第65回「エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座」(大阪)

  • 開催レポート

2019年7月6(土)・7日(日)、大阪でエンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座を開催いたしました。当日は105名の皆さまにご参加いただきました(2日間の受講者、eラーニング+2日目集合研修の受講者、ファシリテーター候補者枠の方を含む)。開催にあたり、運営をご支援くださった地域学習会ファシリテーターならびにファシリテーター候補者のみなさまに心より御礼申し上げます。

参加者

職種の内訳は、看護師61%、介護職10%、医師6%、介護支援専門員5%、ソーシャルワーカー3%、薬剤師3%、事務3%、リハビリテーション職2%、その他7%でした。その他職種にはケアマネジャー、管理栄養士、教育担当、心理職、相談員、大学教員の方々にもご参加いただきました。

地域別では、開催地の大阪府および近県以外に、中国四国地方、山陰地方、遠方では北海道からもご参加者いただきました。

講座の様子

協会理事であり、横浜で在宅診療を行うめぐみ在宅クリニック院長の小澤 竹俊が、2日間の講師を務めました。


2日間の講座では、以下の要素を学びます。

  • 課題背景(2025年問題に備えて)
  • 人生の最終段階に共通する自然経過
  • 苦しむ人への援助と5つの課題
  • 意思決定支援
  • 自宅・介護施設で求められる症状緩和
  • 多職種連携で「援助」を言葉にする(マクロ)
  • 1対1で対応する(ミクロ)

ただ受け身で聞くのではなく、ロールプレイや事例検討のためのグループワーク、学んだことの振り返りなど、ほとんど休む間もなく、口と手をたくさん動かしていただきました。

懇親会

終了後、半数近くの方が懇親会にご参加くださいました。

 

受講者の生の声(後日)

受講後、職場に戻って実践していらっしゃるみなさまの声をお聴きしました。

 

清水一亘さま、医師
医療法人聖授会 緑・在宅クリニック(大阪府)

 在宅医をはじめて5年が過ぎ、年間100名以上の方の在宅看取りに携わっています。身体的苦痛の緩和はしっかりとできているのですが、在宅での看取りにおいてある種の不全感があり参加しました。

 当日は会場内が熱気で溢れていることに驚きました。このような高揚感は普段なかなか感じることはできません。

 2日間を通して、どんなに苦しんでいる人であっても、具体的に学んだことを実践することで、心穏やかに過ごすことができることを学びました。

 今ならよいケアができる気がして、受講直後の夕方にそのまま終末期の患者様の往診へ赴き2日間の講座を実践しました。この人は結果的に心穏やかに最後まで自宅で過ごしていただけたのですが、この経験は私自身の大きな支えになりました。

 受講して4ヶ月、先日幸いにも小澤先生の講演を聴く機会に恵まれましたが、忘れていることがたくさんあることに愕然とし、フォローアップが必要であることを痛感しました。

 クリニックのスタッフへもよい影響が広がり、本日も2名の看護師が受講しています。職種を問わず人生の最終段階の人に接する全ての方に講座の受講をお勧めしたいと思います。ありがとうございました。

 

鈴木朝三さま、薬剤師
一般社団法人 薬剤師あゆみの会(奈良県)

 ・養成講座ご参加の動機
父が肺がんを患い2年間の闘病ののち実家で看取ったのですが、この間の父との関わり方、家族・親族とのやり取り、医療・介護の方々との接し方などにおいて、数多くの悩みや疑問、葛藤を抱え、苦しい日々を送っていました。この苦しみを数多くの患者家族が味わっているのであれば、それは何とかすべきと考え、父が旅立った後、あちこちの勉強会や交流会に参加する中でELCの存在を知り、2017年6月に援助者養成基礎講座を受講しました。その後2年が経ち、復習と再確認を兼ねて再受講に至りました。

・養成講座で得られたこと
援助的コミュニケーションの手法や実践する上でのポイントを掴めたこと、そして私自身の支えとなる数多くの方々と繋がり、ELCの仲間が増えたことが大きな財産です。

・現場で実践していること
私は単に薬剤師としてではなく、認知症サポーターのキャラバン・メイトとして、或いは地域のちょっとお節介なおじさんとして、今は元気だけど近い将来誰かの手を借りる事になるであろうとお考えの方々や、実際にご家族のお世話をされている方々のお話しをお伺いしながら、必要に応じて専門職に繋げる活動をしており、その中で養成講座での学びを活かしています。必ずしもうまくいく場面ばかりではありませんが、お話しをお伺いするにつれて「そうなんです」という言葉と共に表情がほころんでいき、やがて「ありがとう」と仰っていただける。穏やかな雰囲気が伝染していくのを実感しています。

・受講検討中の方へのおすすめのポイント
現在、私の妻は乳がんと闘っています。また、一緒に暮らす義母は介護を必要としています。そんな家庭においても明るく、穏やかに過ごすことが出来ているのは、養成講座での学びがあったからかもしれません。ご本人を、ご家族を、そして自分自身を支えていく為のヒントを把握できる機会となるのではないでしょうか?

 

皆川美穂さま、訪問看護師
訪問看護ステーションわたぼうし(兵庫県)

・養成講座ご参加の動機
2015年に初めて受講し、今回は2度目の受講をさせていただきました。初めて受講したときに『その人の支えを強めること』は限られた人だけでなく、どの職種の方であってもできるということに気付き、感激しました。今回は再受講することで『その人の支えを強める』ための実践について、再度学びなおしたいと思ったことと、地域の多職種の方々にもこの考えを伝えていきたいと思い、同じ職場や地域でチームを組んでいる多職種の皆さんとともに参加させていただきました。

・養成講座で得られたこと
『その人の支えを強める』ための実践について、具体的に考えることができました。またこの養成講座で出会えた仲間とのつながりという、自分自身の支えを得ることができたのが、大きな喜びです。

・現場で実践していること
訪問看護中の会話の中で、『その人の支え』を聞くことを意識して行っています。この方はどのような人生を生きてこられて、どのようなことや考えを大切にしておられるのかをうかがうように心がけています。そしてその中から、最期までその人らしく生きるための援助が見出せたらいいなと思い実践しています。また相手にとって『わかってくれる人』になれるように、丁寧にお話を聞くことを心がけています。

・受講検討中の方へのおすすめのポイント
2日間の受講で人生が変わるかもしれません!ぜひとも多くの方に聞いていただきたいと思います!そして人生の最終段階を地域で支える仲間がもっと増えたらいいなと思っています。

 

まとめ

近畿には継続学習の場として、ELC近畿研究会があり、その他にもいくつかの学習会が定期的に開催されています。ご関心のある方はぜひ繋がり、学び続けていかれますように応援しております。

協会としては2日間の講座を提供して終わりではなく、受講した方がさらに理解を深め、実践し、振り返り、自らと周囲を進化させていく、そんなお手伝いができたらと願っております。

次回は、7月27日(土)-28日(日)、名古屋開催をレポートいたします。

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