5月18(土)・19日(日)、札幌でエンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座を開催いたしました。当日は55名の皆さまにご参加いただきました(2日間の受講者、eラーニング+2日目集合研修の受講者、ファシリテーター候補者枠の方を含む)。開催にあたり、運営をご支援くださった地域学習会ファシリテーターならびにファシリテーター候補者のみなさまに心より御礼申し上げます。
職種の内訳は、看護師41%、介護支援専門員16%、介護職7%、事務7%、リハビリテーション職5%、保健師4%、訪問診療事務4%、ソーシャルワーカー3%、医師2%、歯科医師2%、その他9%でした。その他の職種ではカウンセラー、支援員、視能訓練士の方々にもご参加いただきました。
地域別では、開催地の北海道内各地からのご参加者がいらっしゃいました。
協会理事であり、横浜で在宅診療を行うめぐみ在宅クリニック院長の小澤 竹俊が、2日間の講師を務めました。
2日間の講座では、以下の要素を学びます。
ただ受け身で聞くのではなく、ロールプレイや事例検討のためのグループワーク、学んだことの振り返りなど、ほとんど休む間もなく、口と手をたくさん動かしていただきました。
終了後、半数近くの方が懇親会にご参加くださいました。
受講後、職場に戻って実践していらっしゃるみなさまの声をお聴きしました。
笹岡彰一さま
療養型病院勤務医(北海道)
長年勤務した急性期病院では手術不能な癌患者、ADLが低下した慢性疾患とか誤嚥性肺炎などが多く、大半は看取りでした。そのうちADLの回復がなくても療養型病院などへの早期転院手配が必要な時代になりました。「患者さんのその後はどうなるのか」という疑問は常にありました。様々な要因が重なり、10年ほど前から療養型病院に勤務し、前病院での治療を断念された患者を担当しています。多くは看取り前提の入院です。そのような状況で、厚労省の人生の最終段階ガイドラインや各学会による終末期医療の提言を知りました。人生の最終段階、終末期において、医療者は緩和ケアの知識・技術のみならず、スピリチュアルな苦痛への対応が要求されると気づきました。
医療倫理やスピリチュアルケアの講義に参加してきて、エンドオブライフ・ケア協会にたどり着きました。実は悪天候でキャンセルした3年前のリベンジ参加でした。その3年間にアドバンス・ケア・プランニング:ACPの話題が多くなるものの、ガイドラインは手続き論が主で、現実場面での対応方法を詳述していません。しかし、そこに援助的コミュニケーションは重要な位置付けになると確信するようになりました。講座はロールプレイが多く、結構ハードです。それでもスピリチュアルな苦痛を持つ患者を理解して援助する基盤になるものと思います。これまでの臨床経験を論理的に整理できるものと思います。
療養型病院には、すでに会話が成立しない患者が多くを占めます。意識障害患者の苦痛を察知すること、家族が抱えるスピリチュアルな問題への対応が今後の課題と自分なりに捉えています。また、ACPに関する病院講演も数回行い、小澤先生のネタも了承もないのに利用させていただきました。歌ネタはウケたけど、選曲が古いとも言われちゃいました(申し訳ありません)。養成講座の経験に立ち返りながら患者や家族の支援ができればと思います。
北海道でも徐々に認定ファシリテーターが増えており、ELC札幌では継続的な学習会も実施されていることが伝わってきています。ご関心のある方はぜひ繋がり、学び続けていかれますように応援しております。
協会としては2日間の講座を提供して終わりではなく、受講した方がさらに理解を深め、実践し、振り返り、自らと周囲を進化させていく、そんなお手伝いができたらと願っております。
次回は、6月1日(土)-2日(日)、札幌開催をレポートいたします。
© End-of-Life Care Association of Japan