第68回「エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座」(仙台)

  • 開催レポート

2019年9月7(土)・8日(日)、仙台でエンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座を開催いたしました。当日は32名の皆さまにご参加いただきました(2日間の受講者、eラーニング+2日目集合研修の受講者、ファシリテーター候補者枠の方を含む)。開催にあたり、運営をご支援くださった地域学習会ファシリテーターならびにファシリテーター候補者のみなさまに心より御礼申し上げます。

講座の様子

協会理事であり、横浜で在宅診療を行うめぐみ在宅クリニック院長の小澤 竹俊が、2日間の講師を務めました。


2日間の講座では、以下の要素を学びます。

  • 課題背景(2025年問題に備えて)
  • 人生の最終段階に共通する自然経過
  • 苦しむ人への援助と5つの課題
  • 意思決定支援
  • 自宅・介護施設で求められる症状緩和
  • 多職種連携で「援助」を言葉にする(マクロ)
  • 1対1で対応する(ミクロ)

ただ受け身で聞くのではなく、ロールプレイや事例検討のためのグループワーク、学んだことの振り返りなど、ほとんど休む間もなく、口と手をたくさん動かしていただきました。

懇親会

終了後、半数近くの方が懇親会にご参加くださいました。

受講者の生の声(後日)

受講後、職場に戻って実践していらっしゃるみなさまの声をお聴きしました。

 

守口尚さま、医師
医療法人 希実会 守口医院(岩手県)

・養成講座ご参加の動機
 2年前、自身の父を膵癌で看取りました。医師であるという立場と、息子であるという立場で苦しみました。予後のこと、今後起こりうることも伝えることができませんでした。本当に息子である私が父の最期を看取ってよかったのだろうか?私は苦しみました。

 1年前、師匠である京都の早川一光先生が自宅で生き抜かれました。亡くなる4か月前、先生は病床で私に「わしのしょんべんを取ってくれ。」と言いました。どうしていいかわからない私の代わりにヘルパーさんが尿器を当てました。「わしのしょんべんを守口センセがとってくれてはる。」先生は私が尿器を当てていると思っていました。それが師匠との最期でした。あの時「私にやらせてください。」と言えていたなら…。ずっと後悔していました。

 今年の在宅医療学会で小沢先生のご講演を拝聴しました。真の援助者とは?今まで私は援助者になり得ていたのだろうか?その思いから参加しました。

・養成講座で得られたこと
 父は亡くなる数か月前、生まれ故郷で先祖への墓参りをし、最後に兄弟たちに会いたいという希望を持ちました。その時の父は穏やかな笑顔で、兄弟たちも楽しそうでした。早川先生は「真の医療は住民のくらしの中にある。」と教えて下さいました。先生は自分のしょんべんを通して、「くらしの医療を続けてくれ」と私にゆだねたのでしょう。希望、夢、ゆだねる事ができると穏やかでいられること、受講したことで再確認できました。そして私には二人の大きな「支え」があることを確信しました。

・現場で実践していること
 受講直後、ある方の最期を迎えました。「○○さんの意識がはっきりしていたら、皆さんになんて声をかけるでしょう?」と尋ねました。薄れゆく意識の中で、「ありがとう」とご本人が言いました。すべての人が穏やかでした。

・受講検討中の方へのおすすめのポイント
 苦しみを理解するには職種は関係ありません。職種を超えて苦しみを理解することが真の多職種連携だと思います。それが真のONE TEAMです。

 

まとめ

仙台開催は、今年2月に行われた第58回に続いて8回目の開催でした。東北でもELC福島、ELCきたかみ、ELCひとめぼれ、ELC会津(設立準備会)が発足し、地域学習会が開催されています。今後も継続的な学習機会が広がっていくことを期待しています。

協会としては2日間の講座を提供して終わりではなく、受講した方がさらに理解を深め、実践し、振り返り、自らと周囲を進化させていく、そんなお手伝いができたらと願っております。

次回は、9月28日(土)-29日(日)、東京開催をレポートいたします。

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