第29回日本ホスピス・在宅ケア研究会全国大会 in 奈良 開催報告
今ここからはじめる ~あおによし奈良の都から織りなすいのちの言霊(メッセージ)~
エンドオブライフ・ケア協会理事
奈良大会大会長 久保田千代美
エンドオブライフ・ケア協会会員の皆さまには、多大なご協力を賜りまして開催いたしました。この大会に込めた言霊(メッセージ)が、大会開催中に、あちこちで聴かれ、初めから終わりまで広く皆さまの言霊となり広がってゆくのを感じています。
古く万葉の時代から、私たちの文化の中には、言葉にすることで幸せをもたらし、言葉の魂が人々を助け、苦しい現実を変えると信じられてきました。様々な立場の人々が、全国から集い、それぞれに善い言葉によって、今ここから善い現実に変えてゆくと信じて、それぞれの暮らしに戻って行かれたと思います。
10月8日(1日目)開会式のすぐあとの企画「中学生による折れない心を育てるいのちの授業」では、認定講師最年少 中学3年生の小野和奏さんが登壇されました。満席で、椅子を追加して出すほどの盛況で、参加された方々から絶賛されていました。
そのあと、会場を移して、ELC奈良とELC東海の認定ファシリテータ―合同による、「子どももおとなも地域で支えを強める事例検討」のワークショップを行いました。
同じ時間帯、「ユニバーサル・ホスピスマインドとWell-being」として、代表理事の小澤竹俊さんが、堀田聰子さん、市橋亮一さんとともに講演と対話を行い、そして、アドバイザー副島賢和さんの「学ぶことは生きること」教育講演がありました。
10月9日(2日目)には、メインシンポジウム「地域で育む医療的ケア児~通学の現状と課題~」では、エンドオブライフ・ケア協会の周年行事などで活躍してくれている宮崎響さん(小学6年生)が、シンポジストとして登壇し、前例のない仕組みの中で、「自分が前例になります」と力強く宣言して、会場にいる人々に感動を与えてくれました。
また、口演発表「看取り」では、認定ELCファシリテーターの宇田真紀さん、丹後ゆかりさん、津野采子さんが援助者養成基礎講座の学びをふんだんに盛り込んだ発表をしてくださいました。
2日間を通して、エンドオブライフ・ケア協会として、ロールプレイを体験いただける展示コーナーも設けました。医学生や台湾からのリサーチフェローをはじめ、素晴らしい出会いがありました。
いつもオンラインでお顔を合わせている会員の仲間がリアルに出会う場になり、より交友を深めました。手作りで全国大会を成し遂げることができたのは、仲間たちの支えがあってのこと、心からありがとうございます。
磯城島の 大和の国は 言霊の助くる国ぞ ま幸くありこそ
(しきしまの やまとのくには ことだまのたすくるくにぞ まさきくありこそ)
柿本人麻呂(巻13 三二五四)
全国から、希望の光がコンベンションセンターに集まってきて、一つのコミュニティができたような感覚を覚えました。それは、思いやりに満ちた幸せなコミュニティです。
日ホスが目指しているホスピスケアのマインドは、狭義のホスピスケアや在宅ケアを飛び越えて、広くユニバーサル・ホスピスマインドです。
どんな人も年齢、職種、地域、疾病に関わらず誰もが共に幸せに生きること…今ここからはじめると誰もが思えた大会になったと思います。来年の仙台大会へと繋がりさらに大きな希望の光になる予感がいたします。
奈良大会は、現地開催を終え、これからオンデマンド配信がありますが、まずは、大会が無事に開催できましたことのお礼と皆さまに祝福がありますことをお祈りいたします。
© End-of-Life Care Association of Japan