2025年4月19日(土)、エンドオブライフ・ケア協会設立10周年シンポジウム「時は来た!~あなたから始まるやさしさの連鎖~」を横浜会場とオンラインのハイブリット形式で開催しました。
法人設立から10周年を迎えた今年は、内容盛りだくさんで朝から夕方までの長丁場。それでも横浜会場は、北海道から沖縄まで、全国各地からご来場くださった120名の方で賑わい、オンラインでも120名を超える方が各地から参加してくだり、やさしさと熱気と、未来に向けた希望がいっぱいの一日となりました。
当日の様子をまずはダイジェストでご報告いたします。
なお、当日の写真はこちらからもご覧いただけます。
冒頭、代表理事・小澤竹俊から皆さまにご挨拶した後、業務執行理事・千田恵子より、エンドオブライフ・ケア協会としてのこれまで10年間の活動報告と、昨年1年間を振り返りをしました。
人生の最期までウェルビーイングを実感できる社会を目指すなか、活動は全国に広がり、テーマも多様なものとなりつつありますが、この1年間について、あえてひとつハイライトを挙げるとすれば、ウェルビーイングアワードの受賞があります。ウェルビーイングは今回のシンポジウム第二部のテーマにもなっています。
そして、この10年間、ユニバーサル・ホスピスマインドと出逢ってくださった全国のみなさまが、それぞれの職場、地域、家庭などで実践を重ね、各自の周囲には、多様なつながりや活動が生態系のように育まれてきました。北海道から沖縄まで10地域から、ポスターとプレゼンテーションにてそれぞれの活動を紹介していただきました。
地域特性やメンバーの個性により、活動内容は学習会に留まらず様々です。ニーズに応える形で始めたことから思いがけないつながりが生まれているものがあれば、目標を定めたことで着々と実績を積み上げているものがあったり。まるでタンポポの綿毛がそれぞれの地に降り立ち、芽吹き、色とりどりの花を咲かせているかのような個性的な発表の数々でした。
中には、よいことばかりではなく、あえて「苦しみ」を共有してくださる方々もいらっしゃいました。それでもなお、「支え」に気づき、次のステップに進もうとされている熱意が伝わってきて、会場全体が、一つひとつの挑戦を称える温かな空気に包まれていました。
当日のプログラムはこちらです。発表の詳細は後日掲載します。
第二部では、今日的な課題として、こころの健康問題とウェルビーイングについての問題提起に続き、様々な切り口からウェルビーイングを自分ごととして語っていただきました。
令和6年版厚生労働白書の第1部では、「こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会に」というテーマのもと、ライフステージごとの課題や取り組みが紹介されています。こうした取り組みは、個人のウェルビーイングを支える基盤として位置づけられています。
自分のウェルビーイングに限らず、人との関係性のなかにあるウェルビーイング、特に、学校や職場、地域の中で、それぞれの方にとってのウェルビーイングとは何か、社会に願うこと、これからやってみたいこと、などを語っていただきました。
人生の最期までウェルビーイングを実感できる社会の実現を願うエンドオブライフ・ケア協会としても、大事なテーマとして取り組んでいきたいと思います。
当日のプログラムはこちらです。発表の詳細は後日掲載します。
この10年間、皆さまとともに活動してきたエンドオブライフ・ケア協会として、これからの10年も、ぜひ皆さまとともに作っていきたいと願っております。
第三部では、今から10年後、2035年はどのような未来が待っているか、人口減少や、テクノロジーが広く普及する一方で孤独孤立が進むと予想される社会背景を踏まえ、それでもなお、人が豊かに生きるには何が必要か、問題提起がありました。
そして、危機感を感じている人や、そこに従事する専門職だけが考えることではなく、私たち一人ひとりが願うこと、自分もやってみたいことは、どんなことでしょうか。
エンドオブライフ・ケア協会として、「みんなで叶えたい10のこと」(後述)をご紹介させていただいたうえで、プレゼンターの方々にも自分ごととしてお話をいただきました。
これらを踏まえ、未来を考えるワークショップを行いました。まずは、今から10年後の2035年には、皆さんのやりたいことや夢が既に実現したという想定でこれを振り返る「ヒーローインタビュー」のワークです。
それぞれのパートで総評とミニワークのファシリテーションをしてくだった本間先生によれば、漠然としたイメージよりも具体的にビジョンを描く方が実現に近づくとのこと。半径5mの人の苦しみに気づけるあたたかい社会、誰もが自分なりにウェルビーイングが実感できる社会を目指したいという思いは共通していたとしても、それを具体的に実現したいイメージにすると、本当に人それぞれ。
さらに先生の楽しい声かけでイメージが広がって、様々な困難がありながらも希望が感じられる未来をみんなで語り合うことができました。
当日のプログラムはこちらです。発表の詳細は後日掲載します。
毎回の周年行事で恒例となっている、グラレコ隊の皆さまによる素敵なグラフィックレコーディング。 こちらからもぜひご覧ください。
シンポジウムでは、10周年を記念して公開したウェブサイトについてもご紹介しました。
第一部の冒頭でこれまでの10年を振り返りましたが、ウェブサイトには、エンドオブライフ・ケア協会設立の経緯から、最近の動向まで、これまでご縁をいただいた方へのインタビュー動画などを掲載しています。今回お話くださった方も含まれます。
これからも年間を通じて、順次情報を追加していきますので、ぜひ合わせてご覧ください。
第三部のワークでご参加のみなさまに10年後の未来や、これからやってみたいことを言葉にしていただきました。弊協会としても、すべての人が人生の最期までウェルビーイングを実感できる社会、誰もが半径5mの人を気遣いあえるやさしい社会の実現に向けて、皆さんとともにさらに活動を進めていきます。
「みんなで叶えたい10のこと」として、10周年記念ウェブサイトでも公開しています。
これは完成形ではなく、みなさんとの対話を経て変わっていきます。それぞれのテーマをみなさんと探求し、アクションに替えていきたいと思います。
また、エンドオブライフ・ケア協会が全部やるということではなく、強みを持った人と協働することも含みます。
この一年、オンラインイベントや様々な機会を通じ、これらの項目をテーマに皆さんと一緒に考えていきたいと思っています。ぜひこれからもお声をお聴かせいただけましたらうれしく思います。
こころの健康やウェルビーイングは目に見えづらく、変化も実感しづらいです。毎日の生活のなかで、小さな目標として目に触れることで、行動になり、習慣となり、関わる人との関係性も変わっていく可能性があるのではないでしょうか。
これから取り組んでいきたいこと、毎日の生活で心がけたいことを、小さなアクションとして、報告し合うこともご提案しました。アクトコイン(actcoin)というアプリの利用です。
いつもイベントの際、参加するとコインが獲得でき、エンドオブライフ・ケア協会への寄付にもなるということで、この仕組みを紹介させていただいております。同じアプリを使って、行動の習慣化(デイリーアクション)ができ、ご自身にも1日1回500コインが入ります。エンドオブライフ・ケア協会が監修させていただいたカテゴリーそのものが、ウェルビーイングやユニバーサル・ホスピスマインドを表す内容になっています(例:相手の話を否定せずに聴いた、自分のモヤモヤや苦しみ(希望と現実の開き)に気づいた、これからやってみたいこと・夢について考えた、など)
このレポートをご覧の皆さまもぜひ、この取組みにご参加いただけませんか。簡単に参加いただける上に、皆さんのご参加が弊協会への応援にもつながります。詳しくは10周年記念ウェブサイトをご確認ください。
会場では、ユニフォームのように同じデザインのTシャツやエプロンを着用してご参加くださる方も多数いらっしゃいました。これは弊協会のオリジナルグッズとして過去に期間限定で販売していた商品で、こうして集まるときにお持ちくださる皆さまのお気持ちがとてもうれしいです。
そして今回、小澤や千田などスタッフが着ていたのは、10周年記念バージョンのTシャツでした。以前のデザインに、10周年アニバーサリーの文字が入った特別版です。
このシンポジウムに合わせて販売を開始しました。6月末までオンラインでの期間限定販売となります。会場でもご購入のご案内をしました。10周年記念ウェブサイトからご購入いただけますし、1点当たり100円または700円がエンドオブライフ・ケア協会へのご寄付となります。ぜひご覧になってみていただけますと幸いです。
ご参加くださった方にアンケートでお聞きしたところ、これまでご協力くださった方、一緒に歩んできてくださった方だけでなく、今回のシンポジウムで初めて私たちを知ってくださった方や、これからたくさん学び、皆さまの知恵をいただきたい、という方も多くいらして、この活動が少しずつ広がってきていることが感じられてうれしく思いました。
また、アンケートでは、
・先生方のお話を直接聞けてとても勉強になった
・心が穏やかになった
・自分の人生に悔いのないよう考えていきたい
など、元気が出た、励まされたといった声も多くいただきました。
これからやってみたいことも、アンケートや会場のポストイットでたくさんお寄せいただきました。
・助けてと言える人になる
・職場で実践してみる
・職場の会議や町内の会合で提案してみたい、スタッフを育成していきたい
・教育委員会に提案したい、地域の中で実践していきたい
・シェアハウスやホスピスを作りたい などなど
こうした多くのお声を拝見して、今回のシンポジウムは、私たちが10周年の感謝をお伝えするだけでなく、一緒に歩んでくださる方の力や思いを改めて感じることができたように思います。
これからも2035年に向けて、まずは一年一年の活動を着実に丁寧に、皆さまと一緒に歩んでいきたいと思いを新たにしています。
ご参加くださった皆さま、ご協力くださった皆さま、この投稿で私たちの活動を知ってくださった皆さま、ありがとうございました。そして今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
#エンドオブライフ・ケア
#ウェルビーイング
#ユニバーサルホスピスマインド
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