7月29日(土)・30日(日)、名古屋でエンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座を開催いたしました。当日は67名の皆さまにご参加いただきました。開催にあたり、お声掛けから当日の運営面で多くのご協力をいただきましたことを心より御礼申し上げます。
67名の方にご参加いただきました。
職種の内訳は、看護師51%、介護支援専門員13%、医師9%、介護職7%、ソーシャルワーカー3%、リハビリテーション職2%、歯科衛生士2%、薬剤師1%、その他12%でした。その他職種には事務職、管理職、在宅ヘルパー、鍼師・灸師・あん摩マッサージ指圧師、緩和ケア病棟ボランティアなど多彩な職種の皆さまにご参加いただきました。
地域別では開催地の愛知県と三重県、岐阜県などの近県のほか、大阪府や岡山県、佐賀県など、遠方からのご参加者もいらっしゃいました。
協会理事であり、横浜で在宅診療を行うめぐみ在宅クリニック院長の小澤 竹俊が、2日間の講師を務めました。
2日間の講座では、以下の要素を学びます。
ただ受け身で聞くのではなく、ロールプレイや事例検討のためのグループワーク、学んだことの振り返りなど、ほとんど休む間もなく、口と手をたくさん動かしていただきました。
終了後、半数以上の方が懇親会にご参加くださいました。
受講後、職場に戻って実践していらっしゃるみなさまの声をお聴きしました。
浮田 雅人さま、内科医師・緩和ケアチームリーダー
高山赤十字病院(岐阜県)
がんの終末期医療に興味があり、これまで多くの患者さんの看取りに接してきました。しかし、スピリチュアルペインの理解は不十分で、どのように取り組んでいけば良いのかわかりませんでした。そのような中、2017年6月の日本緩和医療学会学術大会で小澤先生のミニレクチャーを拝聴し、もっと深く学びたいと思いました。エンドオブライフ・ケア協会のホームページを見て、エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座が名古屋で開催されると知り、参加しました。
講座では、ロールプレイを通して、沈黙と間の違い、反復の効果と難しさを学ぶことができました。日常臨床に戻りさっそく活用したところ、がん患者さんが自らのスピリチュアルペインを語り、さらに自らの支えを語ってくれました。神経難病や慢性心臓病の方も同様でした。大部屋で話し始めて大きく嗚咽する方もありました。面談室を使い時間をかけて話した方もありました。夕方の病棟回診のわずかな時間に本音を漏らした方もありました。
当院にはファシリテーターが1人います。飛騨地域初めてとなるエンドオブライフ・ケア勉強会を当院で開催するよう準備を進めています。今後は自らもファシリテーターを目指し、この地域のエンドオブライフ・ケア援助力を高めていきたいと思っています。
野村 千香子さま、鍼・灸・あん摩マッサージ指圧師
Abeille治療院(岐阜県)
岐阜県美濃加茂市で医療リンパドレナージを専門とする鍼・灸・マッサージ治療院を開設しております。日常業務の中で緩和ケアを含め、人生の最終段階を迎えた患者様ご自身の死への恐怖や、自分が旅立った後の家族への心配など、様々な思いを抱えきれず戸惑う患者様に、どう寄り添ったら正解なのか、自分なりにその答えが導き出せればという思いで参加を決めました。
スピリチュアルな苦しみを抱えた患者様は「その苦しみをわかってくれる人がいると嬉しい。」これは、その苦しみに気づき「反復とうなづき」によって、その苦しみをわかろうとしていることを伝え、信頼関係を構築し、「沈黙」を持つことで、本当の気持ちを出せる時間をつくる。そして、苦しみがありながらも穏やかでいられるように具体的な支援へ結びつけ「支えを強める」こと。
ロールプレイをしながら実践形式で行う怒涛の2日間でしたが、無意識のレベルが大きく揺れ動き、心底ぐったりするほど充実した深い学びの時間でした。これが出発点です。今後も、ともに学んだ仲間と繋がり、患者様から苦しみをわかってくれる人だと思っていただけるよう研鑽を積んで参りたいと思います。
受講を考えている方へ、人生の最終段階にある方との関わりの中であなたが抱える疑問の答えが見いだせるとても意味深い学びの時間がここにあります。
「誰かの支えになろうとする人こそ、一番支えを必要としています。」
同じ悩みを抱え、支え合える仲間がここにいます。
名古屋での開催は今年1月に行われた第22回に続いて4回目でした。名古屋では、過去の受講生が中心となって、9月に初の地域勉強会が開催されたそうです。これから新たな学びの場が広がっていくことを期待しています。
協会としては2日間の講座を提供して終わりではなく、受講した方がそれぞれ現場で実践した後、地域で課題を持ち寄って集いさらなる理解を深め、自らと周囲を進化させていく、そんなお手伝いができたらと願っております。
次回は、8月5日(土)-6日(日)、横浜開催をレポートいたします。
© End-of-Life Care Association of Japan