令和2年度以来、令和6年度も大阪市教育委員会と連携させていただき、 大阪市立小中学校各校へ「折れない心を育てる いのちの授業」出前授業をお届けいたしました。今年度は16校57クラス2,430名がご参加くださいました。これまでの累計は、96校255クラス9,486名です。
令和6年度に出前授業のご依頼をいただいたのは、大阪市立小学校10校24クラス、中学校6校33クラスでした。今年度はすべて対面の授業となりました。
※クラス合同での実施については、1クラスとして集計。
※小学5-6年生合同は小学6年生に含む。また、中学1-3年生合同は中学3年生に含む。
●時間:45分×2時間
●講師:「折れない心を育てる いのちの授業」認定講師249名のうち、主に近畿在住の講師
「折れない心を育てる いのちの授業」実施後、クラスごとに時間を設けていただき、授業を通して気づいたことや学んだことを、感想文として記述していただきました。特徴として、知識レベルの記載(~と知った、~とわかった)に留まらず、自分や相手に対する次の行動を示唆する感想記述が多く見られます。たとえば、自身の現在または過去の悩みや、そこから気づいた自分にとって大切な支え、今後やってみたいことなどです。
【項目】
①自分や他者の生死について考えた
・わたしは、人には言えないなやみがあって、自分なんて死ねばいいなーと思った日がありました。だけど、この授業にあってから苦しんでかなしいが少し晴れた気がしました。へやにこもって泣くのは、もうさけたいです。
・親はいつも「勉強しろ」や「どうしてお前はいつもこうなの」とかさんざん言われました。私は「早く親の期待に応えなきゃ」や「勉強しなきゃでも、やりたくない」といういろんな気持ちが頭の中でごちゃごちゃしてて最終的には病んでしまい毎晩泣きながら「私はだめなやつなんだ」「私はなんで生まれてきたの?生きるってなに?」と心の中の自分がおかしくなっていました。
②苦しかった経験から支えに気づいた
・本当に苦しい時は、誰の顔もみたくないし、本当に苦しい時は、かげで泣く人です。何回も死にたいと思った事があるし、私なんていなくていいやなんて思う時が何回もあります。そういう時に今日の反復法を使って話してくれたらうれしいなと思いました。
・私はよく弟とけんかをしてしまいます。そのたびに、弟が悪くても私がおこられてしまうことにモヤモヤしていました。しかし今日のお話を聞き、同じことを思っている人を見つけることができました。そのおかげでモヤモヤが半分になりました。
③自分が苦しみ(希望と現実の開き)を抱えている(いた)ことに気づいた
・小学校のときに何回もクラスの数人の人にイジメられて、何度も何度も悩んだ日がいくつかあって、先生、家族、友達に何回も助けられました。
・自分はいらないんじゃないかと思ったことはあって、そのときに、「あなたがいるからがんばれる」と声をかけてくれてこれが本当の私の支えなんだと思いました。
④授業を聴いて安心した、心が穏やかになった
・私は、今とてもモヤモヤしていることを書き出せたので、気持ちが安心しました。
・今日、この授業のおかげで、ひきずっていた心がだいぶらくになりました。
⑤苦しみとの向き合い方がわかった
・いままで、しんどいことはずっと楽にできないまま悩んでいたけど、考え方を変えるだけでちがう自分になれた気がしました。
・ 辛い気持ち、誰にもわかってもらえないものだと思ってました。辛い時、苦しい時どうしたらいいかわかりませんでした。でも、今日授業をしていただいて、辛い時どうすればいいか、また、辛いと思っている人が近くにいる時どう声をかければいいか、など辛いと思っている人の近くにいる人だからこそ聴けたお話だと思います。
⑥こんな人にこの授業を聞いてほしい
・今、学校に来れてなかったり、苦しんでいる人に聞いてほしいと思いました。
・ 家族にも聞いてほしいです
①自分や支えを大切にしたい
・たくさん書くと辛くなってしまうので少ししか書けませんが、今日おっしゃったことを心のはげみにしようと思います。
・たしかに、私も自分なんて・・・と思ったりします。でも私をうんでくれた、お母さんやお父さんを考えると、なんだかこうしているひまじゃないな。と思って、ひらきなおりしたりもします。
②助けを求めてよいかわからなかったが、これからは誰かに相談してみようかと思う
・また、いじめがあったとき、一人でかかえこまず、身の回りの人に相談することを大切にしようと思います。
・自分はいつも親に何か言われたりしたらおこったりうざいなとか思ってるなと思いました。自分もなやんだり苦しかったら支えとなる人などに相談しようと思いました。
③苦しみを通して支えに気づいたから、今度は自分が支えになりたい
・これから先、助けてくれた、みんなのために、今いじめられている人のためには、やっぱり人を助けられる、優しい大人になりたいと思いました。
・自分で自分を否定したりしてしまうときもあるけど、誰かが「聴いてくれる」「認めてくれる」と、自分自身を否定する気持ちが少しでも落ち着くので、私も誰かが悩んでいたら「聴くこと」をしようと思った。
④話を聴いてあげたい
・私は、小学校のころ不登校の子がクラスにいました。けど、私は何もできませんでした。何もできなくていいのかなと思っていたけど、今日のお話を聞いて話ぐらいは聞けたのかなと思いました。だから、苦しんでいる人がいたら、絶対、話ぐらいは聞こうと思いました。そして、私も苦しくなったら人にたよってもいいということを知りました。だから、次からは人にたよりたいと思いました。
・ お母さんのやくに少しでも立ちたいと思って小学校のときよく学校をやすんでいました。でも、いまかんがえてみるとそういうふうに学校をやすんだりすることでお母さんはむりをさせているんだとじぶんをせめるかもと考えます。じぶんじしんとくにつらいとかしんどいとかを学校をやすんでも考えません。むしろやくに立ててるならよかったと思います。
⑤学んだことを誰かに伝えたい
・もっと早く知っておきたかった。もっと小さい小学生のころぐらいに伝えてほしかったし、伝えていこうとも思った。
・ぼくも、この気持ちはわからないけど、彼を少しでもおうえんして、ゆうきづけたいと思った。世界には彼のような人々がいっぱいいると思うけど、周りにはその人を心ぱいしてくれている人が大勢いることをその人にしってもらいたいと思った。
⑥私にできることがある
・数年前の兄の状況と、状況が全く同じで、私ももう少しあの頃兄を支えることができたのではないか。と思っています。
・わたしもいつか弟や、だれかの支えになって、弟やだれかを支えられるようになりたいです。
・本授業を受講して、児童がこれまで言い出せなかった悩みを、伝えようとする機会が少しずつ増えてきているように思います。それをすぐに強引に解決してしまおうとするのが教師の悪い癖です。その子どもの気持ちに寄り添いながら、子どもがどうしたいかを軸に支援できるように、我々も成長せねばと考えています。
・実際に日常でも相手の言ったことを反復することをあれ以降心がけていますが、ネガティブなことを言われると、ついつい「そんなことないよ」といいそうになります。なかなか難しいですが、意識してやってみようと思います。この話はぜひほかの教職員や保護者に聞いてほしいと思います。
・反復して返事するということを早速ためすと、興奮していた子が落ち着いていて、自分の気持ちを話してくれることがあり、私自身も学ぶことができました。
2024年の小中高生の自殺が過去最多の529人となり、2023年度の不登校の状態にある小中学生は過去最多34万人との報告があるなか、人知れず悩み苦しみ、自分や他者を傷つける子どもの存在や、真摯に対応する先生方のご尽力についても、限られた時間のなかで伺う機会となりました。また、「折れない心を育てる いのちの授業」を通して子どもたち自身が、「生きているのがつらい」「生まれてこなければよかった」など、それまで誰にも言えなかったかもしれない気持ちを、言葉にして打ち明けてくれることがあります。
子どもの苦しみに最初に気づくのは、近くにいる子どもである可能性に鑑み、苦しみが大きくなり、問題が顕在化する前に、初期対応できる子どもがそれぞれのクラスにいることを願い、子どもたち自身が自分や身近な人の苦しみに気づき、支え合える力を育む授業を、令和7年度もよろしければご利用いただければ幸いです。
全国の認定講師が対面またはオンラインで授業に伺います。
ご関心のある方は、こちらからお申し込みください。
ご自身で授業を実施することにご関心をお持ちの方には、「講師トレーニング」をご案内いたします。
2019年から、全国的に講師育成を開始し、現在までに249名の認定講師が誕生しています。2025年度は年3回の講師トレーニングを予定しております。
講師トレーニング受講後は、コーディネーターとして学びの場を作っていただいたり、認定を受けて講師として、学校に限らず、また、対象年齢を問わず、授業を実施いただいたりすることができます。
ご関心のある方は、こちらをご参照ください。
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