【講座】オンライン開催「第78回 エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座」(8/29-30)

  • 開催レポート

2020年8月29日(土)・30日(日)に、エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座をオンラインで開催いたしました。

主催する公開講座としては通算78回目、各地の職能団体等が主催となるインハウス研修を含めると、96回目の開催となります。

今回は、はじめてご参加の方や、今後ファシリテーターとなって学習会を開催していきたい再受講の方など含めて、40名の方にご参加いただきました。

講座の構成

 主に知識部分については開催日までに動画を視聴いただき、当日は演習を中心にWeb会議室「Zoom」で学んでいただけるようになっています。

 動画とオンラインを通して、以下の要素を学びます。

・課題背景(2025年問題に備えて)

  1. ・人生の最終段階に共通する自然経過
  2. ・苦しむ人への援助と5つの課題
  3. ・意思決定支援
  4. ・自宅・介護施設で求められる症状緩和
  5. ・多職種連携で「援助」を言葉にする(マクロ)
  6. ・1対1で対応する(ミクロ)

 ロールプレイや事例検討のためのグループワークなど、小グループにわかれて、ファシリテーターとともに、じっくりと学んでいただきました。

受講者の生の声(開催直後)

・重くてしんどくなってしまいそうなテーマなのに、暖かい雰囲気が画面からも伝わってきて、マイナス面からだけでない、支えになることの彩りを見た気がしました。

・「わかってくれる人」に私もなれる可能性があり、こんなにもたくさんの「わかってくれる人」になりたい、「ききたい」人がいるのだと思った。

・人生の最終段階以外でも様々な場面で応用が可能である

・数年前から受けたかった講座でしたzoomでしたが受けられて良かったです

・このようなコミュニティが支え合いになっているということも学んだ

・(グループのファシリテーターは)温かくどんな発言も受け止めてくれ安心して受講することができました。

・近くで会っていないのに、リモートなのに別れが惜しまれました。また会おう。本物で会おうを合言葉に支えあっていきたいです。

・自分だけでなく一緒に参加された方も回を重ねるごとに成長できていった気がします。

・職種を超えて多職種で関わることの大切さも明日からの診療に活かせると思います。
 

受講者の生の声(後日)

受講後、職場に戻って実践していらっしゃるみなさまの声をお聴きしました。

本田みや子さま、看護師
独立行政法人 中部ろうさい病院(愛知県)

 子供が中学校不登校で、卒業後の進路を親として悩んでいたところ、息子が自分で調べた通信高校のパンフレットを持ってきました。通信高校のシステムが分からない中、「本人が選んだ道」に進めるよう手続きをし、卒業するまでの3年間もいろいろな困難ありましたが、先生方のおかげで無事に高校を卒業できました。その恩返しがしたく、翌年から一次救命処置の講義を始めました。その際、救命処置も大切だが、命の大切さを伝えたいなあと思っていました。

 そんな中、協会の方が行っていたACP市民講座に参加させていただくご縁があり、私も知識・資格を取得し、市民や高校で同じように講座を開催したいと強く思いました。自施設で4年前からACPについての研修を企画運営していましたが、医師や看護師にACPが普及しておらず、どのような研修を企画したらよいか悩んでいました。ACPに関連した研修に参加をする中で、この協会と活動内容を知りました。

 研修を終えた後、重症心不全で超認知症の高齢の女性に朝「何か気がかりなことはありますか」と尋ねると、「お風呂」と言われました。数日尿が全く出ておらず、大変厳しい状況でした。「お風呂にはいりたいの」と尋ねると「そう」と言われました。「体の状況が悪いので、しんどくなったり、死んじゃうかもしれないよ」というと、少し考えられている様子でした。しばしの沈黙の後「お風呂」と言われ、それを聞いていたスタッフはすぐにお風呂に入れてくれました。入浴後「しんどくない」と尋ねると「ああ、気持ちよかった」とご満悦でした。夕方息子さんにお伝えすると、嬉しそうに「3度の飯より風呂が好きなんです」と言われました。この「何か気がかりなことはないですか」は今まであまり使っていませんでしたが、今は意図的に使うようにしています。すると、患者さんは、「実はね・・・」といつもはあまり話されない方が返答していただける率が高く、そこから話を深めていくうちに、重要なキーワードにたどり着くことを何度も経験しています。この研修で魔法の言葉に出会いました。

 今までは日程調整が難しく、やっと調整できたのにリモート研修となりましたが、逆にリモートだから、受けられる方もいらっしゃると思います。エンドオブライフの患者だけでなく、病気を抱えている人やその家族、すべての方に活用できる内容であり、また医療従事者ではない方々がたくさん参加されており、その方々の意見を聴けることは視野が広がる事につながり、他の研修では経験できないと感じています。

藤田敦子さま、NPO法人代表
NPO法人千葉・在宅ケア市民ネットワークピュア(千葉県)

誰もが、相手の支えをキャッチして強める人になれる、そんな地域を創りたい
 がん末期の家族を看取った後、「自分らしく最後まで生きたい、暮らしたい」を掲げ、2001年から千葉大学を拠点に活動を開始し、2010年に船橋がんサロンを作り、また2013年から船橋在宅医療ひまわりネットワークの構成団体としても動いています。

 最近、痛みを訴えるがん患者に他院受診を勧める事例に出会い、苦しみに寄り添わず、治療だけを優先する、見捨てられた、がん対策基本法以前の患者像に戻っている事を痛感しました。また家族が認知症や障害者になり、仕事で病院や施設に訪問させて頂く事もあり、介護・福祉職には、死を前にした人への苦手意識がある事を感じていました。

 そんな時に、以前から受講したかったエンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座が、オンライン受講できる事を知り参加しました。Zoom初心者で不安がありましたが、丁寧に教えて頂き、講義を聴くだけでなく、5人の小グループに分かれてのグループワークも経験でき、語り合い聞き合う時間の長さから、実際に会っている感覚になりました。また看取りに関わった方のお話ができ、私自身の悲嘆ケアにもなり、そして「自らの支え」を再確認できました。感謝です!

 受講後に、アドバイスを重ねても進まなかった、離れて暮らす親御さんの相談が、「そうなんです!」の一言後に、怒涛の如く好転して感激しました。相談者の本当の苦しみに手が届いたのでしょう。「反転」「沈黙」「問いかけ」は実際に何度も実践しないと身につきません。地域勉強会にも参加をし、もっと深めたいです。そして、医療職以外の人にも学びの一歩を踏み出し、感激を味わってほしいです。

 誰もが、相手の支えをキャッチして強める人になれる、そんな地域を創りたいです。ELCの皆様にも力を貸して頂き、ピュアは再始動します。よろしくお願いします!

 


今後の研修・イベント開催予定

○エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座
※初回受講の方は、事前にeラーニングの受講が必要となります。
1)休日昼2回コース(講師:小澤 竹俊)
2020年11月14日(土)15日(日)13:00-17:30
https://endoflifecare.or.jp/programs/show/8834

2)平日夜4回コース(講師:久保田 千代美)
2020年11月5・12・19・26日(木)19:30-22:00
https://endoflifecare.or.jp/programs/show/8835
https://youtu.be/luhc7FUN2_U (講師からのご案内)

○エンドオブライフ・ケアを通して折れない心を学ぶ学生の集い#2
11月9日(月)19:00~20:00
https://elcgauksei2.peatix.com/

○新型コロナ・ショックに備えて最強のチームを作ろう
~Vol.8 ディグニティセラピー 
2020年11月17日(火)18:30~20:30
https://4cteams-8.peatix.com/

○折れない心を育てる いのちの授業
~Vol.3 0才も100才も みんなでつなぐいのち
2020年11月29(日)10:00~12:00
https://okproject3.peatix.com/
 

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