エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座の教育効果について、北里大学医学部 医学教育研究部門の千葉宏毅先生をはじめとした研究グループに、2016年から研究いただいて参りました。
2022年10月2日、金城大学で開かれた「ヘルスコミュニケーションweek2022」のなかで、千葉先生が発表された最新の研究報告について、医療ジャーナリスト市川衛さんにm3.com「医療維新」にて取り上げていただきました。
以下、記事より。
心の「重荷」をやわらげるコツは
m3.com「医療維新」市川衛(医療の翻訳家)
ある仮説が「正しいだろう」と期待して研究を行ってみたら、正反対の結果が出た…。そんなとき、どうするでしょうか。残念だけど発表を諦めよう‥‥なんて気持ちにもなってしまうかもしれませんが、実はそんなときこそ前向きな知見が得られるチャンスということもあります。
最近発表されたヘルスコミュニケーションに関する研究を、今回ご紹介させてください。
北里大学医学部 医学教育研究部門の千葉宏毅講師らの研究グループが、2022年10月2日に金城大学で開かれた「ヘルスコミュニケーションweek2022」のなかで発表したものです。専門職による「援助的なコミュニケーション」をとおして患者本人が抱く重荷(人から世話になることを申し訳なく思う負担感)を和らげられるか?を探りました。
人生会議(ACP)という言葉をご存知の方は多いと思います。厚生労働省によれば「もしものときのために、あなたが望む医療やケアについて前もって考え、家族等や医療・ケアチームと繰り返し話し合い、共有する取り組み」とされています。
人生会議の際に本人から「家族の世話になるのが申し訳ない」「なるべく、家族に迷惑を掛けたくない」などの声が上がることがあります。これは「患者自身が,自分の病気や介護ニーズにより周囲に負担や迷惑をかけていると感じている感覚(Self-perceived burden,SPB)」と呼ばれ、欧米、アジアでも少しずつ研究がされています。例えば進行転移性の肺がん患者に対して行われた調査では、終末期の準備において、「家族の世話になるという負担感」が本人にとっての最大の懸念事項となっています(Adorno et al, 2017)。
続きはこちらから
© End-of-Life Care Association of Japan