【講座】オンライン開催「第82回 エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座」(11/14-15)追記

  • 開催レポート

2020年11月14日(土)・15日(日)、通算100回目となる「エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座」をオンラインで開催いたしました。

受講者の生の声(開催直後)

・大切なことを繰り返し説明していただきじっくり考えることができました。そして、この実践が何につながるのか最終ゴールの夢に向かっていることも説明していただき繋がりもわかりやすかったです。


・経験を積めば積むほど 謙虚さを失いがちな自分に気づきました。そして逆に、今までの自分の中で大切にしてきた 思いも 間違いでは無かったと確信も出来ました。このような 反省と共に自己肯定も出来ることができる場を定期的継続的に得たいと思いました。


・今まで遠方で参加が大変でした。Zoomだと、全国と繋がることも出来、とてもいい経験をさせて頂きました。


・学生さんをお預かりすることが時々ありますので、現場に出る前に研修出来たら、実際に患者さんを目の前にした時に 落ち着いた対応が出来るのではないかとイメージしました。


・対面が良いと思っていましたが、同じ志のある方々とならズームでも共感が可能なのだと知りました。研修は、ズームの方が良いのかもしれません。


・ファシリテーターの方の存在は、大きかったです。いろいろな意見が出たことに対し、どの意見にも丁寧に答えてくださり、チームをまとめるとは、こういうことか!と感動しました。

 

 

受講者の生の声(後日)

受講後、職場に戻って実践していらっしゃるみなさまの声をお聴きしました。

 

金子悦子さま、音楽療法士
済生会宇都宮病院(栃木県)

「あなたでよかった」と思ってもらえる「私」に・・・

 2015年に始まった2日間の『エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座』100回目の研修に参加させていただきました。緩和ケア病棟のベッドサイドで音楽療法をしている療法士です。患者さんとの会話の中から、患者さんの『人生で支えとなった1曲』をキャッチし、その音楽を一緒に味わいます。「私(療法士)」が演奏したい音楽を聴いていただくのではなく、「相手(患者)」が聴きたい音楽を使う(奏でる)ということが、音楽を選曲する上での大きな違いです。

 コミュニケーションの手段として【音・音楽】を使って患者さんと関わる中で、わかってくれる人になるための聴き方「反復」「沈黙」「問いかけ」を自分は【音・音楽】を使ってやっている! そう思ったのが受講のきっかけでした。

 出逢ったばかりの患者さんに、医療者でない自分が出来ることがあるとしたら、話して下さるお話を聴かせていただき、受けとめること。言葉を使ったコミュニケーションが難しくなっている患者さん、患者さんのご家族・ご友人、旅立たれてからの対面など、出会いの場面・物語は出逢った人の数だけあります。患者さんは音楽療法との出合いの中で、音楽が自分の生きてきた人生(物語)を支えてくれていることに気づき、療法士である私は、音楽を通して患者さんの人生を経験させていただいています。

 音楽療法士としての私は、これまで自分の感覚と感性で患者さんと向き合ってきましたが、研修を通して文字化された学びを体験する機会を得ることが出来ました。今はZoom研修での小澤竹俊先生のお言葉や、事前学習のeラーニング、ロールプレイでの振り返りなどの場面が思い浮かび、頭で一生懸命に考えています。今後、学びを深めていく中で『エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座』の学びが、自分の頭からこころに沁み込んで来たときに、今よりは少し「わかってくれる人」に近づけているかもしれません。

「あなたでよかった」と思ってもらえる音楽療法士に私はなりたい。これは私の永遠のテーマです。

 

関口圭子さま、看護師
静岡がんセンター(静岡県)

 子供と共に2週間毎に町の図書館に行くのが習慣となっている我が家ですが、その際に偶然目に止まり借りてきたのが小澤先生の「折れない心を育てる いのちの授業」。読み進めるにつれ、心からの感銘と「これだ!」という直感を感じました。

 eラーニングで養成講座を受けながら苦しみとは何か、それでも穏やかさを取り戻すことができる可能性について、看護師として母として、仕事でも私生活でも考える日々が続きました。

 そして、オンライン授業ではロールプレイやグループワークを通して、話を聞いてもらう側の気持ちにも学びを深めたり、多職種で関わることで患者さんの支えを色々な方面から強められることを実感しました。さらに全国に、こんなにも熱く命を考える仲間がいるのか、という感動と沢山の素晴らしい方々との出逢いを得ることができました。

 また、看護師一年目の時から、自分の看護観や患者さんとの想い出、辛かったことなど事あるごとに記してきた日記を今回の受講後に改めて読み返しました。

 すると、仕事が一人前に出来なかったけれど とにかく一生懸命患者さんの話を聴きたいと思っていた新人のころの自分がそこには居て、今、看護師の仕事はできることが増えたが故に、自分の聞きたいことだけを聞いていたのではないか?改めて自分に問い直すことになりました。「人は理解したと思った途端聴かなくなる」という余りにも耳の痛い小澤先生からの警鐘が心に響き、謙虚さを忘れがちな自分を反省しました。

 でも、「苦しみを抱えた患者さんから逃げないで側にいる覚悟を持って関わりたい」「『たとえ辛くても生きていてよかった』と思ってもらえるような関わりをしたい亅という自分の思いは、間違っていなかったという確信も得られました。

 受講後は、患者さんの苦しみをキャッチできているのか、「聴いてくれる人」となれているのか、自問自答しながら日々患者さんに関わっています。まだまだ未熟さを痛感するばかりですが、自分のライフワークとして このテーマを考え続けていきたいと思います。

 そして、自らの支えにも沢山気づくこともでき また、この学びそのものが私の新たな支えとなっている事を感じています。

 

森由美子さま、看護師
宍戸内科医院(千葉県)

 私は、看護師としての経験年数はありますが、仕事に対して自信が持てずにきました。ましてや、死に向かう人との会話は、避けて通ってきたように思います。答えることが出来ないことに罪悪感を覚え、何か伝えなければといつも考えていました。そんな考えに対し、何か前に進めることが出来ないかという思いで、今回の受講に至りました。

 受講してみて学んだことは、沈黙という手法で、私の一番苦手な行動でした。沈黙をしていることで、何もしていないのではないかと自分自身が不安になっていました。しかし、小澤先生の講義から、「患者さんが自分から話しだすことを待つ」ということを学びました。また、ロールプレイをすることで、待たれることが苦痛ではなく、いろいろな思いを巡らせることに、大切な時間であることを実感しました。さらに、「全ての苦しみをゼロにすることは、できないことを知り、たとえ力になれなくても関わり続けることが大切である」という言葉を聞いた時に、心が楽になりました。

 講義の後、少し自信のついた私は、現場で死に向かう人に対し、反復、沈黙、問いかけを自分の心を穏やかに向き合うことができました。しかし、その患者さんが、笑顔になれないと、まだ自分が何か足りないのかと不安になりました。「全てのことが解決できるわけではない」と理解しているつもりですが、なかなか思うように心が落ち着きませんでした。また、笑顔で「このままで大丈夫」と答える患者さんの言葉をうのみにして、対応していたら、実は家族に対して遠慮していたことが分かり、自分の力の無さを猛省しました。

 全体を見渡し、これで良いという思い込みをせず行動することの大切さを、講義とロールプレイを通して学ぶことが出来ましたが、まだまだ、自信のない自分です。しかし、同じ思いで学ぼうとしている人たちがいることで、励ましになりました。

 これからも、死に向かう人から逃げずに、関わっていきたいと思います。

 

長島美雪さま
看護専門学校教員(静岡県)

 看護師としての病院勤務や看護専門学校で在宅看護論を教えていく中で、病院で、抗えない死を前にして苦悩をする方々と出会いました。殆どの方が入院する時代に在宅で看取りをする小澤竹俊先生の活動をテレビで拝見し、在宅での看取りの実現に向けて私にも何かできることはないのか、と思いながら過ごしていました。そんな中、ELCの活動に出会い、第4回シンポジウムに参加しました。その際にゲストとして登壇されていた本間正人先生が「一度、援助者養成基礎講座を受けてみてください。とてもいいですよ。」と仰り、その言葉に背中を押され、現場体験の少ない私はドキドキしながら講座を受講しました。

 講座では、苦しみや人への支えについて学び、実際にロールプレイをしました。頭で考えていただけの時とは異なり、話し手役の時に反復や沈黙によって聴いてもらっている感覚を得られたのと、聴き手役で問いかけの難しさを学びました。

 私の職場には、看護師を目指す学生達がいます。学習科目に、臨地で患者さんに援助を行う臨地実習がありますが、患者さんは十人十色であり、効果的な援助という結果はなかなか得られません。一生懸命考えても結果が得られず、希望と現実のギャップに悩む学生もいます。私は教員なので、方向性を示さないとならないと思いがちでしたが、受講後、話がしたいという学生に対して相手の言葉を変えない反復と沈黙を心掛けて聴くようにしました。すると、学生自身が出来なかったこと、指導されて分かったこと、でも納得できないことなど、学生からの話が増えたように思います。分かってくれる人が居て、自分自身を客観的に振り返られたら、また、困難に向かって前進できるように思えました。折れない心が育った学生が、解決できない苦しみを持つ人に出会っても、向かい合って手を差し伸べられるような関わりが広がっていくことを願っています。

 援助者養成基礎講座に参加すると、仲間との出会いがありパワーをもらえます。未熟な私は、これからも「これでよい」に向けた「問いかけ」が実践できるよう学び続けたいです。志を共にする方々、お会いできるのを楽しみにしています。

 

設楽友香さま、心理職
したらカウンセリングサービス(千葉県)

 私は、スクールカウンセラーをしています。子どもたちのなかには、なかなか言葉にできない、苦しみを持っている人もいます。リストカット、自殺企図、オーバードーズ(薬を大量に飲む)、ゲーム依存、引きこもり、不登校等、それぞれの苦しみが滲み出る事に日々触れています。

 苦しみを持っている人に対して、私は無力です。けれども、そんな私に何かできることはないかと探している時に、小澤先生の著書『折れない心を育てる いのちの授業』に出会いました。

 援助者養成講座受講後のいま、沈黙の大切さを改めて感じています。ありのままの自分で、ありのままの相手を受け止める時、多くの言葉は必要ありません。むしろ二人の間に流れる、沈黙の時間こそ、豊かな時間なのだと気がつきました。

 「いのちの授業講師トレーニング」も受講させていただきました。これからも、子どもたちや保護者のみなさんと一緒に、生きていきたいと思います。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


新型コロナウイルスの影響が長期化するなか、病で苦しむ人や、支える医療・介護の専門職だけではなく、その家族や、仕事に影響が生じている人たちなど、様々な人が解決困難な苦しみを抱えている状況において、私たち一人ひとりに何ができるかを、みなさまと引き続き考え、実践していきたいと思います。

           


●今後の研修・イベント開催予定
○折れない心を育てる いのちの授業
Vol.5 新型コロナ版(タイトル仮)
2021年1月11(日)10:00~12:00
https://okproject5.peatix.com/

○エンドオブライフ・ケアを通して折れない心を学ぶ学生の集い#3
1月13日(月)19:00~20:00
https://elcgauksei3.peatix.com/

○新型コロナ・ショックに備えて最強のチームを作ろう
2021年1月19日(火)18:30~20:30
https://4cteams-10.peatix.com/

○エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座
※初回受講の方は、事前にeラーニングの受講が必要となります。
1)休日昼2回コース(講師:小澤 竹俊)
2021年1月16日(土)17日(日)13:00-17:30
https://endoflifecare.or.jp/programs/show/8829

2)平日夜4回コース(講師:久保田 千代美)
2021年1月20・27・2月3日・10日
https://endoflifecare.or.jp/programs/show/8836

○地域学習会
(認定ファシリテーターによる各地域での学習会)
https://endoflifecare.or.jp/study-groups/

○その他オンラインでの学習機会
https://endoflifecare.or.jp/posts/show/8832

お知らせ一覧へ戻る

TOP