【授業】折れない心を育てるいのちの授業:大阪市10校での実施を終えて

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2021.03.31

 2021年の年明けに、大阪市教育委員会と連携させていただき、市内の小学校9校・27クラス、ならびに高校1校・1クラス(教職員研修)から、「折れない心を育てる いのちの授業」の実施依頼をいただきました。関西を中心とした全国の「折れない心を育てるいのちの授業」認定講師10名と連携し、897名の児童ならびに教職員のみなさまへお届けすることができました。

 長期化するコロナ禍で、苦しみを抱える児童の存在や、誠実に対応する先生方のご尽力についても、限られた時間のなかで伺う機会となりました。この先も続くと予想される、様々な行動の制約、子どもたちの心身への影響、先生方へのご負担等、少しでも緩和され、これからの活動のヒントとなればと願い、来年度も依頼に基づき授業に伺いたく考えております。


1. 対象校 

 今年度ご依頼をいただいたのは、小学校9校・27クラス(うち1校は教職員研修)、高校1校・1クラス(教職員研修)でした。学年別にみると、4年生が4クラス、5年生が13クラス、6年生が9クラス、その他教職員研修2クラスでした。

 2校・8クラスはオンラインでの実施、他はすべて現地に伺い、対面で授業を実施いたしました。

2. 小学生向け授業の概要

●担当講師:「折れない心を育てる いのちの授業」認定講師のうち、主に関西在住の講師

  • ●時間:45分×2時間
  • ●形式:当日はPPTスライドと映像をもとに進行、児童は手元のワークシートに記入
  •     実施前後に、児童は自尊感情等に関わる独自の自己評価シートに記入
  • ●構成:レッスン1 苦しみから支えに気づく
        レッスン2 苦しむ人を前に私にできること
        レッスン3 自分を認め大切にする

3. 小学生の感想

●自分が苦しみ(希望と現実の開き)を抱えていることに気づいた

・この授業を受けて、自分がめちゃめちゃ苦しんでいることが分かりました。(中略)「レッスン2」の①で自分が書いた事を、心の中にしまっておき、苦しい時があったら、その言葉を、苦しみがなくなるまで言い続けます。
・「自分はいなくなってもいい」と思うことは多くあったけど、これから、くじけずに前をむいて生きていこうと思った。
・今回の学習で思ったことは、自分にすなおになろうと思いました。自分がかなりひねくれてて、ほめてくれても言葉では「うれしい~」「ありがとう!」と言ってますが、内心は、どうせお世辞・・・とか思ってて。こんなこと考えてる自分がすごくきらいで、いつもなやんでいたんですけど、今回の学習で本当に救われましたありがとうございます。

●助けを求めてよいかわからなかったが、これからは誰かに相談しようと思う

・ぼくはこまったとき先生にそうだんします そうだんするときもちがスッキリする。きょうぼくはともだちもそうだんしたらささえになることをまなびました。これからは先生だけじゃなくともだちともそうだんしあいたいです。
・自分でどうしたらいいんだろうとか、なやんだり、そっとしておいたほうがいいのかな?とか不安もあったけど、これからは、はんぷくして声をかけて、あげたらいいということもわかったし、まよったり、つらくなったり、苦しくなったら外(自然)をながめてみたり、先生に話したり、お家の人に言ってもいいということも、わかりました。そっと声をかけると、気もちもよくなる。そういう気もちなんだと分かった気がした。自分も、分からないことがあってなやみを、きいてくれる人をたよってもいいのかなっと思ったけど、それが本当のやさしさなんだ。て思いました。
・苦しみなんてないと思っていたけれど、苦しみは、みじかな所にあった。友達が苦しんでいる時、助けたいと思ったけど、どう助ければわからなかったので、勉強になった。(中略)Nanaさんのだれにもめいわくをかけたくないという気持ちに、共感した。でも、Nanaさんの詩の「一人でがんばらないで声に出して仲間をよぼう」と書いてくれていて、「これからは、みんなにたよろう」と思わせてくれた。「たよってもいい」と気づかされた。よく振り返ると、自分には、わかってくれる人、支えてくれる人がたくさんいるんだと思った。自分のことをわかってくれると、わかってくれる人がいる。だからいつでも相だんできると思い、安心する。
・私のことを心配してくれる友達がいて、「相談にものるよ!」と授業がおわった後いってくれてとてもうれしかった。なやみがあったら、だれかに相談して、1人でかかえこまないようにしようと思いました。

●過去に苦しかった時に支えがあったことに気づいた

・今日の授業の動画で、聴いてくれるってゆうその行動が、友達や家族がしてくれていたな。とふりかえってみるとしてくれていたからです。自分一人じゃなく、支えてくれる友達、家族がいるんだと今日のいのちの授業で分かりました。
・自分も不登校だったので不登校の時を思い出しました。自分にとってはほけん室が教室のようでべんきょうをほけんの先生に教えてもらっていました。行くのがつらく「うまれてこなきゃよかった」と思ったことがありました。だけど命のじゅ業で命の大切がわかりました。今の自分の目ひょうは三学期1度も休まないことです。
・私はお父さんとお母さんがけんかしているところを見ると苦しくなるけど仲直りして笑っているところを見るとすごく安心するから家族や友達にはいつも笑っていてほしいと思った。

●今度は誰かの支えになりたいと思う

・自分も純也くんのように、心をとざして自分自身に抱え込んでいた時があったので、もし自分と同じような人を見つけたら、反復を使って、自分が救われたように、救ってあげたいと思いました。
・ぼくは、いま心が折れている人がたくさんいると思う、なのでぼくが心が苦しんでいる人に立あってあげたいと思った あとぼくも今けいけんしていることがたくさんあったので苦しんでいる人の支えになりたい
・いのちのじゅぎょうをうけて、なんだかじわーて感じました。これからは、自分の命だけでなく、人の命も守れるような人になりたいです。心が私にもこわれるくらいな大きなこうかいがありました。私がおさない時、おじいちゃんが亡くなってしまい、助けてあげたかった。もっと生きててほしかった。びょうきなおしてあげたかった、などの大きなこうかいがあります。だけどこの命のじゅぎょうをうけて、「いつまでも下をむいていては、いけないな」と思いました。大事なことにきずかせてくれてありがとうございました。
・今苦しんでいる人の話を聴いてあげたいです。私も入院したことがあるので、苦しい気持ちもわかる半分、支えてもらう気持ちもわかります。(家族がいっしょにいてくれたり、友だちが病院が遠いのでみんなで手紙を書いてくれたりとてもうれしい気持ちでした。)
・ぼくも苦しんでいることがある、でも苦しんでいるのは、自分だけではないということをしれて、心がおちついた。相手の言いたい事をキャッチすることは、できていたけど、そのあとの、言葉にすることがむずかしかったので、話が全然つづかなかった。けど今日、自分のことを分かってくれたと思うことばをかければいい、ということを学んだ。
・私は、6年生になって今まで仲良しだった友達と、大きなケンカをしました。そんなとき、支えになってくれたり、悲しいとき、話を聞いてくれたのは『友達』でした。そのおかげで気持ちが楽になりました。だから、そのケンカのなかで私以外のつらくなった友達の話も、できるかぎり、たくさん聞いたし、『支え』になりたいと思いました。自分1人では、解決できないことでも、みんなで分け合うことで少しずつ気が楽になります!だから、1人でつらい気持ちをがまんしている人がいるのであれば、気付いてあげられる、人の『支え』になれる人になりたいです。
・自分が悩んだときに心の支えとなっているのは自然です。だからこれからも、自然を心の支えにしてがんばっていこうと思います。また、悩んでいる友達がいたら、私を心の支えにしてもらえるぐらい、友達が安心できるような悩みを聞く存在になりたいです。

●私にできることがある

・心に残ったことは、「苦しみがあっても支えがあればおだやかになれる」ということです。なぜなら、前に苦しくなったことがあって、どうしたらおだやかになれるかなやんでいたけど、今日の授業で、おだやかになる方法がわかったから。
・見せてもらった動がは、例えばの話ですが、反ぷくするだけであんなに変わるとは思っていませんでした。家に帰って、母に話したら、母もお年よりのかいごのときに使うことがあるそうです。本当に効果があるんだって分かってびっくりしたし、ちょっとの工夫でいいから、おぼえてて、使ってみるきかいがあったら、やってみたいなと思いました。
・これから私は最近学校を休んでいる~さんについてできることをもっともっと深く考えてあげたいです。(中略)LINEでも普通に話してくれているので(少しは心の支えになれたのかな)と思い安心しました。でも~さんはまだ学校に来てくれていないのでさそうだけでなくもっと「~さんのためにできる事」について考え、行動したいと思いました。(※「~」は名前のため伏字)

4.教職員の感想

・子どもたちの感情を自分でコントロールするための教材として使えるのではないかと思った。「相手の言いたいこと」をキャッチするのが苦手な子どもが多いので、キャッチする方法の一つとしてよいと感じた。
・レッスン2は、心にグサグサと刺さる内容でした。私の母も私が登校できなかったときにこんな声かけをしてくれたら・・・と考えずにはいれませんでした。また、私と同じように「苦しくなる」子が出ないよう声かけに気を付けようと思いました。特に、反復は、明日から使える技だと思ったので、どんどん使っていきたいです。
・日々の忙しさで、学級の子どもたちの話をすぐに原因や理由をたずねてしまいますが、本日の“反復”という方法で、子どもたちの話を聴くことが大切だと知りました。つい、わかろう、わかろうとあれこれ話してしまいますが、反復を繰り返す中で「わかる」こともあると感じました。
・「解決できない苦しみ」に対して、かける適切な言葉があるということが、心に残りました。苦しんでいる人を前にして、心に思うことや願いは一つでも苦しんでいる人にかける言葉を間違えてしまうと、より苦しませてしまうことがあることに、気づかされました。
・児童にとって大事だと思いましたが、お話をきいて、保護者の方にきいてもらうことも新しい気づきが生まれるキッカケになると思いました。
・子どもたちが「『先生はあんたの気持ちがわかる』と言ってもわかってないやん!」と思う理由が、こっちの受け答えにあると気づかせていただきました。パワーポイントやドラマを見て、ず~っと頭の中に浮かぶ子どもがいたので、子どもに対する関わり方を考えていこうと思いました。
・他者を変えるには、まず自己の変革からだと思います。自己の成長のために時間と労力をおしまず、子どものために学びつづける自分でありたいと、改めて思いました。

5. 授業前・後で見えた自尊心スケールと「支え」の関係

  児童には、授業前後に自尊心に関わるセルフチェックと、授業後にアンケートを記述していただき、スケール(10項目)についての記述統計、推測統計からの分析、そして、「あなたの支え」ならびに「誰に授業を聞いてほしいか」として回答された用語の計量テキスト分析を行いました。

 授業後の自尊心スケール合計が高い群は、「友達」「家族」を自分の【支え】と回答し、この授業を「苦しんでいる人」に聞いてほしいと回答する傾向がありました。授業後の自尊心スケール合計が低い群は、「自然」「ペット」を自分の【支え】とする回答が見られ、この授業を「家族、友人等身近な人」に聞いてほしいと回答する傾向が見られました。また5年生がややこれに当てはまる傾向でありました。

 「家族、友人など身近な人」に授業を聞いてほしいと思う気持ちは、授業が自分の心に響くなどポジティブな印象であるために、身近な人と同じ気持ちを共有したいという希望の現れかもしれませんが、一方で、普段の生活で自分を分かってくれていないと感じることが多いために授業を聞いて考えてほしい、という意味に取ることもできます。

 今回はいわゆる学術的「研究」に必要とされる手続きをとっていないため、実態を反映した結果が十分に得られたものではありませんが、今後実施対象を検討する上で、一つの参考材料となればと考えております。

6. まとめ

 コロナ禍で学習時間や活動に様々な制限があるなか、このようなときだからこそと速やかにご調整をくださった各校の担当教職員のみなさまに、心より御礼申し上げます。

 外部講師は一度の接点となるかもしれませんが、日ごろ先生方から直接伝えにくい、あるいは聴きにくいと予想される、児童の心の内面に触れる機会として今後もお役に立てれば幸いです。特に、授業後、自分の苦しみに気づいた後、その苦しみと「対話」し続けることは、この先もまだ続くと予想されるコロナ禍で答えのないなか、自分という存在を見つめる大事な機会となるのではないかと拝察いたしております。

 授業実施、並びにその後のフォローアップとして、「折れない心を育てる いのちの授業」をぜひご活用いただけますと幸いです。    

7. 「折れない心を育てるいのちの授業」講師トレーニングのご案内

 2019年度から、全国的に講師育成を開始し、現在までに90名の認定講師が誕生しています。2021年度は年4回の講師トレーニングを予定しております。

 講師トレーニング受講後は、コーディネーターとして学びの場を作っていただいたり、認定を受けて講師として、学校に限らず、また、対象年齢を問わず、授業を実施いただいたりすることができます。

 ご関心のある方は、こちらをご参照ください。

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