリテーション職4%、学生4%、薬剤師4%、その他10%でした。その他職種には理学療法士、精神保健福祉士、保健師、訪問診療事務のほか、スクールカウンセラー、チャプレン、音楽療法士、主婦の方々にもご参加いただきました。

地域別では、開催地の東京および近県以外に、北は北海道や東北から南は四国、九州まで全国からご参加者がいらっしゃいました。

講座の様子

協会理事であり、横浜で在宅診療を行うめぐみ在宅クリニック院長の小澤 竹俊が、2日間の講師を務めました。


2日間の講座では、以下の要素を学びます。

  • 課題背景(2025年問題に備えて)
  • 人生の最終段階に共通する自然経過
  • 苦しむ人への援助と5つの課題
  • 意思決定支援
  • 自宅・介護施設で求められる症状緩和
  • 多職種連携で「援助」を言葉にする(マクロ)
  • 1対1で対応する(ミクロ)

ただ受け身で聞くのではなく、ロールプレイや事例検討のためのグループワーク、学んだことの振り返りなど、ほとんど休む間もなく、口と手をたくさん動かしていただきました。

懇親会

終了後、半数近くの方が懇親会にご参加くださいました。

 

受講者の生の声(後日)

受講後、職場に戻って実践していらっしゃるみなさまの声をお聴きしました。

畑中陽子さま、看護師
独立行政法人国立病院機構 北海道がんセンター(北海道)

 本養成講座への参加の動機は、エンドオブライフ・ケアの知識を深め、実際のケアに活かしたいと考えたからです。


 今回、養成講座で得られたことですが、1つだけ記載するなら同じようにエンドオブ・ライフケアを実践したいと思う仲間が全国にいるということがわかり、今後のケアの励みになったことです。


 私が、本講座の受講後、現場で実践していることの1つとして、コミュニケーションにおいては、患者さんの本当の気持ちが表出されるようになったと感じています。患者さんの本当の気持ちをどこまで活かして最期の時間を過ごすか、家族とも一緒に検討する時間が増えたと思います。


 受講検討中の方へのおすすめのポイントですが、受講をしたいと思った時を逃さず、まずは参加していただくとこの講座の良さがわかると思います。全国に同じように考えている仲間がいることがわかるだけでも、おおきな財産になると思います。

 

岩本有司さま(東京都)

・養成講座ご参加の動機

以前から小沢先生のフェイスブックから大変興味があった。また看取りに関わる仕事ですが、いつも後悔や不安、そして悩みが沢山あったから。

・養成講座で得られたこと

反復、沈黙の大切さ、まさに振り返ると形骸化していたコミュニケーションという自分自身の気付き。

・現場で実践していること

反復沈黙は実際の場面で実践しております。こんなにも相手の方が沢山話してくれたり、私自身も腰を据えて話したことがないこと、そしていかに自分自身が推測や主観的観点で考えてきたか、気づかされた。

・受講検討中の方へのおすすめのポイント

私は今までグループワークが苦手で、それが現場に活かせたことがなかったのですが、こんなにも実践に即しており、考えさせるものは今までなかった。今の職場で、「何とかこの講座を受けて欲しい」と思うかたもおりますが、まずは自分自身を振り返る大切さをしっかり感じています。

 

岩本愛さま、ソーシャルワーカー
特定非営利活動法人 なかの里を紡ぐ会 ホームホスピス 里の家(東京都)

 私は特別擁護老人ホームで働き、多くの看取りに立ち会いました。終末期ケアに関わる中で、利用者様やご家族様の苦しみが少しでも和らぎ、穏やかに大切な時間をすごしてもらいたい。そう考えていた時に、この研修を知り受講しました。

 受講中は先生の講義も歌などを交え面白くあっという間に過ぎました。グループワークも多く、講義でインプットした内容を相手に説明しアウトプットすることで、自分の中に落とし込むことができました。

 また、実際にロールプレイをし利用者役を体験し、自分の言葉を反復される利用者様の気持ちを感じることができました。「死にたい…」等のネガティブな気持ちに対し、励まされることなく、そのままの言葉を返してくれることで、「自分の気持ちをわかってくれる、話を聞いてくれる」という安心感を感じました。ネガティブな言葉を反復することに抵抗があった為、これは大きな気づきでした。

 実際に、利用者様の言葉を全反復しながら伺うと、表情が穏やかになるのが分かりました。表情が柔らかくなり、「聞いてくれてありがとう」という言葉を頂くことができました。

 今は、「死にたい」「あの世に行きたい」という言葉を言われてもあまり動揺することなく話を聞く姿勢が持てます。

 

宮本二郎さま、医師
赤羽在宅クリニック(東京都)

 私は緩和ケアを通じて、小さな子から高齢者までの終末期の方と関わることが比較的多い立場にあります。しかし、そのような本人も家族が苦しみを抱えている場面でのコミュニケーションはいつでも難しく、思い通りにならなかった経験は少なくありません。このため、自分のコミュニケーションについてブラッシュアップしたく、この講座に参加させていただきました。

 参加して、「苦しむ人への援助」について、非常に系統的にまとまって、かつ難しい言葉を使うことなく誰にでも分かりやすく、学ぶことができて正直驚きました。また、小澤先生のこの研修会に対する強い気持ちも伝わり、たくさんのエネルギーも頂きました。もちろん多くの新しいことを学ぶことが出来ましたし、今までやっていたことに対してそれで良かったと改めて自信になったことも多くありました。

 印象に残った言葉はたくさんありますが、その中で一つ挙げるとすれば、「現場が教科書、迷ったら本人に聴く」です。考えれば、当たり前のような言葉なのですが、どんなに経験してきても分からないことは新しく出てきます。その時に、実際に本人に真摯に立ち向かい、教えていただくということは、当たり前のようで気づきにくく、実践しようと思っても簡単なようで難しいと思います。

 また、この研修会は参加してそれで終わりというわけではなく、参加者がその後も継続して勉強し、学んだことをしっかり実践していけるように、定期的な勉強会が自発的に開催されていることもとても素晴らしいことだと思います。私も実践したいと思っていながら出来ていない部分もあるので、継続して勉強していきたいと思っています。

 今回の参加者は医師以外の職種の方が多かったのですが、医師もこのような研修会に率先して参加して、エンドオブライフ・ケアをもっと学んでいくべきだと思っています。そうすれば終末期以外だとしても、より良く生きるためのサポートを医師がさらに出来るようになるのではと思います。小澤先生、素晴らしい講座を受講させて頂き、本当にありがとうございました。

 

榊原真由美さま、看護師
訪問看護ステーション きずな(千葉県)

 私が従事している訪問看護の現場では、通院が出来なくなった方、治療効果の低くなった方が訪問診療・訪問看護を受けながら、自宅で最期の時を過ごされるケースが幾つもあります。


 自分の病気を理解され、だったら家で過ごしたいと明確に決めたケースは稀で、皆さんこれからどうなるのだろう、どうしたら良いのだろうと不安を抱えていらっしゃいます。


 時間と共に変わっていく体の機能。心の変化。医学的な知識はあってもなかなか上手く説明できなかったのですが、講座で学んだことはすごくわかりやすくて、訪問看護での場だけでなく、ケアマネージャーさんや学生さんに説明する時にも活用しています。


 まだまだ上手くは出来ませんが、その場から逃げずに向き合っていられる存在でありつづけたいと時折講座の資料を読み返しています。

 

まとめ

東京には毎回様々な地域から参加者が集まりますが、今回も南は大分県、北は北海道から広くご参加をいただきました。東京都では認定ファシリテーターの皆さまにより継続的な地域学習会が企画され、その規模も少しずつ拡大している様子が伝わってきています。

協会としては2日間の講座を提供して終わりではなく、受講した方がさらに理解を深め、実践し、振り返り、自らと周囲を進化させていく、そんなお手伝いができたらと願っております。

次回は、5月18日(土)-19日(日)、札幌開催をレポートいたします。

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