【ELC・ワーカーズコープの提携】地域で暮らす一人ひとりの尊厳を守り、支え合う地域づくりのための提携・協定書・調印式 (2022/10/5)

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2022.10.11

 2022年10月5日、一般社団法人エンドオブライフ・ケア協会は、日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会センター事業団と、誰一人取り残されず、尊厳を持って暮らせる地域づくりと人財育成に関わる協定を締結いたしました。

背景

 きっかけは、ちょうど1年前のこと。読売新聞に掲載いただいた、代表理事・小澤による「多死社会 地域で支え合う」という記事を目にしてくださった、ワーカーズコープ特別顧問の永戸祐三さんからのご提案により、交流がはじまりました。

 理事長の田中羊子さん、専務理事の馬場幹夫さんをはじめ、全国のワーカーズコープ組合員のみなさまと、エンドオブライフ・ケア協会会員・ファシリテーター・講師のみなさまとご一緒に、各地の活動や、ホスピスマインドをお互いに学ぶ機会を経て、それぞれの地域づくり、幸せづくりにこの関わり方のマインドを活かしていくことができないだろうか。協力し合うことで、社会実装していくことができるのではないか。そのような願いを具体化していくため、このたびの協定締結に至りました。

協定書締結への想い

 ワーカーズコープさんは、地域の困りごとや願いを、一人の困ったで終わらせずに、みんなの願いとして、仲間を募り、居場所をつくり、ときに仕事おこしをして、事業体をつくり活動していくという、共同労働という働き方を、「社会運動」として実らせてきた歴史をお持ちです。

 それは、一人ひとりが自らの労働の、そして地域をつくる主人公になる働き方です。そのために、対話と話し合いを大切にされています。2020年に法律として可決されたその新しい働き方は、2022年10月1日に施行されたばかりです。 

 地域づくりにおけるみんなのよりどころ「みんなのおうち」と、お互いの支えになる関わりを誰もが誰にでも実践できる「ユニバーサル・ホスピスマインド」が出会うことで、どこに住んでいても、誰一人取り残されず、誰もが「ここにいてよい」「生きていてよかった」と思える社会を目指して活動していきます。

今後の活動への期待

 調印式では、ELC愛媛の活動報告、霧島市と北九州市ではじまっている「まちづくり講座」の実施などに関わる報告をいただき、また、調印式後の懇親会では、関東近郊での次のステップについて話し合いが持たれました。調印後は、まず、まちづくり講座にホスピスのマインドを取り入れて地域で学び合うことから始めたい、と田中理事長をはじめ、各地からお声をいただきました。

 具体的な実践については、追ってご報告して参ります。

協定書に込めた想い(協定書前文)

 日本の社会は人口減少時代を迎えました。人と人とのつながりが希薄化し、貧困、孤立、社会的排除などの社会課題が叫ばれるようになりました。日本は世界的な長寿の国になりましたが、つながりが感じられないなかでの長寿は、幸せ(Well-being)と実感できるとは限りません。

 私たちは、たとえ人生の様々な困難に遭遇したとしても、誰ひとり取り残されない持続可能な地域で暮らし、生きてきてよかったと思える社会を目指します。決して容易な道ではありませんが、誰もが自分らしく幸せに暮らせるために、一人ひとりの困りごとや願いを地域で支え合い、自分たちの手で実らせるみんなの「協同の力」を大切にします。

 働くことは、人を命につなぐもの。誰もが「人や地域に役だちたい」「人間的に成長したい」という願いを持っています。ワーカーズコープは、こうした願いを実現するために、雇われて働くのではなく、自分たちで出資し、みんなで話し合い、経営にも責任をもって、地域に必要な仕事をつくりだし、共に働く「協同労働」という働き方を見出してきました。
 よい仕事を目指して、一人ひとりが生き生きと持てる力を発揮するために、話し合いを大切にし、違いを認め合い、互いの力を生かしあう働き方です。
 それが今、「労働者協同組合法」となり、「協同労働」が特殊なものではなく、望めば誰もが生かせる働き方として、地域づくりに生かされ、社会に広がろうとしています。

 気候変動や戦争の危機が身近に迫り、格差や孤立がますます深刻化する中で、多くの人が、「この社会はもうもたないんじゃないか」という不安や、「この社会のどこにも居場所がない」という生きづらさを抱えている時代。
 人は誰もが、こうありたいと願う暮らしや人生を自らの手でつくり出す力と可能性を持っています。人の尊厳は、決して国や企業が守ってくれるわけではありません。私たち自身が地域に一歩踏み出し、一人ではできないことも、仲間を見出し、みんなと力と合わせて実らせていく営みの中で、守り合い、輝かせることができるのではないでしょうか。

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 「不安」、「孤独」、「迷惑ばかりかける」、「自分が誰からも必要とされていない」というマイナスの気持ちを持つ人が、「安心」、「つながりを感じる」、「こんな自分でもここにいてよい」、「幸せ」というプラスの気持ちに変わる関わりを、エンドオブライフ・ケア協会は大切にしてきました。これは、一部の人が、一部の人にしかできないことではなく、子どもからお年寄りまで、私たち誰もができる可能性です。
 マイナスの気持ちとなる原因は、すべて解決できるとは限りません。「なぜ私だけ?」と苦しむ人に、どれほど答えを与えようとしても、本人の心を癒やすことはできません。

 慰めも励ましも通じない苦しみの中にあっても、自分の苦しみをわかってくれる人がいるだけで、人は笑顔を取り戻していきます。そのつながりから、自身の生きようとする理由、支えに気づいたとき、人は絶望と思える暗闇の中で、希望の灯を見つけることができるかもしれません。

 何気ない一言の温かさ、そばに大切な人がいるだけで安心できること、先に逝った人が今でもそばで応援してくれていることなど、苦しいからこそ、人は誰かの優しさに気づくことができ、苦しさを味わったからこそ、人に優しくなることができるのではないでしょうか。

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 ワーカーズコープとエンドオブライフ・ケア協会が出会い、それぞれが育んできた「協同労働」と「ユニバーサル・ホスピスマインド」に強くひかれました。地域で会員(組合員)同士が出会い、学び合い、さらに多くの市民とつながり、みんなのおうちづくりを通じて、互いの思いや夢を共に実らせていく中で、地域で暮らす一人ひとりの尊厳を守り、支え合う地域づくりを実現したいという思いを強くしました。

 地域の課題は、それぞれ専門分化され、ますます複雑化していきます。どんなに心を尽くしても、解決できない苦しみは残り続けます。一部の人が一部の人にしか行えない専門的なケアではなく、住んでいる場所、所得、年齢にかかわらず、誰もが、大切な人や自分のこころのケアができるように、「ユニバーサル・ホスピスマインド」を大切にしたいと思います。それは、自分や他者の存在を認め、お互いを尊重し、助け合っていくことです。その支え合いがあるから、誰一人取り残されず、生まれてから人生の最期を迎えるときまで、生きていてよかったと思える人生を送ることができる社会の実現につながります。一人ひとりの願いを、みんなで受け止め合い、実らせていく「協同の力」を大切に、ともにまちづくりに取り組んでいくことを願って、ここに協定を締結します。

 

▶参考:
プレスリリース
・毎日新聞 朝刊総合面(2022年10月16日)<滝野隆浩の掃苔記>「みとりの心」をまちへ
・YouTubeチャンネル 第4回:”ともに働く”を通して一人ひとりが人生の主人公に~協同労働のワーカーズコープから学ぶ~(田中羊子×小澤竹俊)

Theory of Change

セオリー・オブ・チェンジ